「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2015年09月28日

キューバで大歓迎されたフランシス教皇(フランシスコ法王)と、「ロック・アルバム」の件。

26日のエントリに少し書いたが、ローマ・カトリック教会のフランシス教皇(教皇フランシスコ、フランシスコ法王)が、キューバと米国を訪問中だ。どちらもフランシス教皇にとっては初めての訪問となる。

キューバと米国は今年、唐突に関係改善が進展して、今は大使館がオープンするところまで来ている。経済的にも断絶の時代は終わっている。これはバラク・オバマ大統領の最大の功績のひとつになることは間違いないが、おそらく最も堅実でゆるぎない実績になるんじゃないかとも思う。その関係改善の背後にいたのがフランシス教皇だ。昨年の中東訪問もすごかったが、この人は「宗教指導者」以上の役割を果たしておられる(同時代では、ダライ・ラマ14世やデズモンド・ツツ大主教と同じように)。

Pope Francis - the first pontiff to hail from Latin America - is credited with helping the recent thaw in diplomatic relations between Cuba and the US.

... He also called on Cuba and the US to "persevere on the path" of detente.

... On Thursday the Vatican said it hoped the Pope's visit would help bring an end to the 53-year-old US embargo and lead to more freedom and human rights on the island.

http://www.bbc.com/news/world-latin-america-34303109


ハバナの革命広場でのミサには、信仰を持たない人もおおぜい、話を聞きに来たという。その日の様子はガーディアンのlive blogにとてもよく記録されている。

教皇はハバナの後は地方都市を回り、キューバでの4日間の日程を終えて教皇は米ワシントンDCに空路移動して、カトリックの宗教家としてミサを行なうなどしつつ、国連という「国際政治」の場で演説もされている。



そのキューバ&米国ご訪問(の最初の方)についてと、唐突に出てきた「ロック・アルバム」の話をまとめて閲覧できるようにしたのが下記ページである。

教皇(法王)はロックスター? 本当にアルバム出すって。作曲はLe Ormeのキーボーディスト
http://matome.naver.jp/odai/2144328086577864901


この「ロック・アルバム」について、日本語圏でも「教皇がリードボーカル」という誤解が横行しているので注意されたい。


こんなのがあるのだが:
フランシスコ法王がボーカル ロックアルバムの発売が明らかに - ライブドアニュース
http://b.hatena.ne.jp/entry/news.livedoor.com/article/detail/10634794/


「ロック」の「ボーカル」というのは、少なくとも日本語では、マイクの前でその楽曲を歌うということを意味する。

しかしフランシス教皇の「ロック・アルバム」は、教皇の既存の音声(ミサのときのお話、賛美歌など)を、音楽に乗せてサンプリングしたものだ(と、ちゃんと元記事に書いてあるはずだ)。音楽は、ポップ・ロックからグレゴリオ聖歌までとバラエティに富んでいる。




また、はてなブックマークでは「ベネディクト16世との路線の違い」についての言及があるが、今回のアルバムのプロデューサーは、ベネディクト16世でもヨハネ・パウロ2世でも、同じようなことをしている。



今回の「ロック・アルバム」の報道は、最初はRolling Stone誌で行なわれたので、完全に「ロック・スター」式にやっているという点は、確かにベネディクト16世のときとはヴァチカンの態度が変わっているということだろう。

また、アルバムの音源の先行発表(最初の1曲)はSoundcloudを使い、RS誌の記事にエンベッドされるという形がとられていて、それもまた「普通のロック・ミュージシャン」のやり方だが、楽曲の方は「はてブ」の生煮えなみなさんが「反逆の音楽」云々といういつの時代だよという古臭いステレオタイプで語ろうとしている「ロック」のイメージとは全然違うと思う。

楽曲はこちらで:
http://matome.naver.jp/odai/2144328086577864901/2144331340791330903

楽曲の作曲者は、1960年代末から70年代のイタリアのプログレ・シーンの大物バンドだったというLe Ormeのキーボーディストで、イタリアのプログレッシヴ・ロックが好きな人なら「あの人か!」とピンと来るに違いないが、あいにく私はまったく疎いジャンルで、この曲自体の音としても、すいません、苦手である。聞くのが苦痛ということはないが、聞くと気分が上がるとかリラックスできるとかいうことは一切なく、ただ「早く終わらないかな」と思うばかりで、印象にもまるで残らない。私にはこの曲を聞くための耳がないのだろう。

Le Ormeのアルバムは普通に入手可能。日本盤も見つかる。

Felona E SoronaFelona E Sorona
Le Orme

Forse Le Lucciole Non Si Tilt Il Tempo Della Gioia Melos Il Volo

by G-Tools

Uomo Di PezzaUomo Di Pezza
Le Orme

Felona E Sorona ウニヴェルシ・パラレリ Bundles Melos Io Sono Nato Libero

by G-Tools


というわけで、教皇のアルバムの音楽を理解しないダメな私でも、フランシス教皇は、はてなブックマークの「コメント一覧」を非表示にしているだけで人のことを「罪深い」と呼ばわったはてなユーザー氏とは違って、「罪深い」呼ばわりはしないと思う。カトリックの「罪深い」の概念を私はよく知らないけど、とにかくそう思う。

ちなみに、教皇と意気投合した様子のラウル・カストロ大統領(キューバ)は、コロンビア和平でも大活躍である。




※この記事は

2015年09月28日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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▼当ブログで参照・言及するなどした書籍・映画などから▼