「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2015年09月26日

何かを称賛するときの英語の語彙の多さは、実にdopeだ。

ローマ・カトリック教会のフランシス教皇がキューバに続いて米国を訪問中で、カトリックという教派(宗派)を超えて「ロックスターのように歓迎されている」というニュースが英語圏では大きく取り上げられている(日本ではどうなのかは知らない。日本に関係ないどころか、「日本が学ぶべき教訓」云々や「日本は何ができるか」云々もどうがんばっても出てこないので、きっと日本の報道機関ではほとんど扱われていないだろう)。

Pope Francis given rockstar welcome in New York to close historic day in US
http://www.theguardian.com/world/2015/sep/24/pope-francis-new-york-st-patricks-mass


この「ロックスターのような歓迎」は比喩なのだが、実際に「ロックスター」になるということも報道されていて、何なのだろう、このアンストッパブル感は、というところだ。

Pope Francis To Achieve ‘Rock Star’ Status With Release Of Upcoming Album
September 25, 2015 2:13 PM
http://newyork.cbslocal.com/2015/09/25/pope-francis-rock-album/
So you think Pope Francis has already hit rock star status?

Just wait: He’ll be releasing a pop-rock album soon.

Believe Digital, the label releasing the album, announced Friday that “Wake Up!” will be available on Nov. 27. The album will feature extracts from Pope Francis’ speeches in various languages, including English, Italian, Spanish and Portuguese.

Pope Francis premiered the first single called “Wake Up! Go! Go! Forward!” on Rolling Stone’s website on Friday. The album is available for pre-order on iTunes.

http://newyork.cbslocal.com/2015/09/25/pope-francis-rock-album/


というわけで、宗教的な関心はなくても、英語への関心がある人にとっては、今は「人をほめたたえる」表現のバリエーションがたっぷり観察できるすばらしい機会となっている。

英語は、「ほめる」表現はものすごくたくさんある。俗語(スラング)も入れればなおさらだ。たくさんの実例が滝のように流れてくる「インターネットという英語のシャワー」の威力が発揮されるのはこういうときで、せいぜいボキャビルにいそしむがよい、むわはははは、という笑い声さえ聞こえてくる(ような気がする)。

が、そんなときにはまた、「誤解」も生じることがある。

その「誤解」の美しい例が報告されている。






こんな単語、もちろん教科書に出てくるはずはない。フォーマルな英語教育(CBSのニュースを見たり、外国語としての英語の教材を使って練習問題を解いたり)とは縁のない語だ。

私が「すばらしい」という意味でdopeという語を用いる表現を知ったのは、1990年ごろの、音楽の文脈でのことだ。確かNMEか何かの音楽媒体の新作レビューの記事か、誰かのインタビューだ。

たまたまのタイミングの一致だが、フォーマルな英語教育がスラングとは縁のないものだからといって「使えない」もの呼ばわりすることが流行り出したころのことだ。(ただし、いかにバカでも、dopeなどという語で人や物を「ほめる」ことになるということを教えないからといって「日本の英語教育は使えない」などと言い出しはしなかっただろうとは思うが。)

なので、上で見た記事中でアルゼンチンの人が "Pope is dope" を「教皇最高、しびれる」的な、最高のほめ言葉だと知らなかったことには、当ブログがはてなブックマークの「コメント一覧」を非表示にしていることで「罪深い」と言われるということと同程度の「罪深さ」しかないだろう。

ただ、「辞書引けよ」とは思う。

が、実際に辞書引くと、俗語でも「愚かでバカな人」という意味しか載っていない(日本語圏)。
http://ejje.weblio.jp/content/dope

日本語圏がそうなんだから、スペイン語圏がそうであっても不思議ではない。

dopeは形容詞として使われるときは「すばらしい」という意味だということは、案外知られていないのだなと思いつつ、そんな表現を知ったところで、現状、別に得にはならないので(普通にExcellentなどと言えばよいのだから)、「案外知られていない」ということにはそれ以上の意味づけはない(「知られていないので嘆かわしい」などとは展開していかない)とも思う。

それでも、そこから上記のような、非常におもしろおかしいドラマが生まれるので、異言語ってほんとにおもしろいですね。


これ↑おもしろい(笑)。Slick!

これ↓見たくなる人がいると思うので。


(冒頭の、チョムスキー先生の「何、これ」っていう表情は、何度見ても笑える)

※この記事は

2015年09月26日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 23:45 | TrackBack(0) | 英語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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▼当ブログで参照・言及するなどした書籍・映画などから▼