Pope Francis given rockstar welcome in New York to close historic day in US
http://www.theguardian.com/world/2015/sep/24/pope-francis-new-york-st-patricks-mass
この「ロックスターのような歓迎」は比喩なのだが、実際に「ロックスター」になるということも報道されていて、何なのだろう、このアンストッパブル感は、というところだ。
Pope Francis To Achieve ‘Rock Star’ Status With Release Of Upcoming Album
September 25, 2015 2:13 PM
http://newyork.cbslocal.com/2015/09/25/pope-francis-rock-album/
So you think Pope Francis has already hit rock star status?
Just wait: He’ll be releasing a pop-rock album soon.
Believe Digital, the label releasing the album, announced Friday that “Wake Up!” will be available on Nov. 27. The album will feature extracts from Pope Francis’ speeches in various languages, including English, Italian, Spanish and Portuguese.
Pope Francis premiered the first single called “Wake Up! Go! Go! Forward!” on Rolling Stone’s website on Friday. The album is available for pre-order on iTunes.
http://newyork.cbslocal.com/2015/09/25/pope-francis-rock-album/
というわけで、宗教的な関心はなくても、英語への関心がある人にとっては、今は「人をほめたたえる」表現のバリエーションがたっぷり観察できるすばらしい機会となっている。
英語は、「ほめる」表現はものすごくたくさんある。俗語(スラング)も入れればなおさらだ。たくさんの実例が滝のように流れてくる「インターネットという英語のシャワー」の威力が発揮されるのはこういうときで、せいぜいボキャビルにいそしむがよい、むわはははは、という笑い声さえ聞こえてくる(ような気がする)。
が、そんなときにはまた、「誤解」も生じることがある。
その「誤解」の美しい例が報告されている。
このlost in translation事例はdopeだ。ここまで美しく教科書的な事例が現実にありうるものなのか。しかも発端がキム・カーダシアンというのがすばらしくdopeだ。 / “A dope pope: Kim Karda…” http://t.co/rMfZ4w4B2Q
— nofrills (@nofrills) September 25, 2015
http://t.co/rMfZ4w4B2Q dopeがbrilliant, excellentの意味で用いられるようになったのは1980年代とアメリカン・スラング辞典は説明している。 http://t.co/PCRpFc6Guw ヒッピー語だと思っていたが案外新しい。
— nofrills (@nofrills) September 25, 2015
こんな単語、もちろん教科書に出てくるはずはない。フォーマルな英語教育(CBSのニュースを見たり、外国語としての英語の教材を使って練習問題を解いたり)とは縁のない語だ。
私が「すばらしい」という意味でdopeという語を用いる表現を知ったのは、1990年ごろの、音楽の文脈でのことだ。確かNMEか何かの音楽媒体の新作レビューの記事か、誰かのインタビューだ。
たまたまのタイミングの一致だが、フォーマルな英語教育がスラングとは縁のないものだからといって「使えない」もの呼ばわりすることが流行り出したころのことだ。(ただし、いかにバカでも、dopeなどという語で人や物を「ほめる」ことになるということを教えないからといって「日本の英語教育は使えない」などと言い出しはしなかっただろうとは思うが。)
なので、上で見た記事中でアルゼンチンの人が "Pope is dope" を「教皇最高、しびれる」的な、最高のほめ言葉だと知らなかったことには、当ブログがはてなブックマークの「コメント一覧」を非表示にしていることで「罪深い」と言われるということと同程度の「罪深さ」しかないだろう。
ただ、「辞書引けよ」とは思う。
が、実際に辞書引くと、俗語でも「愚かでバカな人」という意味しか載っていない(日本語圏)。
http://ejje.weblio.jp/content/dope
日本語圏がそうなんだから、スペイン語圏がそうであっても不思議ではない。
dopeは形容詞として使われるときは「すばらしい」という意味だということは、案外知られていないのだなと思いつつ、そんな表現を知ったところで、現状、別に得にはならないので(普通にExcellentなどと言えばよいのだから)、「案外知られていない」ということにはそれ以上の意味づけはない(「知られていないので嘆かわしい」などとは展開していかない)とも思う。
それでも、そこから上記のような、非常におもしろおかしいドラマが生まれるので、異言語ってほんとにおもしろいですね。
これ↑おもしろい(笑)。Slick!
これ↓見たくなる人がいると思うので。
(冒頭の、チョムスキー先生の「何、これ」っていう表情は、何度見ても笑える)
※この記事は
2015年09月26日
にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。
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