「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

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2015年09月15日

「アイリッシュ・ニュースの記者が脅迫されている」って……

さて、北アイルランドは地味にエクストリームな状態が続いている。そもそも今回のこのごたごたを引き起こしたのは「存在していて、なおかつ消えてしまったIRA」(プロヴィジョナルIRA)だが、最終的には、(「Real IRA改め自称IRA」などではなく)その「IRA」を含めたパラミリタリー組織の監視を行なう機関を設置するというのが落としどころになりそうな気配はする。ただし、「気配」にすぎないし、何がどうなるかは全然わからない。

そんな中で、アイリッシュ・ニュースの記者が脅迫されているというニュースが来た。

'Chilling' death threat against Belfast journalist
http://www.u.tv/News/2015/09/14/Chilling-death-threat-against-Belfast-journalist-44911


北アイルランドでは、武装組織が「殺す」という脅迫を出すと、たいていは警察から「標的」に連絡がある。そういった脅迫のケースの中にはニュースになるものもある。シン・フェインの政治家が脅迫されると、よく、「シン・フェインのだれそれが脅迫された」という見出しでBBC Newsの記事になっている。記事の中身は「脅迫には屈さない」とか「ああいうことをするのは犯罪者だ」とかいった脅迫対象の人のコメントがメインだ。

ジャーナリストが脅迫されてニュースになることもないわけではないが、政治家に対する脅迫に比べたら件数はずっと少ないし、脅迫対象の人の名前も出されない。マジで危ないからだ。

今回の脅迫事例でも、脅迫されているジャーナリストの名前は明らかにされていない。でも、所属媒体だけでも充分に衝撃的だろう。

アイリッシュ・ニュースはベルファストを拠点とする新聞のひとつで、ナショナリストを主要な読者としている(ベルファスト拠点でユニオニストを読者とする新聞がニューズレター、ユニオニズム寄りではあるかもしれないがより総合的なのがベルファスト・テレグラフ)。

先日の、DUPが「ファースト・ミニスターは退陣し、大臣は引き上げますが、一人だけ残します」の奇策の日も、他の媒体は「ストーモントはどうなるのか、live blog」をしていたのだが、アイリッシュ・ニュースは通常運転で、トップニュースは「英下院議員で最も歳費食いはDUPのこの議員だ!」みたいな記事だった。

つまり「IRAが、IRAが」でぎゃあぎゃあ騒がないメディアなのだが(←ユーフェミズム)、そこの記者が脅迫されているというのは、ちょっと尋常ではない。気になる。。。

アイリッシュ・ニュースの記事:
'Sinister' death threat against Irish News journalist
http://www.irishnews.com/news/2015/09/14/news/death-threat-against-irish-news-journalist-260703/

The National Union of Journalist (NUJ) has described as "sinister" a death threat against an Irish News reporter.

The threat was received on Friday and is connected to an ongoing murder investigation.

"The death threat issued against an Irish News journalist is a sinister development," Seamus Dooley, Irish Secretary of the NUJ said.

"There is a need for independent, fearless journalism in Northern Ireland and in the current climate we regard the death threat as especially worrying.

"Journalists must be allowed to work in the public interest without intimidation. There is an obligation on those in positions of influence to work to ensure that reporters, photographers and editors are able to operate without risk or threat from any quarter,"

And he added: "Such threats have no place in a democratic society and should be condemned by all public representatives.

"Journalists in Northern Ireland will not be deterred by such threats. The Irish News has faced down bullies before. Our members will never give in to those who seek to deny the right to freedom of expression to those who expose inconvenient truths."



北アイルランド紛争で、仕事ゆえに武装勢力の標的とされて殺されたジャーナリストは、一人だけだがいる。「紛争」が表向き「終わった」あとの2001年9月28日に殺されたマーティン・オヘイガンだ。ロイヤリスト武装組織LVFの実働部隊、RHDの名前で犯行声明が出ているが、事件そのものは今も未解決である。
https://en.wikipedia.org/wiki/Martin_O'Hagan

※この記事は

2015年09月15日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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