「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

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2015年09月10日

北アイルランド、ストーモント体制は、本当に、もちこたえられないかもしれない。

さて、前項でみた「人名 (はぁと)」などのTwitterスパムは、ボビー・ストーリーの逮捕についてのツイートを見ていたときにあまりに目障りだったので記録しておくことにしたものだが(以前のTwitterスパムについてのエントリも多く見てもらえているようだし、スパムの傾向は書いておけばきっとどこかで役立つ)、重要なのは本題である。

主にニュース系のあれこれをアーカイヴしておいた。
Northern Ireland: Senior republicans including Bobby Storey arrested
http://chirpstory.com/li/284111


ボビー・ストーリーはシン・フェインの幹部だが(議席は持っていない)、「政党幹部」というより「ポスト紛争社会のコワモテの顔役」で、ナショナリスト・コミュニティの若いのが暴れればニラミをきかせて説教するとか、ミルタウン墓地のリパブリカンの墓がロイヤリストのバカ者に荒らされたときには新聞記事にニラミをきかせて出てきたりとかしている。1998年ベルファスト合意(グッドフライデー合意)での早期釈放規定により釈放されたが、16歳のときからIRAで活動している筋金入りのIRAメンバーである。1983年の「ロング・ケッシュ/メイズ大脱獄」のメンバーの一人でもあり、この人の「紛争後」の変遷は、「テロリストと話をする」という英国政府の(当時の)方針を象徴的に表していたと言ってもよい(そういう変遷を見せた人は、この人だけではないのだが)。
https://en.wikipedia.org/wiki/Bobby_Storey

その人が、「IRAの内部での争いごと」による殺人事件に関連して警察に逮捕された。英国での「逮捕 arrest」は、日本でいう「重要参考人」についても行なわれることがあるし、この事件での逮捕者(既に何人か出ている)はこれまでのところ無条件で釈放されているし、ボビー・ストーリーも地域の顔役として「参考人」的な立場での逮捕なのではと考えられもするのだが、逮捕というのはそれ相応の手続きにのっとって行なわれるものであり、そんなにすっと「流せる」ことではない。しかもシン・フェインの幹部を逮捕するということは、PSNI(警察)としてもそう気軽には(=ヒラのIRAメンバーを逮捕するときのようには)やらない。

で、今日のこの展開は重要なのだが、これが一筋縄でいく話ではない。そんなときには北アイルランドのベテランのジャーナリストの解説が出てくるのを待つのが定石で、今日も待ってたら、もうブライアン・ロウアンの解説が出ている(このエントリを書いてからアップするまでの間に別の人の分析も出てるかもしれない)。気分が重くなる話なので、そのつもりでどうぞ。

Stormont’s warning signs...
09 Sep 2015
http://www.u.tv/Blogs/2015/09/09/Stormonts-warning-signs-44687
Inside the Stormont building there were warning signs - pointing to a wet surface.



Politics is slipping and sliding.

Martin McGuinness talked of "a very serious moment" and said what is needed is "a period of reflection".

There may not be time for that.

This time, Stormont really is in trouble - with one source predicting "endgame".


(´・_・`)

……というわけです。




さかのぼって:



BBCの記事が使っているこの写真(ボビー・ストーリーってもっと恰幅のよい人だったんだけど、激ヤセしている)は、今年7月にハミルトン警視総監を招いての「過去」についてのパネル・ディスカッションでのもの。西ベルファストのリパブリカン地域に警視総監がこういうふうに招かれたこと自体がepicだったのだが、そこでボビー・ストーリーも同席していた。この写真を見たとき、私は「おお」と思ったし、そう書いてもいたかもしれない。

別カット(ピントが警視総監に合っているもの)が、そのイベントを報じるBT記事で使われている(2枚目の写真)。










IRAメンバーによる性暴力の被害者であり、IRAの組織的隠蔽の被害者であることを名乗り出たために、ボビー・ストーリーのような人々に代表される「シン・フェインの主流派」と対立関係にあるモイラ・カーヒルさんは、BTのこんな報道をもってきた。


この "immunity" という一語だけで騒動を引き起こすことが「平時」においては可能なのだが、今はそうでもない。それだけでいかに「異常事態」かがうかがわれる。。。(´・_・`)








「NAMAの件」は、Chirpstoryのページに、主に(「旗騒動」の)ジェイミー・ブライソンの話として入れ込んである。汚職の証拠となる録音物を、なぜかジェイミーが持っているのだが(いつの間にそんな「政界のフィクサー」めいたことをやり出したんだか。彼は頭はいいからいろいろ集まるんだろうな)、それが議会で証拠として扱われないのが「ジェイミー・ブライソンをまともな証言者として扱うのはいかがなものか」というのがあるとか、もうほんといろいろ。

さらにこんなタイミングでこんなのも出てきちゃって:



ユニオニストの論客、アレックス・ケインさんもこのトーン。(;_;)



ベイジルは相変わらず穏当で前向きだけど:



"whataboutery" は止まらない。






ロイヤリストの側では、実際に「移民」や「有色人種」の追い出し(家の窓に石を投げ込んだり)が行なわれているし、中国系の議員に対する脅迫や嫌がらせも行なわれている。UVFもUDAも武装主義のミューラルを新たに描いて示威行為。もちろん、「ギャング」活動は行なわれていて、北アイルランドでは純度が低くて人の生命に危険を及ぼすようなドラッグも流通(最近ニュースを聞かないので、おさまったのかな……)。The Disappearedと呼ばれる「失踪者」の中で唯一のロイヤリスト側の被害者(リサ・ドリアンさん)の失踪には、UVFのギャングのドラッグをめぐる諍いが背景にあったと思われる。

いずれにせよ、和平合意後のロイヤリスト側の暴力は「パラミリタリーの暴力」として扱われることはなく、「犯罪組織の暴力」として扱われてきた。2000年代前半のUDAとUVFの殺し合い(「山○組と○川会の抗争」みたいなドンパチがリアルにあった)が、「政治的暴力」ではなく「犯罪」として扱われていたことは、当時のオンライン日記に書いてあるはずだ(探せば出てくるけどその作業は省略)。

なぜ、ケヴィン・マギガン殺害事件のような「IRAの内部の諍い」は、(UDAの元幹部殺害計画などのように)普通に「犯罪」として扱われないのか。

理由はいろいろあるのかもしれないが、今こうなっている第一の理由は、そこに「政党の思惑」が入り込む余地があるからだろう。






















それでも。






いつものパターンだとそうですけどね。。。アメリカももう愛想をつかしているだろうし(「ハース交渉の決裂」でハースさんの顔をつぶしたのは実に悪手だったと思う)、なんかいろいろと、「余地」がないんじゃないかという感じがしてるんですよね。

笑ってるのはお前かーー


TUVのジム・アリスター(ユニオニスト過激派)。

あと、ジェイミー。





ここらで成分補給しないとみんな死んでしまう。



(笑)生き返った。

You point the finger as you carry the flag.
I don't pay attention.
Do you like the dust we breathe?
Do you recommend yourself to my gentle senses?

Read more at http://www.songlyrics.com/orbital/belfast-lyrics/#hJ58ROyVqhzAB6LV.99




B00002DE4KOrbital
Orbital
London Import 1999-09-27

by G-Tools



※この記事は

2015年09月10日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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