主にニュース系のあれこれをアーカイヴしておいた。
Northern Ireland: Senior republicans including Bobby Storey arrested
http://chirpstory.com/li/284111
ボビー・ストーリーはシン・フェインの幹部だが(議席は持っていない)、「政党幹部」というより「ポスト紛争社会のコワモテの顔役」で、ナショナリスト・コミュニティの若いのが暴れればニラミをきかせて説教するとか、ミルタウン墓地のリパブリカンの墓がロイヤリストのバカ者に荒らされたときには新聞記事にニラミをきかせて出てきたりとかしている。1998年ベルファスト合意(グッドフライデー合意)での早期釈放規定により釈放されたが、16歳のときからIRAで活動している筋金入りのIRAメンバーである。1983年の「ロング・ケッシュ/メイズ大脱獄」のメンバーの一人でもあり、この人の「紛争後」の変遷は、「テロリストと話をする」という英国政府の(当時の)方針を象徴的に表していたと言ってもよい(そういう変遷を見せた人は、この人だけではないのだが)。
https://en.wikipedia.org/wiki/Bobby_Storey
その人が、「IRAの内部での争いごと」による殺人事件に関連して警察に逮捕された。英国での「逮捕 arrest」は、日本でいう「重要参考人」についても行なわれることがあるし、この事件での逮捕者(既に何人か出ている)はこれまでのところ無条件で釈放されているし、ボビー・ストーリーも地域の顔役として「参考人」的な立場での逮捕なのではと考えられもするのだが、逮捕というのはそれ相応の手続きにのっとって行なわれるものであり、そんなにすっと「流せる」ことではない。しかもシン・フェインの幹部を逮捕するということは、PSNI(警察)としてもそう気軽には(=ヒラのIRAメンバーを逮捕するときのようには)やらない。
で、今日のこの展開は重要なのだが、これが一筋縄でいく話ではない。そんなときには北アイルランドのベテランのジャーナリストの解説が出てくるのを待つのが定石で、今日も待ってたら、もうブライアン・ロウアンの解説が出ている(このエントリを書いてからアップするまでの間に別の人の分析も出てるかもしれない)。気分が重くなる話なので、そのつもりでどうぞ。
Stormont’s warning signs...
09 Sep 2015
http://www.u.tv/Blogs/2015/09/09/Stormonts-warning-signs-44687
Inside the Stormont building there were warning signs - pointing to a wet surface.
Politics is slipping and sliding.
Martin McGuinness talked of "a very serious moment" and said what is needed is "a period of reflection".
There may not be time for that.
This time, Stormont really is in trouble - with one source predicting "endgame".
(´・_・`)
……というわけです。
BREAKING: Stormont 'will collapse in 24 hours' http://t.co/NqPaz7MRIu
— Conor Shanley (@ConorS) September 9, 2015
さかのぼって:
ふと気づけばケヴィン・マギガン殺害でボビー・ストーリーが逮捕されてるし、何がどうなるかわからんね。(で、なぜUDAのシュクリ殺害計画のあの人やこの人は不起訴になったんですかね。) / “Kevin McGuigan: Rebubl…” http://t.co/OR0SvHisSx
— nofrills (@nofrills) September 9, 2015
BBCの記事が使っているこの写真(ボビー・ストーリーってもっと恰幅のよい人だったんだけど、激ヤセしている)は、今年7月にハミルトン警視総監を招いての「過去」についてのパネル・ディスカッションでのもの。西ベルファストのリパブリカン地域に警視総監がこういうふうに招かれたこと自体がepicだったのだが、そこでボビー・ストーリーも同席していた。この写真を見たとき、私は「おお」と思ったし、そう書いてもいたかもしれない。
別カット(ピントが警視総監に合っているもの)が、そのイベントを報じるBT記事で使われている(2枚目の写真)。
Northern Ireland police chief in symbolic appearance at west Belfast event - BelfastTelegraph.co.uk via kwout
WHOA. UKでトレンドしてる(殺されたIRAメンバーの名前が)。 pic.twitter.com/RKxm4sXiFl
— nofrills (@nofrills) September 9, 2015
下手すると、今の「和平プロセス」全体が崩れる可能性があると思う(2005年のIRA活動停止宣言の前に戻る)。ボビー・ストーリーは、今のシン・フェインの「真実(と和解)」のイベントでも重要な役割を担っている人だ。
— nofrills (@nofrills) September 9, 2015
https://t.co/k2KFMr1Ldl pic.twitter.com/lKHvf5vbuq
— nofrills (@nofrills) September 9, 2015
IRAメンバーによる性暴力の被害者であり、IRAの組織的隠蔽の被害者であることを名乗り出たために、ボビー・ストーリーのような人々に代表される「シン・フェインの主流派」と対立関係にあるモイラ・カーヒルさんは、BTのこんな報道をもってきた。
Jean McConville murder: Police forced to free ex-IRA boss Bobby Storey after learning of immunity http://t.co/L7SlEz91dP via @BelTel
— Mairia Cahill (@mairiac31) September 9, 2015
この "immunity" という一語だけで騒動を引き起こすことが「平時」においては可能なのだが、今はそうでもない。それだけでいかに「異常事態」かがうかがわれる。。。(´・_・`)
Adams has ‘grave concerns’ over arrest of friend Bobby Storey http://t.co/koIYZs34Ox pic.twitter.com/KQR9YjEhEX
— The Irish Times (@IrishTimes) September 9, 2015
「ストーモントゲート」(2002年)の再来を狙ってるんですかね、やはり。とにかく機能停止に追い込むことが目的なら、何をするかわかったもんじゃない(切れるカードは無限にあるはず)。問題は「誰が」そうしたいのかということ。
— nofrills (@nofrills) September 9, 2015
NAMAの件と、自治議会。タイミング、ぶつけてるよね。そういう意見が元UUPの人からも。
— nofrills (@nofrills) September 9, 2015
「NAMAの件」は、Chirpstoryのページに、主に(「旗騒動」の)ジェイミー・ブライソンの話として入れ込んである。汚職の証拠となる録音物を、なぜかジェイミーが持っているのだが(いつの間にそんな「政界のフィクサー」めいたことをやり出したんだか。彼は頭はいいからいろいろ集まるんだろうな)、それが議会で証拠として扱われないのが「ジェイミー・ブライソンをまともな証言者として扱うのはいかがなものか」というのがあるとか、もうほんといろいろ。
さらにこんなタイミングでこんなのも出てきちゃって:
HET wanted to question Martin McGuinness over Enniskillen bombing - but were halted by NIO, it's been claimed
http://t.co/Tkg2FrPnl9
— Belfast Telegraph (@BelTel) September 9, 2015
ユニオニストの論客、アレックス・ケインさんもこのトーン。(;_;)
There is no trust between unionism and republicanism. There will be no trust between them.
— Alex.Kane (@AlexKane221b) September 9, 2015
ベイジルは相変わらず穏当で前向きだけど:
Listening to @BBCTalkback the question I always want asked is what is your alternative? There is no future that is not a shared future
— Basil McCrea (@basilmccrea) September 9, 2015
"whataboutery" は止まらない。
The PM replies to @NigelDoddsDUP: "There is no justification for paramilitary organisations and structures in NI or indeed anywhere else."
— BBC Talkback (@BBCTalkback) September 9, 2015
今のを見て思ったことと同じことを言ってる人たちがいてふいた。
— nofrills (@nofrills) September 9, 2015
"no justification for paramilitary organisations and structures in NI" とキャメロン首相は言う。ではまずUVFからどうぞ、だよね。
— nofrills (@nofrills) September 9, 2015
ロイヤリストの側では、実際に「移民」や「有色人種」の追い出し(家の窓に石を投げ込んだり)が行なわれているし、中国系の議員に対する脅迫や嫌がらせも行なわれている。UVFもUDAも武装主義のミューラルを新たに描いて示威行為。もちろん、「ギャング」活動は行なわれていて、北アイルランドでは純度が低くて人の生命に危険を及ぼすようなドラッグも流通(最近ニュースを聞かないので、おさまったのかな……)。The Disappearedと呼ばれる「失踪者」の中で唯一のロイヤリスト側の被害者(リサ・ドリアンさん)の失踪には、UVFのギャングのドラッグをめぐる諍いが背景にあったと思われる。
いずれにせよ、和平合意後のロイヤリスト側の暴力は「パラミリタリーの暴力」として扱われることはなく、「犯罪組織の暴力」として扱われてきた。2000年代前半のUDAとUVFの殺し合い(「山○組と○川会の抗争」みたいなドンパチがリアルにあった)が、「政治的暴力」ではなく「犯罪」として扱われていたことは、当時のオンライン日記に書いてあるはずだ(探せば出てくるけどその作業は省略)。
なぜ、ケヴィン・マギガン殺害事件のような「IRAの内部の諍い」は、(UDAの元幹部殺害計画などのように)普通に「犯罪」として扱われないのか。
理由はいろいろあるのかもしれないが、今こうなっている第一の理由は、そこに「政党の思惑」が入り込む余地があるからだろう。
(ストーモント、持ちこたえられないかもしれない。なぜ「あれ」がこういう展開になったのかは、私にはよくわからないが、分析がいろいろ出てくる気配)
— nofrills (@nofrills) September 9, 2015
The Ulster Unionist Party will have an urgent meeting with the Prime Minister, David Cameron, at 1.45pm today.
— Ulster Unionist (@uuponline) September 9, 2015
Fast moving story at Stormont - meetings planned here and in London. Allister and Nesbitt have spoken to media. All eyes on DUP
— Brian Rowan (@BrianPJRowan) September 9, 2015
..@BrianPJRowan & @Tracey_utv talk to @franku105 about McGuigan murder arrests https://t.co/NIsgGZibR5 via @audioBoom
— U105 (@U105radio) September 9, 2015
1 Day two of the Stormont talks - things slipping and sliding pic.twitter.com/kNutVj9yUN
— Brian Rowan (@BrianPJRowan) September 9, 2015
2Things hanging by the thinnest of threads after @DUPleader ultimatum - adjourn, suspend or ministerial resignations pic.twitter.com/O35d2gsYuq
— Brian Rowan (@BrianPJRowan) September 9, 2015
3 @M_McGuinness_SF calls for the type of leadership required in a time of crisis - "this is a very serious moment" pic.twitter.com/BDBsu71gXd
— Brian Rowan (@BrianPJRowan) September 9, 2015
4 @mikenesbittni says IRA still exists and SF in denial - says @GerryAdamsSF must "tell the truth" pic.twitter.com/bMWEE8cX3E
— Brian Rowan (@BrianPJRowan) September 9, 2015
Stormont’s warning signs... - http://t.co/yoPMLda9a0 @Jonny1Byrne @DGordonhack @audreycarville @DeborahMcAleese @BradleyGJ @tracey_ UTV
— Brian Rowan (@BrianPJRowan) September 9, 2015
Difficult or Doomed? http://t.co/yoPMLda9a0
— Brian Rowan (@BrianPJRowan) September 9, 2015
それでも。
In spite of the doom, the cycle remains: crisis will lead to talks, new security assessments & ultimately a deal 1/2 https://t.co/J1bdUGuzpp
— Chris Donnelly (@chrisadonnelly) September 9, 2015
The only variable is the duration of the process from start to end. Months & possibly seasons now replacing weeks. 2/2
— Chris Donnelly (@chrisadonnelly) September 9, 2015
いつものパターンだとそうですけどね。。。アメリカももう愛想をつかしているだろうし(「ハース交渉の決裂」でハースさんの顔をつぶしたのは実に悪手だったと思う)、なんかいろいろと、「余地」がないんじゃないかという感じがしてるんですよね。
笑ってるのはお前かーー
Stormont Today pic.twitter.com/e1bMRuvaEE
— Brian Rowan (@BrianPJRowan) September 9, 2015
TUVのジム・アリスター(ユニオニスト過激派)。
あと、ジェイミー。
Tomorrow is shaping up to be a victorious day for anti-agreement Unionism. At long last- one way or another- Stormont is coming down!
— Jamie Bryson (@JamieBrysonCPNI) September 9, 2015
Stormont will finally fall. Treason & treachery together. Hopefully NAMA revelations helped to hasten it's demise.
— Jamie Bryson (@JamieBrysonCPNI) September 9, 2015
ここらで成分補給しないとみんな死んでしまう。
@EamonnMallie PM should announce guarantors of GFA will take over running of NI + salaries stop - watch how quickly matter get resolved
— MorpheusNI (@MorpheusNI) September 9, 2015
(笑)生き返った。
You point the finger as you carry the flag.
I don't pay attention.
Do you like the dust we breathe?
Do you recommend yourself to my gentle senses?
Read more at http://www.songlyrics.com/orbital/belfast-lyrics/#hJ58ROyVqhzAB6LV.99
Orbital Orbital London Import 1999-09-27 by G-Tools |
※この記事は
2015年09月10日
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1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。
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