
これらとは異なるパターンのTwitter spamについて、今しがたまた気づいたので少しメモをしておこうと思う。なお、これらは英語圏(というかラテン文字圏)でよく遭遇するものであり、日本語圏ではどうなのかは知らない。
以下にメモをするのは、Twitterのtrendsに入っている人名を拾い、自動的に投稿している(と思われる)スパムである。文面は人名と絵文字と宣伝したいURLと思われるものだけで構成され、特に誰かのツイートをコピペしているわけではないが、当該の人名とは無関係な写真・画像(おそらくネット上の「おもしろ画像集」などから勝手に持ってきたもの)が使われることが多くあるため、「写真が勝手にパクられる」という著作権侵害は起こりうるかもしれない。
TwitterのTrendsをチェックすると、毎日のように見るのは、Trends/トレンド(旧Trending Topics)に入った語句を拾ったスパムである。
例えばArsenalがトレンドに入っているときにArsenalのグッズのAmazonのページのURL(スパマーのアフィリエイト・コード入り)を流すようなものもないわけではないと思うが(以前はあったと思うが、最近は見ない)、よく見るのはもっと雑なものだ。つまり、Trendsしている語句と関係なく、URLを貼って歩くような感じ。
なので、「サッカーの試合のカード名」、「得点したプレイヤーの名前」、「アイドルの新曲のプロモビデオのハッシュタグ」、「ホラー映画をマイルドにするというお題ハッシュタグ」、「お騒がせ発言がニュースになっている政治家の名前」……と、雑多なトピックすべてに、同じ文面のスパム・ツイートがついている、ということになる。
このパターンでよく宣伝されているのが、まず、「笑える話」や「ちょっとエロ系・lads系情報」のサイトのURLだ。Twitterの「カード」で「おもしろ画像」を表示させ、アクセスアップを図るのが目的と思われる。(今、実例が見当たらないので、また見かけたら画像を貼ろう。)(⇒下のほうの「追記」部分参照)
それと似ているが、少し違うパターンのが、ここでキャプチャ入りでメモするものだ。
最近よく見るわけのわからないスパムにはこういうのもある。Trendsに入っている人名に続けてハート・マークを入れ、URLを入れて(←これがスパムの本体と思われる)、あとはランダムな絵文字を添え、意味の分からない写真を添付したもの。 pic.twitter.com/74txvq9UlC
— nofrills (@nofrills) September 9, 2015
このスパムのツイート主のアバターは、「きれいなお姉さん」の写真(いかにもスパマー)だったりもするが、きれいな風景とか、何も印象に残らないような写真だったりもする。
これが、例えば「試合で得点を決めたスポーツ選手」の名前にハート・マークを添えてあるのなら、変だけどさほど浮きはしないのだが、「米チャールストンの教会を襲撃して9人を撃ち殺した事件の容疑者が逃走中である」といったニュースのときに、「ディラン・ルーフ (はぁと) URL」とかいうのが流れてくると、スパムとわかっていても無性に腹立たしくなる。だが、そういう「無駄に消費されたカルシウム返せ」といいたくなるようなことは、日常茶飯事だ。
スパマーは文脈は見ないから、「(アイドルグループの)○○くん (はぁと)」、「(フットボーラーの)○○選手 (はぁと)」的なことをしようとして、「(凶悪殺人犯の)○○容疑者 (はぁと)」みたいなことをしてしまうし、してても気にしない(だから改善も期待できない)。(でも「否定的か肯定的か」の非常にcrudeなテキスト解析をして、絵文字を使い分けるくらいのことをしているアカウントもあるっぽい。)I
今日のこの事例は、「ボビー・ストーリーの逮捕」に関してのものである。つまり、シン・フェインのボビー・ストーリーが、ここ1ヶ月ほどえらいことになっている「IRAの内輪もめでの殺人事件」に関連して警察に逮捕されたというニュースだ。深刻な話であるばかりでなく、あのですね……ていう話。日本でいえば、暴力団分裂のニュースの見出しに含まれている組長の名前に「(はぁと)」と添えてスパムに使っているような感じだ。
で、この「ボビー・ストーリー (はぁと)」というとんでもない文面に添えられているURLを見ると:
今のスパムに入っていたURLをLongURLで展開すると、こうなる。 pic.twitter.com/1ItkREIhZ3
— nofrills (@nofrills) September 9, 2015
展開して得られたURLをwhoisすると、こうなる。 pic.twitter.com/vyjV5TVRnQ
— nofrills (@nofrills) September 9, 2015
ドメイン名でググるとこうなる。 pic.twitter.com/5fbYbAWQYO
— nofrills (@nofrills) September 9, 2015
この先はめんどくさいので調べないけれど、おそらく、「アクセスアップ支援」系の何かの(うさんくさい)サービスを買ったウェブサイト管理者が(この場合)アルゼンチンにいるということを示しているのではないかと思う。
— nofrills (@nofrills) September 9, 2015
なお、このスパムの事例で用いられている写真は、ボビー・ストーリーとはまったく関係がない。中国かどこか東洋の小学校でのヒトコマと思われる写真だ(日本の学校には見えない)。
こんなんでも、大量に発生すれば、この子供(の写真)が「ボビー・ストーリー」と関連付けられてしまう*かもしれない*のが、デジタル時代のおそろしいところである。
追記:
「人名 (はぁと)」だけではなく、「人名 (怒った顔)」、「人名 (泣き顔)」のようなスパムもある。ニュースのフィードの文面を解析して、「肯定的」か「否定的」かを判別しているのだろう(arrestedという明らかに「否定的」な語が含まれたニュースなので、そのくらいのことは中の人などいなくても簡単にできる)。
ブログ書いたところなんだけど http://t.co/wGbFviC9de スパム、まだ止まってない(というかボビー・ストーリーについてTwitter見るとスパムだらけ!)。これはたぶん、ニュース文面で「否定的」と判断したスパマー pic.twitter.com/eWd4hzDM8a
— nofrills (@nofrills) September 9, 2015
別のスパム。これは実にうんざりするほどよく見るパターンで、Trendsに入ってる語句を「絨毯爆撃」してくる(それも、同時に20個くらいのアカウントで)。アラブのどこかの歌謡曲の宣伝。いろんな歌手のいろんな曲がこうやって宣伝されてる。 pic.twitter.com/7de6TDekbz
— nofrills (@nofrills) September 9, 2015
この「アラブの歌謡曲のYouTubeビデオ」のスパム、ほんとうんざりするんですよ……今も通報したけど、途中でやめようと思ったくらい、アカウントの数が多い。この歌手だけでなく、いろんな歌手の曲がこういうふうに宣伝されるし(「ファンが勝手にやってる」のかもしれないけど)、何か「投票」のイベントでもあれば投票を呼びかけながら楽曲のビデオをがんがんツイートしてくるので、ハッシュタグなどの画面が「アラブの歌謡曲」のせいで重くなって辟易とすることがたまにあったり。
こんな狭い面積でまともなツイートは2件、スパムが3件。スパムの(1)と(3)は一見まともなニュースのフィードに見えるが、URLが変。(2)は、ブログに書いたのと同じフォレックスなんちゃらを宣伝している(使ってる写真も関連性が高い)。 pic.twitter.com/vKLin5UubN
— nofrills (@nofrills) September 9, 2015
スパムの(3)に含まれているURLを見てみた。冒頭のURLがスパム、末尾のはまともなニュース(デイリー・テレグラフのフィード)なので、テレグラフのフィードをパクって宣伝するURLをくっつけているのだろう。同じスパムを複数確認した。 pic.twitter.com/XNRLuQp8Oj
— nofrills (@nofrills) September 9, 2015
続いて、また「フォレックスなんちゃら」を宣伝するスパム(ツイート末尾のURLを展開して確認)。「ボビー・ストーリー」の名前の次にあるハッシュタグは意味不明(「フォ ロ 爆」みたいなアカウントが使ってるだけ?)。絵文字は「否定的」。 pic.twitter.com/eW7RKKy2dB
— nofrills (@nofrills) September 9, 2015
そして、ブログで「見当たらない」と書いたパターンの「笑える話」の宣伝スパムも発見。Long URLにかけると、もうサイトがないみたいだけど、スパムのbotだけ生きてるのだろう。迷惑だ。(これらのスパム・アカウントは通報した) pic.twitter.com/JbG61pW9kn
— nofrills (@nofrills) September 9, 2015
さらに2件、並んでいたのを追加。目をハートにしてたり、「ヒューマン・トラフィッキング」扱いしてたり、めちゃくちゃ。 pic.twitter.com/wOrSpKEUPR
— nofrills (@nofrills) September 9, 2015
なんというカオス。 pic.twitter.com/DmCd1CFsiJ
— nofrills (@nofrills) September 9, 2015
きりがないので最後。
ばかにしてるでしょ。
(そういえば2年くらい前までは、Trending topicsに来るスパムというと、「文面」があったよね。「信じられない! 女の子がこんなことをするなんて!!」とか、「大爆笑! 女子の失敗集!」とかいった、いかにもアダルト系の文面をよく見かけた。それらは放逐されたようで、spam追放に関してはTwitterはがんばってるんだろうなと思います。2009年に使ってた人は「ブリトニー」スパムを覚えていると思いますが、あれも無事、放逐されて、以後は類例は出てないはず。)
2015年10月追記:
先日のブログ http://t.co/wGbFviC9de で述べた、「笑える話」の宣伝スパムの実例。ジェフリー・ハウの訃報がTrendsに入っていたときに見かけた。それなりにRT数・Fav数があるが、それら全部スパムアカウント。 pic.twitter.com/yoN7hhNxAR
— nofrills (@nofrills) October 11, 2015
あ、キャプチャは「キプロス」の検索結果で拾ってた(ジェフリー・ハウの訃報と同じタイミングで、スポーツニュースでTrendsに入っていた)。
— nofrills (@nofrills) October 11, 2015
※この記事は
2015年09月09日
にアップロードしました。
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