「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2015年07月29日

一粒で二度怖い話。「健康を維持するのは国民のつとめ」的なムードと、「わが国の伝統」への愛着が事実を歪めていること。

最近、ニュースで接する限り、英国での「病気になるのは自己責任」的なムードが強まっているようで、怖い。28日に接したのも、そういう系統のニュースなのかなと最初は思った。

だが、少し掘ってみたら、そういう要素とは別の面が際立って見えた。「わが国の伝統」への忠誠心みたいなのが、(おそらくTwitterでの140字制限とあいまって)事実を非常に不正確に映し出しながら、人から人へと伝わっているようだった。別な意味で怖かった。

今からさかのぼること8年前の2007年に日本でも放映されDVD化もされていたのだが、2000年には「セレブリティ・シェフ」としての名声を確立していたジェイミー・オリヴァーが、『ジェイミーのスクール・ディナー』というテレビ番組を通じ、学校給食改善運動に正式に乗り出した。
https://en.wikipedia.org/wiki/Jamie_Oliver#Charity_and_campaigning

B000JYVX5Iジェイミーのスクール・ディナー DVD-BOX
アーティストハウス 2007-01-25

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ジェイミーがその運動を始めていた2006年、私は次のようなBBC記事を読んで驚嘆したことを覚えている。

Parents feed pupils through gates
Last Updated: Friday, 15 September 2006, 14:35 GMT 15:35 UK
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/england/south_yorkshire/5349392.stm

つまり、学校でフィッシュ&チップスやハンバーガーのような脂っこくて健康的とはいえないような料理は出さないようにしたら、昼になると親が子供にそれらのジャンクフードを柵越しに手渡しに来るという。「だって子供が食べたいものがないって言うんですもの」。

そのころ、英国では「肥満」が社会問題化していた。その「肥満」も、「運動不足で最近肉がついちゃって」とか、「昔は格闘技をやっていたので全身筋肉だったが、年をとってやめたので脂肪になった」とかいう感じではなく、何と言うか、資料映像の「アメリカの肥満」のようなとても不健康な太り方に見えた。そういうのは、子供のころの食生活と生活習慣がもとになっている、というのが、ジェイミーの学校給食改善運動のベースだ。

それから何年も経過しているのだが、「子供の食生活が不健康だ」という問題はまだ残っている。

その先にあるのが、この件だ。つまり、「子供のお弁当と一緒に持たせるのに好適な紙パックのジュース」。砂糖をたっぷり使った飲み物は、それだけで子供の一日分の砂糖許容量を満たしてしまう。そんな飲み物は売るのをやめて、シュガーレス (no added sugar) のものに切り替えていこうと、大手スーパーのテスコが判断したという。

しかし、クリック数稼ぎなのか単に根が雑なのかわからないが、テスコが通常品(砂糖使用品)の子供向けのパッケージの製品の扱いをやめるブランドは複数あるのに、1つだけ、それも英国人にとってはめっちゃ思い入れの深いブランドだけに注目した報道機関のフィードが次々と出た。

結果、「ライビーナ (Ribena) がテスコの棚から消えるってよ」的な根拠のない説が、デジタルの海をぷかぷかと浮かんで流れていくことになった。

全容は下記で。

英小売大手テスコが、「砂糖使用」を理由に、あの国民的飲料の販売をやめるって? (風評注意)
http://matome.naver.jp/odai/2143809221388447201

それにしても、「ライビーナ」は今はサントリーの傘下なので、「オランジーナ」(初めてフランスで飲んだとき、あまりにおいしくて感動した)のように日本でも展開してくれればいいのに、してくれそうにない。「ライビーナ」(ブラックカラント、つまり黒スグリ、すなわちカシスの果汁を使った飲料)の売りである「ビタミンCが豊富」が、日本では表示できないのかなあ(オセアニアでは調査の結果、ライビーナは「言うほどビタミンCを含んでいない」という結論を下されている)などと思ったりもしている。

個人的には特に好きな味ではないのだが、たまにあると「懐かしめる」かなあ、というわけで……。かつてはDHCが扱っていたが(それも「健康食品」のように!!!)、サントリーがブランドを買ったあとはそれもなくなった。今も輸入品ならあることはあるが、輸入品としての値段付けどおりにお金を出せるかっていうと……。

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※このAmazonリンクの業者、Cooking Marvellous Limited という英国の業者だが「限られた素晴らしい調理」などと機械翻訳そのままで日本語ページに掲載している。英語で苦情のレターが書ける能力がない人は、少し慎重になったほうがよいかも。

※この記事は

2015年07月29日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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