「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2015年07月09日

「何が起きたか」を見出しにする日本、「今どうなっているか」を見出しにする "海外"

※本稿は羊頭狗肉であることを、最初にお断りしておく。見出しは、「日本」と「海外」という粗雑な用語法をあえて用い、あたかもそれが2つの極であるかのように印象付けようとする流儀にならっている。(今から振り返れば)今に続く「日本」をめぐる二分法のナラティヴを浸透させる上で大きな役割を果たした、おそらく今ではほとんど読まれていない(それでも古書店ではよく見かける)1992年初版で同じ年内に20刷まで出した当時のベストセラーの存在を強調する必要があると私自身が強く感じているためである(ちなみにその本とはこの本である)。それ以上の《意味》はない。つまり、私が本気で「日本」と「海外」の二分法で考えている(そしてその「海外」を「英語圏のみ」としている)わけではない(そのことは「海外」を引用符でくくっていることに汲み取っていただければと思う)。

日本時間で9日に日付が変わって少しした後から、ニューヨーク証券取引所(以下「NYSE」)で取引が全面的に停止するということがあった。システム障害が原因といい、日本が朝を迎えたころ、というか私が起きてPCを立ち上げたときには既に復旧していた。

その件について、英語圏("海外")と日本語圏の報道記事の見出しを見比べてみたらなかなか興味深く感じられたので、その点、書きとめておこうと思う。










英語圏では、このように、2015年7月9日朝9時台(日本時間)の見出しは「NYSEが取引を再開した」ことを伝える見出しが並んでいる感じ。

一方、その時間帯の日本語圏のニュースの見出しでは、私が見たところで目に入ったものは、「NYSEが取引を停止した」というものだった。復旧する前の記事だ。



当該記事のタイムスタンプは、7月9日1時8分で、つまり「古い記事」なのだが、続報らしきものは見当たらない。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150709/k10010144071000.html



BBCなどでは、「ニュースは最新情報を提供するもの」という原則があるのだろうと思うが、同じURLで(履歴を閲覧可能な形で残すことなく)さっくりと記事を上書きで更新することがよくある。

例えば「今日、○○報告書が公表される」という見出しで記事を立てておいて("So-and-so report due today" のように)、報告書が出たら「○○報告書、警察の行動には問題なしと結論」というような見出しにして("So-and-so report: Police acted lawfully")、記事も大幅にアップデートする、という形だ。同じURLを見るタイミングによって記事の内容が変わってしまうということではあるが、そのURLを見れば最新の情報が得られるということでもある。

一定の時間をすぎたり、区切りがついたりすれば、その「同じURLで上書き更新」というのはストップし、続報があれば新たに別のURLが立てられる。だが、それらのURL自体は、その後もずっと削除されることなくアーカイヴされるのが原則だ。

日本の報道機関の場合、特にNHKを含むテレビ媒体は、一定の時間(数時間から数日の単位)が経過したらURLそのものが使えなくなってしまうし(記事をアーカイヴせず削除する)、新聞でも記事の閲覧には制限がある上に、一定期間(1年など)経過するとURLが使えなくされてしまうこともあり、要するに、「アーカイヴ性」という点ではまったく期待できない。

先日、アメリカで教会が燃やされているということについて、Twitterで一般の人が1996年の報道記事を引っ張り出してきて「20年前から問題はある」と述べていたが、それは「特別のデータベースを使わなくても、一般の人が使えるインターネットだけで、1996年の記事が読める」という環境があるからこそだ。

なお、1996年となるとさすがに「よく残ってるなあ」と思うが、私が普段使っているBBCでも1999年以降の記事は余裕で、普通に探せる(ただし、最も最近のサイトのリデザインで、BBCサイト内検索がどうしようもないほど低品質で使えないものになってしまったので、実際に探すのはちょっと大変かもしれない……「日付順ソート」すらできなくされた)。

ちなみに、日経新聞ではこんな感じ。こちらはさすがに、「最新情報が細かくわかる」ようになっているが、それでも「同じURLで上書きする」ということはしていない。日本の「新聞」のウェブ版は、やはり根本的に、「紙に印刷したもの(あとから書き換えたりしないもの)」なのだろうと思う。



最近、ガーディアンでよくあるのだが、大きな出来事(例えば先日のチュニジアのビーチリゾート襲撃事件)があったとき、第一報は通信社の記事をそのまま出しておいて、数時間以内に同じURLで自社の記者の取材した記事に置き換え、というのもある。AFPやロイターの記事だったはずが、6時間後くらいに再度チェックすると、ガーディアンの記者の署名記事になって、内容も大きく変わっている(情報が増えている)、というケースだ。

なので、「確かAFPの記事にかくかくしかじかということが書いてあったよなあ」と思って見直したりする場合は、ガーディアンでメモっておくととても不便な思いをすることもある。(そういう意味で、AFPの英語記事をチェックしたいときは、米Yahooのニュースが便利。)

※この記事は

2015年07月09日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 12:30 | TrackBack(0) | 雑多に | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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