「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

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2015年07月06日

映画Hunger (ハンガー/静かなる抵抗)がオンライン配信でみられる。

1980年から81年のロングケッシュ(メイズ)刑務所内でのアイリッシュ・リパブリカン(IRAとINLA)の獄中闘争を、新入りのリパブリカンの囚人と、看守と、治安当局の新人という複数の視点から「セリフ」なしで「説明」を廃して描き出しつつ、1981年3月から5月のボビー・サンズのハンガーストライキと死の《物語》を(ある意味「クサい」ほど類型的な「キリストの物語」の図像にのっとって)ほぼ言葉なしで語った映画、Hunger (スティーヴ・マックイーン監督) が、DVD・ブルーレイを買わなくても、ネット配信で見られることを、先日知った。

配信業者は楽天SHOWTIMEで、以前は月会費制だったそうだが、現在は見たいものだけその都度支払ってレンタルで購入するというスタイルになっている(楽天市場のアカウントは必要)。

『HUNGER/ハンガー』のタイトルで登録されており、「15歳以上」の指定(刑務所内での看守から囚人に対する暴力の描写、射殺シーンなどがある)。

ただ、「あらすじ」のところが日本語版ウィキペディアからの流用で、これがデタラメなので(何をどう見たら「あの看守がリパブリカンに同情的で、彼が殺されたのでサンズは暴力はやめてハンストに転じた」などと解釈できるんだろう……あの映画のなかで唯一あえてがっつりセリフ入りの、17分の長回しの神父とのやり取りは聞いてなかったんだろうか。あと「ブランケット・プロテスト」についてもまったくデタラメでそれが致命的)、作品情報のコメント欄に一言入れておいたが、ウィキペディアを直さないとね……。(それについてはこれ。)

注:↓↓↓デタラメです↓↓↓

注:↑↑↑ここまで、デタラメです↑↑↑

いや、芸術作品(映画もそのひとつ)は原則、別にどう解釈してもいいんだけど、英語圏で実際に起きた出来事を映画化した作品の「あらすじ」として他人に伝えるときは、英語版ウィキペディアくらい見ようず。。。⇒ウィキペディアのエントリは書きなおしました

映像配信はSDだけでなくHDもあるが(現状、SDが400円+税、HDが500円+税、それぞれ2日間)、むろん、DVD・Blu-rayでも買える。下記はBlu-rayだが、DVDはこちらにある




もちろんAmazon.co.jpにもDVD・Blu-rayはあるが、映像配信は現状ないようだ。

B00L31IS72HUNGER/ハンガー 静かなる抵抗 [DVD]
ギャガ 2014-10-02

by G-Tools


B00L31IR14HUNGER/ハンガー 静かなる抵抗 [Blu-ray]
ギャガ 2014-10-02

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日本版はパッケージががっちゃがちゃでなあ……スティーヴ・マクイーンのあのミニマリズムの手法が伝わってこないっつう……。

アメリカのクリテリオン版はこれ。すごいパッケージですよねー。

B002YMWPUAHUNGER
2010

by G-Tools


映画は東京国際映画祭で2度上映されて、以後のフォローアップはなかったんだけど、その後、スティーヴ・マックイーンが大活躍し、マイケル・ファスベンダーが「イケメン俳優」としてチャラい注目を浴びてから、日本でのDVDリリースが実現した。(その前にイメージフォーラムで特別上映もされていたが。)

そのDVD化に当たって、「売れる」、「わかりやすい」を目的にしたとしか思えない「副題づけ」、「パッケージデザイン」がなされたのだが、元々売れそうにもない、わかりやすくもなんともない作品(ただし北アイルランド紛争のああいった側面に関心のある人には、「わかりやすい」はずだ)をそのようにパッケージした時点で、「囚人に同情的な看守が殺されたので、サンズは暴力はいけないと思いました」などという阿呆な解釈が出てくるのかもしれない。いや、私、マジで怒ってるんですよ。ボビー・サンズを馬鹿にしているのかと。

そもそも、副題で「静かなる抵抗」と言い切っていることの問題でもあるかもしれない。

ロングケッシュで起きたこと、IRAの「抵抗」は、「静かなる抵抗」などというロマンチックで平和なものではない。映画の中で神父とサンズのやり取りではっきり示されていた通り。



ちなみにサンズのハンストの2年後、1983年には……





サンズのドキュメンタリー、すごいのあった。1983年の。



※この記事は

2015年07月06日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 06:00 | TrackBack(1) | northern ireland/basic | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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承前: 映画Hungerについての日本語ウィキペディアのエントリーに大幅に手を入れました。
Excerpt: 前項の件、つまり映画Hungerについての日本語版ウィキペディアの件、今の限界までやりました。誰かの書いたものを修正するというのは神経をすり減らす作業で、精神的にくたくたです。〆て作業時間約3時間。ど..
Weblog: tnfuk [today's news from uk+]
Tracked: 2015-07-06 19:21

【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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