「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2015年07月03日

「KKKは過去のもの」、「今どき、KKKなんて」……ではありません。

6月17日に米サウスカロライナ州チャールストンで、ディラン・ルーフという「ネットde真実」を発見して白人優越主義にかぶれたらしい21歳の男が、夜間開かれている黒人教会の聖書勉強会に銃を持って参上し、「おまえらは俺たちの側の女性を強姦している」などの妄言を並べた上でその教会の牧師さん(州議会議員でもあった)をはじめ9人(うち6人は女性)を撃ち殺すという、まことに「メンタル」としか言いようのない事件のあと、「オバマ大統領が犠牲者の葬儀でアメイジング・グレイスを歌った」とか「サウス・カロライナの州庁舎に掲げられている『南部の旗』をめぐって一騒ぎある」とかいうことは(さすがに)日本語圏でも報じられているとは思うが(扱いは小さいだろうけど)、南部では、この事件があるまでは「KKKなんて過去の存在ですよねー」と思っていたのんきな人たちがびっくりしてアゴを外すような展開を見せている、ということは、日本語圏にはあまり入ってきてないかもしれない。

7月18日に、「旗」の件でKKKがサウス・カロライナ州庁舎で集会を開くそうだ。

Ku Klux Klan to protest removal of Confederate flag on July 18 at Statehouse
http://www.postandcourier.com/article/20150629/PC16/150629298/kkk-to-rally-for-confederate-flag-july-18-at-statehouse


The Ku Klux Klan has been approved to hold a protest rally at the Statehouse next month against removing the Confederate battle flag, with the group calling accused mass murderer Dylann Roof a “young warrior.”

The Loyal White Knights of the Ku Klux Klan applied for the permit last week to hold a rally for 100 to 200 people on July 18 on the north side of the Statehouse.

That’s where the Confederate battle flag presently flies.


この「南部の旗をめぐる騒動」北には、アイルランドの「旗騒動」がダブって見えると思うが、実際に両者、本質的に似通っている(キリスト教原理主義、優越主義、など)。戦術もたぶん共通していると思う。実際、北アイルランドのロイヤリストは、米南部の白人優越主義(ホワイト・ナショナリスト)とつながってる。1年前には、どんどんきなくさくなってきていた東ベルファストでKKKの旗が立てられるということもあった。

Ku Klux Klan flag erected in east Belfast
Henry McDonald, Ireland correspondent
Tuesday 1 July 2014 11.22 BST
http://www.theguardian.com/uk-news/2014/jul/01/ku-klux-klan-flag-erected-east-belfast-racist-tensions

「KKK」は、1980年代には既に「過去の遺物」として扱われていたと思うし、実際、さほど大きな勢力を有していたわけではなさそうだ。(ただし、あのような思想集団というのは、「人数」でははかれない影響力を有するのだが。)

2008年の大統領選挙でバラク・オバマが勝ったときには完全に、「アメリカの人種主義は克服された」かのように語られていた。

そのときはそう見えていたのかもしれない。しかし……ということだ。

南部の黒人教会では、10日間で8件の火災が発生し、うち5件は放火と断定されているか、出火原因が不明である(落雷や電気回線のショートと思われる火災もある)。

「黒人教会を燃やしているのは誰か」。そしてなぜそれはいつまでも報道されずにいたのか。
http://matome.naver.jp/odai/2143583985836273701


それがなぜなかなか報道されなかったか。「(ヘイトクライムの類であるという)証拠がない」からだ。「火事なんか、いちいち報道しない」からだ。

Googleのタコな画像認識の件でTwitterで真摯な対話をしていたヨナタンさんは、黒人教会の連続火災(放火)が大手メディアで報道されないことを疑問視し、「もしこれがシナゴーグだったら」と書いている。

I try to put this into my own world and imagine: if six synagogues had been torched the week after a major anti-Semitic terrorist attack, I would be thinking about nothing else. It would be front page, above the fold, in every newspaper in the country. Why, then, is this only now receiving proper coverage?

https://plus.google.com/+YonatanZunger/posts/ftdFgBqVv14


なお、教会銃撃事件で「犯人」の写真が公開されたときにそれが誰であるかを警察に伝えたのは、「犯人」のお姉さんだったそうだが、彼女は事件のあった週の週末に結婚式を予定していた。それが流れてしまったことは確かに気の毒なのだが、だからといって、これ↓は、まったく意味がわからない。

Charleston shooting: Sister of gunman makes wedding appeal
http://www.bbc.com/news/world-us-canada-33373459


A page set up in the name of Amber Roof had called for donations to pay for her wedding, which was cancelled after the attack on the church in South Carolina.

...

Writing on their fundraising page, the couple said their "lives were forever changed" by the event, adding that the media "abused our privacy" by publishing details about their wedding.

They said they had cancelled their wedding "to protect our family and mourn the lives of those lost".

The money would help "to cover lost wedding costs, to pay bills, and to send us on our dream honeymoon", they wrote.

The couple added that they would give 10% of funds raised to the church in Charleston.


結婚式が取りやめになったのは気の毒だ。弟とは普段から没交渉だったのだろう(ディラン・ルーフは、薬に手を出していて、家族に家から追い出されていたようだ)。

だが、ハネムーンの費用は弟に請求しろよ。












※この記事は

2015年07月03日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 06:00 | TrackBack(1) | i dont think im a pacifist/words at war | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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チャールストン教会銃撃事件、ディラン・ルーフの裁判
Excerpt: 2015年6月17日(現地時間)、米ノースカロライナ州チャールストンの黒人教会で人々が聖書の勉強会を行なっていたところに銃を持った男がやってきて、9人を撃ち殺した。男は9人を殺害したあと、銃を持ったま..
Weblog: tnfuk [today's news from uk+]
Tracked: 2016-12-18 05:01

【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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▼当ブログで参照・言及するなどした書籍・映画などから▼