kafranbel-aug2011.jpgシリア緊急募金、およびそのための情報源
UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)
WFP (国連・世界食糧計画)
MSF (国境なき医師団)
認定NPO法人 難民支援協会

……ほか、sskjzさん作成の「まとめ」も参照

お読みください:
「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2015年06月15日

「わたし」が書いていることばと、「わたし」自身の間を、ビッグ・ブラザーが無理やりつないで、見当違いの像を結んでみせる。

いまどき、インターネットを使っている人で、自分がいつ、どのくらいの時間をかけてどんなページを閲覧し、どんな言葉で検索し、どんな言葉を書き込んだかなどの「行動」が追跡されていることを知らない人はいないだろう。実際、かなり細かく(「この端末を使うユーザーは、『蒸し』と入力したら『蒸し暑い』と出したいのか、『蒸し器』と出したいのか、それとも『蒸しパン』か」といったことも含めて)追跡・蓄積されている。追跡されたくなければ、サービスを使わないようにしたり、「ずっとログインしっぱなし」ということがないように気をつけたり、オプトアウトの手続きを取ったり、追跡防止のアドオンをブラウザに入れたりしなければならない。

これがわかりやすいのが「ターゲティング広告」の表示だ。先日、頻繁にログインするあるサービスでログインした状態で、近所のスーパーの取扱商品について調べるためにそのスーパーの名前で検索し、サイトを閲覧したら、その後しばらく、そのスーパーの広告ばかりが表示されていた(そうなったときはこういうのを使ってTracking cookieを削除すればおさまる)。ログインしっぱなしのことが多い自分のブログに私は広告を貼っているのだが、ここにさっき検索したばかりの商品や店に関連する広告ばかりが表示されている場合は、たぶんオプトアウトができておらず、追跡されているということになる(大雑把に)。自分で納得していれば特に問題ではないのだが、そうでない場合はオプトアウトしておかないといけない。

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例えばYahoo! JapanのIDがTポイントとがっつり紐付けられているのだが、Tポイントのカードを使ってコンビニでビールとつまみを買い、DVDで映画をレンタルして、書店で本を買って、借りた映画を見ながら、Yahoo!に追跡されている状態でYahoo!のリアルタイム検索を使ったり、ネットでニュースを読んだり検索したりすると、「爆弾テロについての小説を映画化した作品を見ながら、ギネスを飲んで柿ピーをつまんでいるこの人物は、ダラスの爆弾&銃撃男について詳しく調べており、過去にはボストンの爆弾事件やブレイヴィクについても詳しく読んでいたし、こないだは圧力鍋を通販サイトで物色していたし、ウィキペディアで火薬について調べている」みたいなことが把握された挙句、「(『自分探し』的な意味ではない)本当のわたし」とはかけ離れた人物として誰かによって描き出されることにもなりうる。点と点は思いがけない形に結ばれうるし、「何でそれを見落とすか」のという点が見落とされるかもしれない。

実際には、この「圧力鍋爆弾を作りかねない人物」は、おいしい煮豆を作りたくて圧力鍋を買おうとしていただけで、同時に必要があって「ガンパウダー・プロット」について調べていたが、別のときには「レシピ本を買ってラブコメ映画を見ながら、ギネスを飲んでえんどうまめをつまんで、ネットではネコ写真をやたらと見て回り、過去には1日に何度も『実存主義者、アンリ(ただしねこ)』を再生していたことがあり、こないだは小鳥の図鑑を通販サイトでカートに入れていたし、ウィキペディアでネコジャラシについて調べている」かもしれないのに。

「圧力鍋と小鳥の図鑑」は関連しなくても、「圧力鍋とボストンの爆弾事件」は関連させずにいるほうが難しいのだ。「レシピ本と圧力鍋」のほうが関連性が高いのに、ある文脈においては「鍋と爆弾」のほうが目立つ。Big brother is watching you というのはこういうことになっている。うんざりするしげんなりする。

とはいえ、そういうものから完全に自由でいられるような環境ではもはやない。私もいくつかのサービスはログインしっぱなしだ。例えば、Twitterに書き込むたびにいちいちログインしていたのでは手間がかかってしょうがない。

だがちょっとさすがにTwitterのログインしっぱなしはどうなのかな……と思うことがあった。




「ザ・ジャーナル」は、私がよく参照しているサイトで、軽快なHuffPo、またはあくどくなくて(英語で)200文字以上の文章が読める人向けのBuzzFeedという感じ。アイルランドのサイトで、アイルランドのニュースやネット上での話題について、そのときそのときのホットなところを、ある程度「読む」形でなおかつ「見せて」くれる。「詳しく分析したり、細かい情報を得るというより、雰囲気を知る」とか「取っ掛かりをつかむ」ために重宝している。2010年設立で、スポーツ専門のThe 42や、お笑い記事・ゴシップ専門のThe Daily Edgeなど姉妹サイトもある。オーナーはDistilled Mediaというオンライン・メディアの企業である。
https://en.wikipedia.org/wiki/TheJournal.ie

新興のオンライン媒体ではあるが、立ち上げ時の「中の人」たちはよそで経験を積んだ人たちが多く(今はどうかな……)、ウィキペディアに書いてあるけれど、2013年にはアイルランドのベイルアウトについて資料を独占入手しスクープしたことがある。(アイリッシュ・タイムズやアイリッシュ・インディペンデントのような名門をさしおいて!)

記事の一例として「昔のダブリンはこんなふうだった」という古写真紹介記事(うほ。昔のポストカードだ)。
http://www.thejournal.ie/old-postcards-dublin-2154032-Jun2015/

記事本文があり、その下にソーシャル系のボタンがあり、記事執筆者に関する情報(連絡先)などがあって、サイト内のほかの記事のリンクがあり、その下に読者のコメント欄がある。

かつては違うシステムだったと思うのだが、いつの間にか、コメントの投稿にはFacebookかTwitterのアカウントでログインすることが必要になった。

tgt2.png


……というわけでこの "Sign in with Twitter" →アプリを認証という形でログインして、コメントを投稿する。

その文面が:


このコメントの文脈は、「ジョージア(グルジア)のトビリシの洪水」で、「動物園から外に出た動物たちの写真」として、「まったく関係のない写真がツイートされている」が、それをThe Journalが無批判に引用紹介しているが、その「まったく関係のない写真」のオリジナルを探してみたら(→その件については既に詳しく書いた)、「カシミールで撮影されたもの」だということがわかった、ということだ。

つまり、私は「カシミール」には特に興味を示していない。単に、乾いたデータ・情報としてそれを他人に伝えているだけだ。

しかし、Twitterにログインした状態で(微妙に「Twitterから行なっている」ことになっている状態で?)のこの発言を、Twitterは、「このユーザーは、カシミールに興味がある」と解釈したらしい。

(Twitterのアルゴリズムって、この程度ですよ。もうほんと、ばかばかしくなるくらい……)

The Journalのコメント投稿を終えて、次にTwitterのページを開いたとき、私のWho to followの3つの枠はこうなっていた(画像は加工済み)。これまで一度も閲覧さえしたことのない(はずの)アカウントばかりだ。アバターも初めて見るものばかり。

一番上は「ファイサル」さんという男性でカシミールの人。2番目は、ユーザーネームの後半にKashとある通りでやはりカシミールの人。3番目は、カシミールのイスラム主義者だ(なかなかアレな感じのツイートが並んでいた)。Who to followには、私がフォローしている誰かがそのアカウントをフォローしていれば「○○さんがフォローしていますよ」的なことが表示されるのだが、今回の3人のうちの誰にもその表示はない。

個人的に、ここに知らないアカウント(これまで自分が見たこともないアカウント)が表示されていても、チェックしてみようとは思わない。ましてや、フォローはしない。

しかし、いつもは英国のジャーナリストや報道機関のアカウント、北アイルランドでリストに入れているだけでフォローしていないアカウント、あるいは日本語圏のユーザーさんが表示されているこの欄に、まったく毛色の違うアカウント……というかアバターの写真(元One Directionのゼイン・マリクのような「インド亜大陸のハンサム顔」が、心当たりもないのにいきなり3つ並んでいたら、誰でも「何事か」と思うだろう)が縦に3つ並んでいたので、これはどういう理由でおすすめされたのか確認しなければと思って、アカウントをひとつひとつクリックしてみたのだ。

そして確認できたことが、1番目の「ファイサル」さんも、2番目のKashのついた人も、3番目のイスラミストも、全員がbio欄の「場所」のところに「カシミール」と入れていることだった。

私は「カシミール」についてツイートすることはほとんどない(少なくとも最近は)。カシミールについて積極的に追うこともしていない。2つか3つ、カシミールの人のアカウントをフォローしているはずだが(5年位前に何か情勢が動いたときにフォローしている)、最近見かけた記憶もないし、その人がTwitterを続けているのかどうかも知らない。つまり言語的に、カシミールとはほとんど縁はない。カシミールについて、Twitterの外で何かを調べたりしたことも、最近はない。

唯一心当たりがあるのは、The Journalでのコメントで「その写真はトビリシではなくカシミールでの撮影ですよ」と書いたことだけだ。

そんなことで、Twitterは「おすすめ」してくるのだ。何のために?

アルゴリズムがショッピングサイト並みだ。そしてその「ショッピングサイト」の「おすすめ」(広告表示)の仕組みは、リアル世界ではありえないほどうっとうしい。

スーパーに行って、「わあ、もう桃が出てる」と立ち止まるんだけど、「高いし、まだ季節じゃないから味もあまり期待できないかなあ」と考えて買わないことに決めて立ち去ったあとも、しつこく、「桃、いかがですか」、「桃、入荷しました」とおすすめされてきたらどうだろうか。もしもそんなスーパーがあったら、私は「ダメだこりゃ」と言って、その日買う予定だったキャベツもごまもおしょうゆも、何も買わずに立ち去る。そしてほっといてくれる店に行く。

あるいは、入店するたびに、「いらっしゃいませ、お客様は先週にんじんとオリーヴオイルとさつま揚げをお買い上げです。今週はにんじんジュースとグレープシード・オイルと厚揚げはいかがですか」みたいなことをやられたらどうか。特に買うつもりはないけど手にとって見たケチャップまで、「この客が関心を持っている商品」として店が記憶していたらどうか。




「ネット上の投稿」は、一昔前までなら「公開される発言」ばかりだっただろう。「どうせ公開されている発言なら追跡されてても別にいい」と思えるかもしれない。しかし今は、トラッキングされながら非公開で書くものも多い。Twitterのアカウントを「非公開」(カギつき)にしていたり、あるいはGmailやGoogleドキュメント、Evernoteのようなサーヴィスもある。

tgt4.pngなお、Who to Followに表示されていた3つのハンサム氏のアカウントは、それぞれのアカウントのbioを確認するためにそれぞれ1度だけクリックしてアカウントのページを見て、そのまま何もせず(スクロールダウンすることすらせず)にそっと閉じたら、次にTwitterの自分のページにアクセスしたときには、これら3つのアカウントは全部消えていて、いつもどおり「ジャーナリストや活動家、報道機関のアカウントの紹介」になっていた。

しかし、The Journalのコメ欄に投稿した文に「カシミール」と書いたばかりに、「カシミールの人」を紹介されてしまうレベルでは、この「おすすめ」はどうしようもないと思う。(あのケースでは……うーん、例えば「プレスのフォトグラファー」のアカウントや、「人道支援組織」のアカウントが紹介されれば完璧。)

コメ欄に投稿した文に「ドラキュラ」と書いたら、ドラキュラの本や映画を薦められるとか、ドラキュラについて著作のある人のアカウントが紹介されるというのならある程度の意味はあるかもしれないが、「カシミール」ってただの地名なわけで、それに思い入れどころか関心すらなくたって、人はその地名を書くものだ。

人が「圧力鍋」を見ていたからといって、「圧力鍋爆弾」を作ることに関心があったのではないように。

4794220871つながりっぱなしの日常を生きる: ソーシャルメディアが若者にもたらしたもの
ダナ・ボイド 野中モモ
草思社 2014-10-09

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ソーシャル無法地帯ソーシャル無法地帯
ローリー・アンドリューズ 田中敦

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※この記事は

2015年06月15日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 04:00 | TrackBack(0) | i dont think im a pacifist/words at war | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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