ただ単にデータ量として膨大でブログのソフトウェアが対応しきれなかったそうで、2回に分けられている。
http://sluggerotoole.com/index.php/weblog/comments/3722-dead-between-1966-and-2007/
http://sluggerotoole.com/index.php/weblog/comments/3722-dead-between-1966-and-2007-2/
淡々と、ただ「日付」と「名前」と「地名」が並べられている画面をスクロールしていくうちに、言葉にしようのない気持ちになってくる。私はこの3,722人の誰一人として直接には知らない。どういう顔をしていたのか、どのような声で話したのか、笑ったのか、泣いたのか、怒ったのか、何も知らない。しかし私が知っているかどうかに関わらず、この人たちは「人間」で、この人たちがそのときに殺されたのは、「北アイルランド紛争」という人間の起こした悲劇、主義主張と武器の出会うところの両派の対立による「信念」と「自己正当化」のためである。
「紛争」の2人目の犠牲者、1966年6月26日に殺されたPeter Wardさんは当時18歳。「ヒストリック」な5月8日を前にUVFが活動停止を宣言した直後、Peterさんのお母さんがBBCで現在の心境を語っていた。YouTubeのBBC World Newsでニューズリールを見た記憶もあるのだが(あるいはBBCのサイトから見たのかもしれないが)、今はちょっと確認ができない。
Pain of UVF victims' families
By Tara Mills
BBC Newsline
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/northern_ireland/6618583.stm
メアリー・ウォードさんは、息子が射殺された夜のことをまるで昨日のように思い出す。けれども18歳のピーターが殺害されたのは、40年も前のことだった。
「紛争」の2人目の犠牲者となったピーターは、インターナショナル・ホテルのバーのバーテンだった。その夜、仕事を終えた彼は職場の人たちと一緒にちょっと飲みに行こうとしていた。
彼の家はフォールズ・ロードにあり、ホテルのバーはシャンキル・ロードにあった。
現在86歳になるメアリーさんは「息子は、働き始めたはよいけれどもどうにも好きになれないバーだと言っていました。職場の人たちには辞めたいと言っていました。そんなときでした、UVFがドアをふさぎ、私のピーターが撃たれたのは」
UVFのリーダーだったガスティ・スペンスはこのときホテルのバーを襲撃したギャングのひとりだ。スペンスは後にこの殺人事件で有罪となった。
メアリーさんは言葉を続ける。「ピーターのことでは傷は癒されませんよ。ひどいことです。何千人という人たちが私と同じ目にあった。夜に自宅でただ息子のことを思って泣く日もあります。写真を持って、ただそれを見つめて。
メアリーさんはUVFの武装活動停止声明を歓迎してはいるが、武装解除まで踏み込まなかったことは残念だという。
「こういうふうな殺人のことをもう二度と聞くことはないんですから、そりゃとても嬉しいですよ。みなが平和を求めているように、私もこの土地に平和がほしいのです」
ピーターの死から30年近くも経ったとき、ガスティ・スペンスはメアリーさんに連絡してきた――赦してほしいと。この武装組織のリーダーは、北アイルランドに平和をもたらしたいのだと語った。
「赦すことは私にはとても難しいことです、と私はスペンスに言いました。けれども、あなたが平和のために力を尽くすということなら、私もそうしましょう、と言いました」
この記事には、もうひとりの「遺族」のことが紹介されている。UVFに家族3人を殺されたマイケル・キャンベルさんだ。1977年4月、アルドイン地区でUVFの爆弾が爆発、マイケルさんの3歳上の兄のショーンさん(19歳)が死亡した。マイケルさんはほかに2人の家族を「紛争」で殺されている。
マイケルさんはいまだにUVFについて厳しい感情を抱いている。「彼らはこれは戦争なんだと言っていました。でも誰に対する戦争だったのか。事態に無関係な人たちを殺しておいて。しかもただカトリックだというだけで」
UVFの武装活動停止声明については、マイケルさんは「私としては、30年遅かったとしか・・・30年前に出ていれば兄も、そのほかたくさんの人たちも死ななかったのに。それでも、あの声明でこの土地に平和がもたらされるのなら、本当に平和になるのなら・・・。私の子供たちやほかの子供たちには、私が育ったような環境で育ってもらいたくない」
スラオさんのリストで、Sean Campbellの名前を探す。同姓同名の人もいるが、1977年に亡くなったのは:
APRIL:
2nd: Hugh William Clarke - Armagh. 5th: Sean Prendergast - Fermanagh. 6th: Gerald C. Cloete - Derry City. 8th: John T. McCracken, Kenneth Sheehan - Derry. 9th: Myles Vincent McGrogan - West Belfast. 10th: Kevin McMenamin, John Short - West Belfast. 15th: William Edgar - Derry City. 17th: Trevor McKibbin - North Belfast. 19th: William Strathearn - Antrim. 20th: Sean Campbell - North Belfast. 21st: John McBride - North Belfast. Brian Smith - West Belfast. 23rd: Patrick Joseph Devlin - Armagh. Brendan O'Callaghan - West Belfast. 29th: Eric Shiells - Tyrone.
この、淡々と、「日付」と「名前」と「地名」が並べられているだけの――どのように死んだのか、職業は何だったのか、何歳だったのかといったことすら書かれていない――リストは、何だろうか。
リストを紹介するスラオさんのエントリのコメント欄、「マーティン・マクギネスはこのなかで何人を殺したことやら」といった調子のコメントを投稿し続ける人ががんばっている中で、11番目にこういうポストがある。
Take a look through the names. Look at the dates. For those, like myself, born during this terrible time, you can see whose lives were lost as yours began.
For all, there are dates important to yourselves for their own reasons. Marriage, baptisim, first communion, 21st birthday, finished schooling, passed an apprenticeship, etc.
See whose life was cut tragically short on those days important to you.
There is only one united which counts. It's not United Kingdom, nor United Ireland. It's united in making sure that this never happens again.
名前を見、日付を見て。私のようにこのひどい時代に生まれた人たちは、自分が生まれたときに誰かの命が失われたということがわかる。誰にとっても大切な日付(結婚、洗礼、聖体拝受、21歳の誕生日など)がここにあるだろう。自分にとって大切な日に誰の命が失われたのかを見て。
「ユナイテッド」というけれど、大事な「ユナイテッド」はただひとつ。それは「ユナイテッド・キングダム」でもないし「ユナイテッド・アイルランド」でもない。こういうことが二度と起きないようにするということで「団結する(ユナイテッド)」こと。
リストの最後になったエドワード・バーンズさんは、今年の3月、頭を撃ち抜かれ、フォールズ・ロードのあたりの駐車場で発見された。警察は、CIRAの犯行と見ている。
リストの最後から2人目、ジョウゼフ・ジョーンズさんも3月に死体で発見されたが、同じく、警察はCIRAの犯行と見ている。
CIRA (the Continuity IRA) はIRAの分派組織のひとつで(dissident Republicansと呼ばれる)、停戦すらしてない。もちろん活動停止宣言もしていない。
リストの最後から3人目は、昨年5月にアントリムで殴り殺されたカトリックの15歳の男の子、マイケル・マカルヴィーンだ。彼を殺したのは10代のロイヤリストのモブで、彼が殺されたのは「カトリック」だったからだ。(まだ裁判が終わっていないのだが、マイケルと一緒にいた子たちの証言からそれは確実。)彼の葬儀には同年代の子たちが、「カトリック」と「プロテスタント」をそれぞれ象徴する衣服(セルティックのユニと、レンジャーズのユニ)を着て参列した。
リストの最後から4人目は、昨年4月、ドニゴールで射殺体で発見されたデニス・ドナルドソンだ。この殺人事件はアイルランド共和国(ドニゴール)で起きているからアイルランド警察が捜査しているはずだが、それにしても何も聞かない。英国のスパイだったと告白してシン・フェインを追放された、ドナルドソンの葬儀は、近親者など近しい人たちが参列しただけだった。
「紛争」が最もひどかったエリアのひとつ、ベルファストのアルドインという地域で、「紛争」で殺された人たちの家族や友人が、その人たちについて綴ったものをまとめた書籍を私は持っている。ちょっとした辞典くらいの厚さのあるペーパーバックで、難しいことは何も書かれていない。ただ、どのページを開いてもそこには「人間」がいる。「ギターが上手かった」とか「数学が得意だった」とか「困っていると必ず相談に乗ってくれた」とか、あるいは「けんかが強かった」とか。その「人間」がカトリックだったか、プロテスタントだったか、ナショナリストだったかユニオニストだったか、リパブリカンだったかロイヤリストだったか、それはいろいろあるが、ページをめくるたびに、たとえイノセントではない犠牲者であっても(つまりパラミリタリーであっても)、彼らは「人間」なのだということが示される。「カトリック」だというだけで職場の友人の頭に銃弾を打ち込んだUVFのビリーも「人間」だった。
「どんなに凶悪なことをした者でも『人間』なのだ」ということを言いたいのではない。ただ、それこそのび太やスネ夫やジャイアンやしずかちゃんのような「普通の人たち」が、自分では何も事態に関与していないのに巻き込まれる「悲劇」といえばひき逃げや天災や病気、という「平和」な暮らしを自分が日本でしてきたときに、地球の反対側の、人口140万ほどの小さな地域で当たり前のようにあった「突然巻き込まれる悲劇」が、政治的目的による爆弾や銃乱射や狙撃(の流れ弾)などだった、ということに、今さらながら何とも言葉にしがたい気分を抱いている。
淡々と、「日付」と「名前」と「地名」を見ながら。
「日付」と「名前」と「地名」だけでなく、もっと詳しいことを知りたい場合はCAINのサイトにあるSutton Index of Deathsを。
http://cain.ulst.ac.uk/sutton/
※この記事は
2007年05月13日
にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。
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Anyway, I must make a little quick statement: Your URL is now banned on this blog. You've been doing things for a while and I've warned, you pathetic anonymous coward.
I'm sorry if I banned a wrong URL, i.e. the comments are just meant to discredit the blog. If this is the case and Toshi of the "doll q" blog wants to clear his name, let me know.
えーと、5月13日15:28のコメント、スルーの上粛々と削除してもいいんですけど、移動して一応レスしときますね。せっかくアメリカから(笑)長いコメントをいただいたので。頭の中はThey wanna waste my time(<SLF)ですけど。www
ご閲覧のみなさま、当該コメントはスルーしてください。ちょっと今は手がふさがってるんで数時間後に作業します。
移動する理由は、このエントリにこういうコメントがつけられたことが不快だから。
【あとから追記】
移動先:http://nofrills.seesaa.net/article/41711227.html
それと、大変に申し訳ないんですけど、今回あなた(@5月13日 15:28)がお使いになったハンドルは閲覧者にとって非常に不快というか、マジでそういうことで深刻なトラウマ(精神的外傷)を抱えている人はこの世の中にはたくさんおられるので、3文字のうち最初と最後の2文字をトルツメにさせていただきました。私への個人攻撃を意図したものによって、まったく関係のない第三者(ただ閲覧しているだけの人)のトラウマが・・・などという事態は、私が最も嫌うもののひとつですので。
これを「言葉狩り」とおっしゃるならそれはあなたのご意見です。私にはこの語を削除する理由があり、権利があるということをここに明言しておきます。(とか書くと「アメリカナイズされたバカ女」とか書き出すんだろうけどさ、I don't give a ほにゃらら、ということで。)
閲覧者に向けての情報共有:
http://mathom.jp/cgi-bin/cwhois/proxscan.pl?param=72.158.212.101