「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

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2015年03月01日

英総選挙で注目されるUKIPと関係する、極右団体Britain Firstとは。

英国は、総選挙まであと2ヶ月ほどとなっている。今回の総選挙で最も注目される政党は、UKIP (UK Independence Party, 英国独立党) だろう。UKIPは2014年5月の欧州議会選挙で英国の第一党となり、26.6%の得票率で、総議席73のうち24議席を獲得した(第二党は24.4%の労働党で20議席、第三党が23.1%の保守党で19議席)。現在国会に持っている議席は、保守党議員が離党してUKIPで出直した補欠選挙で得た議席である。1993年に設立され、英国政治ウォッチャーの間では「常にそこらへんをうろちょろしている反マーストリヒト条約・反EU統一の人たち」と認識されてきたと思うが、それが「まともに取り合う意味のある政党」という位置づけになったのはここ数年のことだ。党首ナイジェル・ファラージはパブリックスクール出だが、大学に進まずすぐに実業界に入ったという人で、政治家としては「人々が聞きたいことを言ってみせる」という手法(ポピュリズム)を実に効果的にとっている。「ああいう意見を聞きたい人」に訴えかけるというあの能力は、「ああいう意見は耳を傾けるに値しないと思っている人」からは軽視されている(場合によっては侮蔑されている)ので、政治を語っちゃうクラスではまるで脅威と思われていないか、脅威として過大評価されすぎているかという傾向はあるかもしれない。でも、UKIPが「注目の党」であるということは確かである。

2月半ばには、「UKIPが政権を取った英国」を想定したドキュドラマがITVで放映された(東京にいる私は当然見ていないし、レビューを見ても作り物は作り物というような感じだったのかなと思うが)。




そのUKIPとつるんでいる極右勢力がある。Britain First(ブリテン・ファースト、BF)という。「つるんでいる」というより「絡んでいる」のかもしれないが、上記のドキュドラマに対する抗議のメール送信活動なんかもしてたらしい(送り先は、放送したテレビ局と、テレビ番組の内容を審査する機関)。






It is understood that a significant number of the more than 5,200 complaints received by Ofcom and the “vast majority” of the 1,300 sent to Channel 4 came via Britain First. The group itself has claimed to have sent more than 2,100, although the Guardian could not confirm those figures.

... The text of the letter drafted by Britain First was not available to those who signed it. A copy seen by the Guardian read: “I am disgusted by your attempts to brainwash the British public on the verge of a general election by airing a biased and ridiculous show called ‘100 days of Ukip’.”

It went on to claim that the programme incorrectly portrayed life under a potential Ukip government and amounted to “scaremongering”.

http://www.theguardian.com/politics/2015/feb/23/far-right-group-orchestrated-email-campaign-over-ukip-drama


(・_・)


で、このドキュドラマのすぐあとに、今度はBBC 2でドキュメンタリーが放映された。




これがなかなかえぐかったようで、私のTLでは英国からたくさんの真顔ツイートが流れてきていた。BBCが密着したUKIPのメンバーが、「だって私がナショナル・フロントにいたのは1年と2ヶ月だけですもの」的なことを言っていたりとか:






それから、ウエストミンスター・カシードラルの件。ウエストミンスター・アベイ(ウィリアム王子の結婚式をやったところ。イングランド国教会。建物の色は白っぽい)の少し西のほうに、カトリックのウエストミンスター大聖堂(カシードラル)があり、観光客がこの2つを混同するのは「ロンドンあるある」なのだが、英極右やUKIPの場合、テレビに映った、立派な尖塔のあるヴィクトリアンの赤レンガ建築の大きな建物を見て「モスクだ」と騒いだという、モンティ・パイソンでもやらなかったであろうようなひどいジョークが……えっ、ジョークじゃないの。 (・_・)




あと、この女性のこの発言は、オー、アー・ユー・ミズ・アヤコ? というか何というか……。いや、ミズ・アヤコよりさらにぶっとんでますね。










みなさんのご意見も、「風刺不能」から「このコメディ、キャストがいいな」まで。











「でも、あんまり笑ってる場合じゃないんじゃないの」という声もありつつ……




そして、これは@brighthelmerさんによって日本語でも紹介されていたけれど、ベヴァリー・ナイトのところには最悪の侮蔑の文言が投げつけられて……











それだけじゃなくて、ええと、BNPがマイノリティをステレオタイプで扱った戯画(英国ではこれ「ヘイトスピーチ」扱いですね。法的にというより社会的に。フランスのことは私に言わないでね)をUKIPの候補者6人がネットにアップしたと。(デイリー・メイルはBNPなどのことなぜ「ナショナリスト」と呼ぶのかな……。関係ないけど)



とまあ、こんな具合のUKIPとつるんでる(のか、UKIPに絡んでるのか)のが、Britain Firstだ。下記のごっつい軍用車両は、アフガニスタンの英軍の払い下げで、本物の戦場仕様なのだが、これをロンドンやケントの街中をぶいぶい乗り回しているのがBFという連中だ。(この車に関しては、VICEの密着レポートに出てきていたのであとでリンクしよう。)



政治的には(「政策」では必ずしもなく)、UKIPとBFの「協力」関係は、既に補選で確認されている。これはこないだも参照した気がするけれど:


※詳しくはリンク先で。




そのBritain Firstについての説明記事が、先日、ガーディアンに出ていた。書いたのは反レイシズム、反ヘイトの活動を長くやっているHope Not Hateという団体の人で、この団体は英国のレイシズム・ウォッチに関しては信頼できる団体のひとつだ。Twitterでのフィードが頻繁なので、関心がある人はTwitterでフォローしておくとよい。










「パブ貸切パーティ」というのはこれ。












何はともあれ、Britain Firstについて気になってる人は、Hope Not Hateの Matthew Collinsさんがガーディアンに寄稿した記事は読むといいと思うし、もっとさかのぼってみたい人はウィキペディア参照(荒らされてないし、記述もそこそこ一貫している)。

ベルファストの「旗騒動」との関連については:
Golding had flown into Belfast in December 2012 to help co-ordinate protests over the decision by Belfast City Council to limit the flying of the Union flag over Belfast City Hall. Dowson had been prominent in the protests, and at the time of the launch, was awaiting trial for public order offences, as was another of the Coalition's founders, Willie Frazer.

http://en.wikipedia.org/wiki/Britain_First


BNPがほぼ壊滅し、EDLも設立者のトミー・ロビンソンが抜けたあとはずいぶん縮小したようだが、Britain Firstはまだどう出てくるかわからなかった。案外、拡大してきていないようではあるが(EDLがああなったあとの「受け皿」になるのではないかと私は思っていた)、何がどうなるかはまだわからない。

まあでも、主な場をソーシャル・メディアで活動するというのは、主義主張とは関係のない無知・無教養がそのまま丸見えになるので、英国のようなところでは難しいのではないかと思う。


※この記事は

2015年03月01日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 21:15 | TrackBack(0) | todays news from uk | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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