「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

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2015年02月24日

エドワード・スノーデンの「暴露」についてのドキュメンタリー映画が、英アカデミー賞に続き米アカデミー賞もとった。

日本時間で23日、朝から昼過ぎまでソーシャル・ネットの話題はずーっと「アカデミー賞」(というか、「アメリカのアカデミー賞」、通称「オスカーズ」)だった。個人的に、今年は例年通り関心が持てずにいたのだが、長編ドキュメンタリー部門は気になっていた。エドワード・スノーデンの「暴露」についてのドキュメンタリー映画、Citizenfourがノミネートされていたからだ。

長編ドキュメンタリー部門は、昨年もずしりと来るような作品が並んでいたが、今年も死後になって作品が見つかり高く評価されている女性写真家や、ヴェトナム戦争の終わりや、コンゴの野生のゴリラの保護や、そして何より、あのヴィム・ヴェンダースがあのセバスチャン・サルガドを追った「文化系セレブ大作」としか言いようのない作品が並んでいて、Citizenfourは一足早く、「英アカデミー賞(BAFTA)」をとっていたが、米アカデミー賞は、(特に根拠なく)ヴェンダースだろうなと思っていた(これは夏に日本公開されるらしいのでそのときに見れたらなあと思ってはいる)。

が、結果は




ここには、基本的に、私の見ているTwitterの画面に流れてきた「やったー」という声やブーイングを集めてある(ブーイングといっても私がふつうに見てる範囲に流れてきたものなので、すっきりとしたものだ。検索結果の画面にはネオコンが頭爆発してるのも流れてきたけれど)。

また、「つまらない」、「滑っている」と散々な言われようだった司会者が「スパイの好物はすっぱいもの」級のダジャレで、なおかつ「幼稚で悪趣味」な「ジョーク」である何かを言って、賛否両論の反応があったことなども入れつつ、授賞式の流れごと切り取るようにアーカイヴしてみた。

この映画に関しては、今から2年後、3年後にこれがどう見えるだろうか、というのがとても気になっている。(その見え方も、2013年6月のあの「暴露」の発端からずっと追ってた人と、そうではない人とでは、全然違うと思う。)

映画は日本でも公開されそうな感じなので、そのときに見たい。今はまだ、とにかく映像がスタイリッシュだということくらいしか把握していない。



Citizenfourの監督、ローラ・ポイトラスは、以前も米アカデミー賞の長編ドキュメンタリー部門でノミネートされている。"My Country, My Country" という作品 (2006) だ。米軍占領下のイラクで、議会選挙に臨む候補者で医師の男性を8ヶ月にわたって追ったものだ。
http://www.imdb.com/name/nm0688636/awards?ref_=nm_ql_2
http://en.wikipedia.org/wiki/My_Country,_My_Country

なお、Citizenfourことエドワード・スノーデンが彼女を接触先として選んだのは、彼女自身がドキュメンタリー作家として活動するうちに、空港で足止めを食うなど米国政府からの妨害・嫌がらせを受けているということを知ったこと、彼女の作品(国家による市民の監視に関するもの)を見たことが理由だったという。(なお、空港での足止めは現在はなくなっているとポイトラス本人がオスカー授賞式後のReddit AMAで語っている。)

さて、「まとめ」に入れてあるが、この映画には批判もある。「物語を語る上では何かを省かねばならない」のだが、その「省かれたもの」が問題だという批判だ。批判としてはまっとうなものだし、だからこそどんな表現物についてもそれが言われないことはないと思うのだが、こればかりは映画を見てみないことには何とも言えない。

一方で、時系列を改変するなどして事実をいじっているという批判は目にしていないので、「どう語るか」の問題は別として、「信頼性 credibility」は高いという評価は固まっているのだろうと思う。

Twitter上では、グレン・グリーンウォルドとは必ずしもウマが合わないジャーナリストなども、@を使ってお祝いの言葉を寄せていた。

個人的にくすっとなったのが、元ロイター、現Circaのアンソニー・デローザさんのこのコメントだ。ピュリッツァー賞とアカデミー賞=「次のレベルのEGOT (the Emmy, Grammy, Oscar, and Tony)」(笑)




「スノーデンの暴露」の報道をしてピュリッツァー賞とオスカーを獲得したガーディアンさんは、ほほえましいほどほむほむしているようだ。英国の新聞としては昔から有名だったが、「世界レベル」では不当にも「なにそれくえるのおいしいの」扱いされてきたあの新聞が、ウィキリークス(2010年)以降の数年ですっかり「世界的ブランド」として確立されたばかりか、(直接受けたわけではないにせよ)オスカーまで。






暴露:スノーデンが私に託したファイル暴露:スノーデンが私に託したファイル
グレン・グリーンウォルド 田口俊樹

スノーデンファイル 地球上で最も追われている男の真実 CIA秘録〈下〉-その誕生から今日まで (文春文庫) CIA秘録〈上〉―その誕生から今日まで (文春文庫)

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Citizenfourは最近もトークイベントをやっていた。NYTがやっているTimes Talksで2月15日。エドワード・スノーデンは回線をつないで映像での出演だったが、ローラ・ポイトラスとグレン・グリーンウォルドが、NYTのデイヴィッド・カーと3人で座って話をしていた。(このイベントの直後、デイヴィッド・カーは職場で倒れて亡くなった。







オスカーとったあと、RedditでAMAやってたんですね。




やー、これはおもしろい。あとで全部読もう。




※この記事は

2015年02月24日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 09:30 | TrackBack(0) | i dont think im a pacifist/words at war | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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