チェルシーは19日、目撃者の話などからチームのサポーター3人について本拠地のロンドンのスタジアムへの入場を一時停止すると発表しました。
この問題を巡っては、フランスとイギリスの警察が状況を調べており、チェルシーは3人の当時の行動が確認されれば、生涯にわたり入場を禁止する方針だとしています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150220/k10015603171000.html
(or https://archive.today/fBcbk )
チェルシーにくっついてる人種差別主義者がパリで大騒ぎした件は、延焼しまくっている。現状、まずはUKIP、そして
UKIPに延焼していたのは日本時間で19日の夜のこと。画面を見るとちょうど、"玉木「政治に対しての信頼をどう確保するかという話をしてるんです」 安倍「じゃあ日教組どうすんだ!日教組!」 議長「いやいや総理……ちょっと静かに」 安倍「日教組どうすんだ!」 議長「総理総理ちょっと」" というありえない光景(首相が議場でヤジって議長にいさめられて、なおヤジをやめない。ヤジの内容以前、あの国会は幼稚園か。自民党に投票した人は、自分が支持した議員に「おたくの党総裁の議場での振る舞いはおかしい」と苦情入れてください。あれは正常な民主主義の光景ではありません)の件が流れてきていて、その中にナイジェル・ファラージがいた。
さらに1つ置いてもうひとつ来ていた。
(・_・) pic.twitter.com/M6VUNVDsvY
— nofrills (@nofrills) February 19, 2015
これはファラージの「オウンゴール」というよりまったくの予想外で、あえていえばゴールキーパーが蹴ったボールが審判に当たってそのまま向こうのゴールマウスに吸い込まれていったくらいのことだと思う。上のキャプチャに含まれているのはデイリー・テレグラフ(今いろいろ大変。改めて書く)だが、ここではこんなおいしいネタに無表情で食いついてむしっているガーディアンを見ておくべきだろう。
Chelsea fan in Paris Métro video posed in picture with Nigel Farage
http://www.theguardian.com/politics/2015/feb/19/chelsea-fan-in-paris-metro-video-posed-in-picture-with-nigel-farage
いわく、パリのメトロで黒人男性に対してひどいことをした、チェルシーのサポーターということになっている人種差別主義者集団の中にいたJosh Parsonsという21歳の男が、UKIPのナイジェル・ファラージと仲良く写真におさまってますよー、という話だ。
見出し見ただけで、UKIP陣営が「政治家なんだから、誰とだって写真は撮る」ときぃきぃ言い出しているのがわかる(日本でも稲田氏とか高市氏とかの恥ずかしい写真のときにきぃきぃ声が上がっていたが)。
UKIPが極右中の極右と仲良しであることは既に明らかになっている。隠蔽しようという頭もないのでダダ漏れなのだが、極右中の極右であるBritain Firstが、形式的に自分たちの候補を立てておきながら、支持者にはUKIPの投票を呼びかけるという形でUKIPに協力していた(BFの候補には数十票入るようにしてある)。
ともあれ、ガーディアンの無表情な記事だ。
http://www.theguardian.com/politics/2015/feb/19/chelsea-fan-in-paris-metro-video-posed-in-picture-with-nigel-farage
淡々と事実を伝えるという形式の見出し(Chelsea fan in Paris Métro video posed in picture with Nigel Farage)のこの記事は、次のように書き出されている。
A Chelsea fan filmed while racist chants were shouted on the Paris Métro was a “vocal” supporter of Ukip, even posing with the party’s leader, Nigel Farage.
パリのメトロで人種差別の文言が大声で唱和されているときに姿を撮影されたチェルシーのファンは、UKIPを「声高に」支持し、党首のナイジェル・ファラージと一緒に写真を撮ってもいた。
(・_・) Keep calm and carry on.
いわく、この男はジョシュ・パーソンズという名前で21歳。チェルシーのシーズンチケットを持っている。彼は4ヶ月前に自身のInstagramのアカウントに、ビールを手に、ファラージと並んで撮った写真をアップしていた。"UKIP BOYS! What a geezer" という賛辞とともに……。
パーソンズはパリの地下鉄での騒ぎのビデオに写っていると何人もから指摘され、InstagramやFacebook, Twitterのアカウントを削除している。
UKIPはガーディアンの取材に対し、パーソンズは党員ではなく、「その人のことは聞いたことがない」と回答、写真はロンドンのパブの前で撮影されたものと述べている。また党の広報の担当Gawain Towler氏は(こういうところでちゃんと個人名出すのが英語圏の常識。日本語圏はそれをしないので「情報を隠蔽している」ように見えている)、「ファラージ党首は毎日毎日、支持者も反対者も含め大勢の人々に写真を撮影され、一緒に写真におさまっている」と述べた上で、「UKIPもファラージ党首も、パリのメトロでの一件は不面目なことで、この国もチェルシーFCもあのおかげで恥をかかされたと考えている」とあのような行為を一切支持しないことを明言し、「騒ぎの当事者が誰であるのかが明らかにされ、全面的に法の下で裁かれることになるのを喜ばしく思う」としている。
また、パーソンズの勤め先(記事には企業名が出ている)は人種主義は全面的に否定するとした上で、「パリでの一件について調査を行なっており、それが終わるまでは、彼は仕事には戻らない」と述べている。
記事はここで問題の映像と、パーソンズが映像の中でどういう服装をしているかといったことを挟んで、最後に「学友」に話を聞いている。
こういうときに「学友」が出てくるということは、いい学校に行ってたんだなと読み進めると、学費が年に£30,000もかかるような名門校(サマセット州にあるミルフィールドという私立学校)だ。男女共学で、卒業生にはリリー・アレンとか、ビンラディン家の長兄とか、労働党のルース・ケリーとかいった名前がある。
で、その「学友」いわく、ジョッシュ・パーソンズと弟のビーノ(弟も問題の騒ぎのときに同じパリの地下鉄の車両にいたと考えられる)は学校時代にもUKIP支持者として知られていたという。「個人的に、仲がよかったというわけでは全然ないのですが、非常に強力にUKIPを支持していたというのが興味深いですよね」と。記事の書き出しにある「声高な」支持者というのは、この「学友」氏の発言から取っている。いわく、そういう人は学内に4人か5人しかいなかったし、暴力的だったり無理強いしたりするタイプではなかったが、とにかく声が大きかったと。なお、取材に応じたこの「学友」は人種主義は軽蔑しており、学校全体はそんなふうではないと述べている。
興味深いのは、ナイジェル・ファラージが同じようにイングランド南部の名門校に行って、大学に進まずにシティで仕事を始めているという点も。(ジョッシュ・パーソンズの勤め先は金融の会社。)
一方、記事のこの下には、例の列車に乗っていた17歳のチェルシーのファン、ミッチェル・マッコイという人物が複数のメディアに対し、別に悪いことしてませんけど、と語っていることが報告されている。
これが、正直まったく意味がわからない。
Mitchell McCoy, a 17-year-old Chelsea fan who was also on the train, has spoken to a number of media outlets defending the incident, claiming there was no racism involved. He told LBC: “The carriage was full up, there was no room for him to get on and he tried to force himself on. He was really aggressive, pushing himself. I’d say it was self-defence, pushing him off.”
Asked whether the pushing and chanting were connected, he said: “No of course it wasn’t connected. The press are trying to make something out of nothing.”
ロンドンやパリのような大都会の地下鉄で、あの程度の混雑で「さらに人が乗ってきたら危ない」なんて反応になることはないんじゃないですかね(ビデオを見る限り、立ってても隣の人と体が触れるか触れないかの程度の混み具合)。
この17歳男子、パリからこんなツイートをしてて、あとで消して、アカウントもかぎかけたとか。
(・_・)
This is the guy that reckons nothing racist happened on the Paris Metro. Suddenly protecting his account - @CFCMccoy pic.twitter.com/XavnOXk3Yy
— Otto English (@Otto_English) February 18, 2015
そして新聞記事に……
Well done @CFCMccoy you've made national news #bellend #CFC pic.twitter.com/T5d8WPdPjr
— Mike Langford (@ItsMikeLangford) February 19, 2015
この17歳男子もシーズン・チケット・ホルダーですってよ。
Just a spoilt brat @CFCMccoy #AllRentBoys pic.twitter.com/U6F8H1IhxI
— Gooners 24/7 (@Gooners247) February 19, 2015
チェルサポでいるのって、大変そうだなー。
(いや、ほんと、クラブがもうちょっと毅然と、人種差別主義者は「客」扱いしないようにすべき。80年代、90年代から何も学んでないのだろうか)
@CFCMccoy If you're trying to defend them, stop.
— TweetChelseaFC (@TweetChelseaFC) February 17, 2015
@CFCMccoy Well when there's a video of them stopping a black man into a train and chanting "We're racist"... It doesn't look good.
— TweetChelseaFC (@TweetChelseaFC) February 17, 2015
Name and shame them. One guy in the video: https://t.co/404Hav1bhB He doesn't even seem to regret what he did. @ChelseaFC
— Chelsea HQ (@Chelsea_HQ) February 18, 2015
自分とこのサポのアカウントに対してもこの悪態ですよ。
“@CFCMccoy Asked if would help Chelsea identify fans: "I don't recognise any of them, wouldn't be much use"” pic.twitter.com/HXgYaMnHuN
— Arsenal (@49_invincible) February 18, 2015
この17歳男子については……
Full story with @CFCMcCoy - Chelsea fan: Metro train was full http://t.co/vBpvswN7u2
— Matt McGeehan (@mattmcgeehan) February 18, 2015
うちは少しは自重しなさいw
Getting arrested, arrested, arrested... An thats the way we like it, we like it, we like it, oo woo oo woo @CFCMccoy pic.twitter.com/p28yUlftUB
— Arsenal Views (@arsenal_views) February 19, 2015
ああいうのが本当の「サポーター」ではないことは、2002年に「フーリガン」についての脅威論でマスコミが大騒ぎしている中(データベース検索すると、2001年から02年に「フーリガン」について大量の書籍や記事が出ていることが確認できるはず。テレビのワイドショーもすごかった。おどろおどろしい音楽に資料映像、みたいなのが)、イングランド(やアイルランドやメキシコやブラジルやカメルーンや……)から大勢の「楽しい人たち」が日本に来て楽しんでってくれたことでうちらは直接見ている。こんなことが「ニュース」になることが今後ないように祈るばかり。
CLはやっぱ楽しい。だが、誠に残念ながら英国では最大ニュースとなったのは勿論、一部のチェルシーサポの人種差別的行為だ。彼奴らは英国の恥だ。同じ英国人として申し訳無さ過ぎる。又ここ四半世紀、人種差別を無くすように偉業をしてきた英国サッカー界やチェルシーにも彼奴らのかけた迷惑が大きい
— Ben Mabley(ベン・メイブリー) (@BenMabley) February 18, 2015
※この記事は
2015年02月20日
にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。
- 英国での新型コロナワクチン認可と接種開始、そして誤情報・偽情報について。おまけに..
- 英ボリス・ジョンソン首相、集中治療室へ #新型コロナウイルス
- "Come together as a nation by staying ap..
- 欧州議会の議場で歌われたのは「別れの歌」ではない。「友情の歌」である―−Auld..
- 【訃報】テリー・ジョーンズ
- 英国の「二大政党制」の終わりは、「第三極の台頭」ではなく「一党優位政党制」を意味..
- ロンドン・ブリッジでまたテロ攻撃――テロリストとして有罪になっている人物が、なぜ..
- 「ハロルド・ウィルソンは欧州について中立だった」という言説
- 欧州大陸から来たコンテナと、39人の中国人とされた人々と、アイルランドのトラック..
- 英国で学位を取得した人の残留許可期間が2年になる(テリーザ・メイ内相の「改革」で..