kafranbel-aug2011.jpgシリア緊急募金、およびそのための情報源
UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)
WFP (国連・世界食糧計画)
MSF (国境なき医師団)
認定NPO法人 難民支援協会

……ほか、sskjzさん作成の「まとめ」も参照

お読みください:
「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2007年05月09日

保守党が左傾化している?!

フランスにサッチャリズムの時代が到来とかいってタイムズが喜んでいたが、英保守党がサッチャリズムと決別するらしい。ガーディアン記事だがソースは保守党で、記事から明らかな範囲では「サッチャリズムとの決別」はガーディアンのこじつけの解釈でもない。

サッチャリズムとは:
"You know, there's no such thing as society. There are individual men and women and there are families. And no government can do anything except through people, and people must look after themselves first."
Margaret Thatcher, October 1987

※引用ソースは下記ガーディアン記事。

Tories say next election will be about society, not economics
Will Woodward, chief political correspondent
Wednesday May 9, 2007
http://www.guardian.co.uk/guardianpolitics/story/0,,2075195,00.html
The central debate at the next election will be about society, not economics, the head of the Conservatives' policy review said yesterday, hammering another nail in the coffin of the party's Thatcherite past.

Oliver Letwin went further than his leader, David Cameron, in disowning Margaret Thatcher's famous "no such thing as society" remark. He also acknowledged the Tories' programme for government would disappoint rightwingers who want a more explicit commitment to tax cuts.

"Politics, once econo-centric, must now become socio-centric," Mr Letwin said in a speech to the Policy Exchange thinktank in London. "Instead of being about economics, politics in a post-Marxist age is about the whole way we live our lives; it is about society."

Mr Cameron said last year: "There is such a thing as society, it's just not the same as the state." But Mr Letwin's remarks offer a more explicit rejection of Lady Thatcher's famous remark.

...

The Tories could move beyond Thatcherism because "the capitalist/socialist debate has in general ceased to dominate modern politics", Mr Letwin said. "From Beijing to Brussels, the free market has won the battle of economic ideas."

つまり、オリヴァー・レトウィンが、サッチャーの「社会などというものは存在いたしません。個人あるのみ、家族あるのみでございます」論を否定し、「経済中心ではなく社会中心の政治」をという話をし、保守党政府は減税減税とうるさい右翼をがっかりさせることになるだろう、と。もう全世界キャピタリズムなのですから、今さらサッチャリズムでもないでしょう、と。

キャメロンの「ソサイアティ」発言にも「おい、君は保守党だろう!」と思わされたが、レトウィンのこれには唖然とした。だってdisappoint rightwingersって、この人右翼じゃん。緊縮財政、小さな政府って感じの。なのに「私ども党執行部の考えは右翼をがっかりさせる」って、何だこれ。「私は右翼じゃありません」って?

econo-centric or socio-centricってのは英国の二大政党制の対立軸そのものだ。「ブレアの労働党」がますますecono-centricになって(ブラウンは「減税減税」なプランの人だし、この傾向は強まると思う)、「キャメロンの保守党」がsocio-centricになる? んー、あやしい。絶対にあやしい。

とはいえ、「保守党がサッチャリズムと決別」というのはショッキングでキャッチーではある。労働党が「国有化政策とさよなら」というのと同じ効果をもつ。というか同じか。党是の否定。有権者びっくり。「自民党をぶっ壊す」みたいな話。

というわけで、この「ニュー保守党」も戦略のひとつであることは自明。ではほんとは何をするつもりなのかということについて、労働党からは:
Ed Miliband, minister for the third sector, said: "Oliver Letwin's speech confirms that the policy framework for David Cameron's Conservative party is all about cuts and the withdrawal of the state from its vital responsibilities - it's the same old dogmatic Tory 'laissez-faire' opposition to a modern, enabling state.

"As for the idea that economics doesn't matter, tell that to the 2.5 million more people in work as a result of a Labour government and a country that is better off as a result of 10 years' unprecedented economic growth. Given their record in government, it's no wonder Oliver Letwin is saying the Tories would rather not talk about economics."

※引用中の二番目の引用符の中は「労働党ってすごい」だから、議論としてはどうでもいい。

エド・ミリバンドは1969年生まれ。あのデイヴィッド・ミリバンド(65年生まれ)の弟:
http://en.wikipedia.org/wiki/Ed_Miliband

ふーん、経済学の人で、ゴードン・ブラウンのスピーチライターを経験し、2005年に政界入りで、現在第三セクター担当の閣外大臣か。。。そりゃ保守党を見たらdisるのが仕事だ。ガーディアンに引用されている発言は、正直、コンテクストが少ないから理解できない。何が「国家の責任の放棄、レッセフェール」なのか。まったくわからない。

レトウィン発言が保守党の基本である「民間でできることは民間で」で、なおかつ「社会」が機能するように、という話だとしたら、それは極端な話「警察の民営化」につながってないか。で、それは「レッセフェール」ではない。それは・・・うーん、経済学の人の守備範囲ではないのかな。ていうか「旧態依然とした労働党の左翼」ならここでばしーっと言ってくれるはずなのに、というところでこれか、orzのポーズですよ、モニタの前で。econo-centricでもいいから、もうちょっとしゃきっとしたことが言えないのかなあ。なんで「わが党はスゴい」な話にしちゃうんだ。

あー、ウィキペディアにあるな、「警察」国家論 by レトウィン。
http://en.wikipedia.org/wiki/Oliver_Letwin
As Shadow Home Secretary he attracted plaudits for his advocacy of a "neighbourly society", which manifested itself in calls for street by street neighbourhood policing modelled on the philosophy of the police in New York. He was also largely credited with forcing the Home Secretary to withdraw his proposal in 2001 to introduce an offence of incitement to religious hatred. He successfully argued that such an offence would be impossible to define, so there would be little chance of prosecution. He also argued that Muslims would feel persecuted by such a law.

このreligious hatredのときの議論は何となく覚えてる。法律で固めるのではなく、社会の目で対処しましょうってやつだ。何でもいいからとにかくこの法律の成立は阻止してくれという立場の人もいたと思う。(さすがにうろ覚え。BBCかガーディアンだとは思うが。)

うーむ。ガーディアンは、この人が口にするsocietyというものについて、もう少し慎重になったほうがいいよね。「ガーディアンが書いているから」というだけで釣られる人にはこの記事での提示は危ない。

というか「社会」の話を「経済の専門家」にコメントさせているだけでいいのか? 何かこわいな。ガーディアンがそれで終わらせることはないと期待したい(CiFが熱くなりそうな話だし)。

レトウィンが語るゴードン・ブラウンの政策と保守党:
Mr Letwin said the intellectual battle line with Mr Brown divided the Tories from the chancellor's "provision theory", his "faith in central direction and control". Instead, what Mr Letwin called "Cameron Conservatism" would "establish frameworks that will lead people ... to act of their own volition in ways that will improve society by increasing general wellbeing".

何度か読み返したが、やはりこの人のsocietyという語の使い方はトリッキーだ。ゴードン・ブラウンのvaluesと同じくらいトリッキーだ。

それでも、「労働党には裏切られた」感で憔悴しきっている左派には「サッチャリズムを捨てた保守党」は猛烈にアピールする。北風がやみ、3月末の桜が日本人にアピールするのと同じくらいにアピールする。危険だー。

この「劇場」、お膳立てと裏方仕事は「チーム・キャメロン」がやっていると思われる。ただ「サッチャリズムを超えて」ほどのものになると若手だけじゃできないだろう。現時点ではとりあえず出してみて様子見ってところだろうけれど(でもレトウィンに言わせるか。。。)、これから激しいキャンペーンが始まるのかもしれない。

Team Cameron:
http://conservativehome.blogs.com/torydiary/2007/03/the_cameroons.html






※この記事は

2007年05月09日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 23:53 | Comment(2) | TrackBack(0) | todays news from uk | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは。いつも楽しく読ませてもらってます。

ヘイグ、ダンカンスミス、ハワードと右派の党首を選び続けた保守党も、政権を取るには何が必要なのかようやく理解し始めたんでしょうかね。二大政党がここまで似てくると、投票を決めるのはスキャンダルだったり党首の印象だったり長期政権への飽きだったりするのでしょう。

キャメロンがゴリゴリの右翼を抑えてどこまでこの路線をキープできるか、しばらく見物ですね。
Posted by タツヤ at 2007年05月13日 02:13
>タツヤさん
こんばんは。はじめまして。コメントありがとうございます。

ハワードで右の極みでやってみて選挙で大失敗したのがきいているのか、キャメロンは「一見したところ左」のようなことを好んでやりますよね。その結果、「ブレアのコピー」と揶揄されたりしても、政治的には決してマイナスではないという判断だろうなと思ってます。

> キャメロンがゴリゴリの右翼を抑えてどこまでこの路線をキープできるか、しばらく見物ですね。

同感です。

かたや労働党、ブラウンが本格的なアピールを始めてから支持率急上昇だそうです。

Poll surge as Brown unveils policy blitz
Sunday May 13, 2007
http://observer.guardian.co.uk/politics/story/0,,2078595,00.html

「ブレア批判」で最もよく出てくる「イラク戦争」への批判への対応で、開戦の決定には国会の承認が必須ということにするといった改革をいくつか打ち出しています。
Posted by nofrills at 2007年05月13日 23:50

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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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