「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2014年12月20日

英国の「ブラック・フライデー」(ブラック・アイ・フライデー etc)

東京駅で暴動だ、これはひどいみたいな話があっちからもこっちからも回ってきた。「みんなが話題にしている」状態だったからだ。正直、うるさいばかりで、私はモニタの前で香箱を作りたい(そこに「100周年のお祝いだということを忘れている」という言葉が流れてきたのでずいぶん救われた。目の前にあるものとの接触点があった、どうでもいい愚痴を語れる人がいた、という感覚)。

同じようなことが、11月下旬にもあった。「ブラック・フライデー」とやらだ。北米の習慣が、去年か一昨年くらいに、英国にも持ち込まれたらしい。米国の「感謝祭」(11月最後の木曜日)のあとの金曜日が、冬のセールの開始日として「ブラック・フライデー」と呼ばれる。北米でのその表現を知ったのはずいぶん前のことだが、光景の凡庸さと醜さ(かつて日本の民放の夕方のニュースのどうでもいいワイドショー的な時間帯にやっていた「時間限定セールに我先にと群がるおばちゃん」のいかにも「やらせ」くさい映像を思わせた)にげんなりしただけだ。そもそも北米に興味がないから語源とか見る気にもならずにいて、今もウィキペディアを見てみたが「めっちゃ長い」(百科事典とするにはあまりにも「オタク」趣味な記事のひとつだと思う)というだけで読む気にもなれない。語源としても新しい物件で(1960年代、70年代)、興味をひかれない。ともあれ、そういう米国の「消費」の文化(それを「文化」と呼ぶことが妥当かどうかはさておき)が、「感謝祭」をやりもしない英国にも導入された。2003年に既に1つの例が確認されているようだが、大々的にやったのは2013年のASDAだそうだ(ASDAは元々は英企業だが、いろいろあって、今はWalmart系列で、その「アメリカン・ウェイ」を売りのひとつにしているらしい。日本では西友が系列)。そこからスタートした「英国のブラック・フライデー」は、今年2014年に全土的に広まったようで、11月最後の土曜日(日本時間)の英国のニュースサイトは「殺気立った買い物客の行列」だとか「目を血走らせて大きなテレビにつかみかかっている人」のようなセンセーショナルな写真であふれた。英国は、同じようなことをボクシング・デー(クリスマスの翌日、12月26日)にもやるくせに。どんだけ「消費」させたがってるんだか。

ともあれ、その「ブラック・フライデー」と混同しないでね、という注意書きが必要なのではないかと思われるのが、もうひとつの「ブラック・フライデー」だ(英国では既に「ブラック・フライデー」といえばこれ、というものがあったのを、ASDAが破壊したのだ)。
http://en.wikipedia.org/wiki/Black_Friday_%28partying%29
Black Friday (partying)

In the United Kingdom, Black Friday was a historic nickname within the emergency services for the last Friday before Christmas, as this is the most popular night for office Christmas parties, which consequently makes it one of the busiest nights in the year for ambulances and the police.

「英国において、ブラック・フライデーとは、クリスマスを前にした最後の金曜日のことで、救急サービス内部で古くから使われていた愛称であった。職場のクリスマス会はこの日を選んで行なわれることが最も多く、その結果、救急車や警察にとっては一年で最も忙しい夜のひとつになるから『ブラック』呼ばわりされたのである」

この部分のソースとして、2007年や2008年のBBCなどの記事がリンクされているので、興味のある人はそれを見てみるとおもしろいだろう。

さて、英国が英国なのはこっからである。

However in most of the United Kingdom, including Cumbria, Tyne and Wear, County Durham, North Yorkshire, Northumberland, East Anglia and Scotland, the Friday is referred to as Black Eye Friday, due to extremely high number of fights that break out in bars, pubs and clubs in the area.

「しかしながら、カンブリア、タイン&ウェア、ダーラム州、ノース・ヨークシャー、ノーサンバランド、イースト・アングリア、スコットランドをはじめ、英国のほとんどの地域では、この金曜日は『ブラック・アイ・フライデー』と呼ばれる。理由は、バーやパブやクラブで、喧嘩・乱闘がやたらと多発するからである」

(・_・)
「ブラック・フライデーじゃなくて、ブラック・アイ・フライデーだな、ガハハ!」ってことですね。

なお、「ブラック・アイ」というのは、「日本人が間違える英語」の定番として解説されることがやたらと多いのでみなさんご存知だろうと思うが、「黒い目」のことではなく「目の周りの黒いあざ」のことだ。下記の写真のような……




Supt Leslie said: "Having a good time should not impact on those who just want to have a peaceful festive season.

"They have a right to have a quality of life as well, and we will be out in numbers, in all areas of the division, to make sure they do.

"This year, let the last Friday before Christmas, traditionally when people break up for the holidays, be remembered as Festive Friday, and not Black Eye Friday, as people go out to celebrate at office and works parties."
http://www.bbc.com/news/uk-scotland-south-scotland-30513649

なんかちょっと泣ける。(;_;)

一方で、アメリカからやってきた「ブラック・フライデー」に屈する動きも伝えられている。ウィキペディアから。

In 2013, it started to be named Mad Friday or Builders Friday in parts of South Yorkshire & West Midlands, probably to avoid confusion with the American shopping phenomena at the end of November called Black Friday, as this began to be adopted by many UK retailers in 2012-2013, and it usually coinciding with being the last day of work for many construction workers.
http://en.wikipedia.org/wiki/Black_Friday_%28partying%29

「2013年には、(英国のブラック・フライデーは)、サウス・ヨークシャーやウエスト・ミッドランズの一部地域では、『マッド・フライデー』、『ビルダーズ・フライデー』と呼ばれ始めた。アメリカの商習慣の『ブラック・フライデー』との混同を避けるため、また、建設労働者の多くにとってはこの日が仕事納めとなるからである」

で、Mad FridayはTwitter UKでトレンドしているわけです。



2013年に一部地域で使われだした表現が、拡大・定着してきたのかな。「ブラック・アイ・フライデー」はちょっと物騒すぎるし、警察もあんまり使いたくないみたいだし。。。

……というわけでもなさそうですね。ノース・ヨークシャー警察からのお知らせ。




ロンドンのLBC(ラジオ)からも。




あ、このbooze(形容詞用法)、実例としてメモっておきたい。これは、日本の企業の宣伝(と企業名)にあった"home - homer - homest" と同じ。

この辺の用語法についてはこんなのが。




そして、英国有数の(そこが「英国」かどうかは今は措いといてください)オラオラ地帯である北アイルランド、ベルファストからは……


アリソン姐さん(ベルファストのナショナリスト側に軸足のある媒体、アイリッシュ・ニュースの記者)……。

カンブリアはみんなよい子だったみたいです。




ちなみに、どっかの賭け屋の調べでは、今年のオラオラ度ナンバーワンは……(ドラムロール)……スコットランド、グラスゴー。



※写真がグラスゴーかどうかはわかりませんが、半袖シャツにサンタ帽というカオスさが酔っ払いの凄さを物語っています。

グラスゴーといえば、先日「サンタ」(カギカッコつき)が逮捕されましたね……

サンタが町で逮捕された。その町では道路工事用カラーコーンを何かの上にのっけるのが "伝統" だ。
http://matome.naver.jp/odai/2141882189327464901


※この記事は

2014年12月20日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 23:00 | TrackBack(0) | 英語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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