"It's been a miserable two years," says Mitchell #plebgate pic.twitter.com/kls9EsoVoL
— Sean O'Neill (@TimesCrime) November 27, 2014
不定冠詞のaは、通例、可算名詞の単数形を伴う。
例: a miserable year 「みじめな1年」
ところが上記の例では、a miserable two years と、複数形(それもtwoという数詞つき)を伴っている。これは、おそらく最後に "time" だとか "period" といった「期間」を含意する語が省略されている(発話されていない)例だが、「みじめな2年間」がひとまとまりのものとして扱われ、a がついているのだと思う。
上記の例がタイポではない証として、検索結果より、ほかのニュース。(強調は引用者による)
Mitchell: This has been a miserable two years
http://www.telegraph.co.uk/news/uknews/law-and-order/11258830/Mitchell-This-has-been-a-miserable-two-years.html
記事にインタビューの映像・音声が入っている。はっきりと、"This has been a (brief pause) miserable two years" と言っている(40秒過ぎ)。
Andrew Mitchell: this has been a miserable two years - video
http://www.theguardian.com/politics/video/2014/nov/27/andrew-mitchell-miserable-two-years-video
上のテレグラフと同じ映像。テレグラフのビデオがうまく再生されないときはこちらで。
検索結果のキャプチャ:

で、本稿としては余談なのだが、何があったのかというと、2年前にgovernment chief whipだったアンドルー・ミッチェルがplebという語を使って暴言をはいたという事実があったかどうかが争われていた(くだらない)裁判で、その事実があったと認定されたということ。テレグラフの記事が笑えるので引用。
The MP, who resigned as whip a month after the altercation, had denied saying: "Best you learn your f****** place - you don't run this f****** government - you're f****** plebs."
He said he would never call a policeman a pleb "let alone a f****** pleb" - although he agreed he muttered audibly under his breath 'I thought you lot were supposed to f****** help us' - but not at the officer.
http://www.telegraph.co.uk/news/uknews/law-and-order/11258830/Mitchell-This-has-been-a-miserable-two-years.html
これはplebgateと呼ばれている。plebは辞書引くと「庶民」などという《語義》が示されているが、語感としてはそれどころではなく「平民ども」的な感じらしい。日本語圏での最近の用語でいうと「B層」か。要するに、政治家が国民・有権者を見下した発言である、ということ。
http://ja.urbandictionary.com/define.php?term=pleb
しかもこれだけふんだんに惜しげもなくFワード使ってたら、何ら弁護の余地ないっすね。
ああ、ばかばかしい。
参考書籍(上の本の原書が下):
![]() | 第二外国語として学ぶファッキン英語 スターリング ジョンソン 花くま ゆうさく Sterling Johnson イプシロン出版企画 2005-11 by G-Tools |
![]() | The American Swear Book: English as a Second Fucking Language Sterling Johnson Gibson Square 2012-11-15 by G-Tools |
……まちがえた。 (・_・)
![]() | 英語の冠詞がわかる本―英語の冠詞の用法の「なぜ?」を考える 正保 富三 研究社出版 1996-10 by G-Tools |
※この記事は
2014年11月28日
にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。
【todays news from ukの最新記事】
- 英国での新型コロナワクチン認可と接種開始、そして誤情報・偽情報について。おまけに..
- 英ボリス・ジョンソン首相、集中治療室へ #新型コロナウイルス
- "Come together as a nation by staying ap..
- 欧州議会の議場で歌われたのは「別れの歌」ではない。「友情の歌」である―−Auld..
- 【訃報】テリー・ジョーンズ
- 英国の「二大政党制」の終わりは、「第三極の台頭」ではなく「一党優位政党制」を意味..
- ロンドン・ブリッジでまたテロ攻撃――テロリストとして有罪になっている人物が、なぜ..
- 「ハロルド・ウィルソンは欧州について中立だった」という言説
- 欧州大陸から来たコンテナと、39人の中国人とされた人々と、アイルランドのトラック..
- 英国で学位を取得した人の残留許可期間が2年になる(テリーザ・メイ内相の「改革」で..