なお、この「チャリング・クロス駅」は地下鉄ではなく、地上鉄道 mainline, national railのほうのチャリング・クロス駅である。が、なぜか英メディアまでこのニュースを伝えるのに地下鉄駅の写真を使っているケースもあり、そこで多少の情報の混乱が見られた。
「落ち葉が線路に張り付いているので」くらいなら遅延があってもニュースではないが、ターミナル駅の閉鎖とあればニュースになる。
が、車両のボヤ程度なら「交通情報」どまりだ。それが大きなニュースになったのは、「爆発があった」(より正確には「爆発音がした」)という現場証言があったためだろう。(あとから報じられたのだが現場で「ボムだ、ボムだ」とパニクって騒いだ人がいたらしい。90年代後半の東京の交通機関での「異臭騒ぎ」を思い出す。)
さらにそれがTwitterで「推測」で広まることで、事態が実際より深刻なもののようにして人々の間に伝わる。(そして「こんな深刻なことが起きているのに、なぜマスコミは報じないのか」→「マスコミは意図的に隠蔽している」という、情報化社会ならではの例のサイクルが、いかに限定的な範囲でであっても、始まる。これは別に日本だけのことではない。)
一連の経緯をアーカイヴしておいた。情報の流れがどうなのか、何が伝言ゲームの原因になるかの記録として。
ロンドンの鉄道駅で火災、一時閉鎖……このとき情報はどう流れたか - NAVER まとめ http://t.co/C70N0De254
— nofrills (@nofrills) November 23, 2014
なお、こう書いておいてもリンク先を読まない人がこのエントリだけを見て「おおごと」にしてしまうかもしれないので書いておくが、発生したのは電気系統が原因の小規模な車両火災(ボヤ)で、構内に煙(か水蒸気か、見た目ではわからない)が立ち込めるなどのことはあったが、駅設備には影響はなく、30分くらいで安全が確認された。
「爆発音」はしただろうが、何かがはぜるようなpopという音(電気がショートして火花が散るときのような)なのか、爆弾が炸裂するようなbangという音なのかはTwitter見ててもわからなかった。そういう曖昧なところからも、「Twitter上だけでおおごとになる」という現象は発生するのだろうと思う。
Pretty accurate summary > “@DPJHodges: Small fire on train at Charing Cross. On Twitter it's the new 9/11.”
— James Asser (@JamesAsser) November 23, 2014
※この記事は
2014年11月24日
にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。
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