「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2007年05月05日

テフロン・トニーもそろそろ見納めだが、最後にすごいテフロンっぷりを発揮しているぞ。

トニー・ブレアには「テフロン・トニー(Teflon Tony)」というあだ名がある。スキャンダルもつるんつるんとはじいてしまうからだ。ウィキペディアによると、この「テフロンなんとか」という言い回しは、レーガン政権で民主党の女性議員が「大統領は何でもかんでもはじいてしまう」と述べたときに使ったことに由来しているそうだ。
http://en.wikipedia.org/wiki/Teflon_character

語源薀蓄はどーでもいいのよ。とにかくブレアという人はテフロンで、不動産所得疑惑のときもつるんとはじいたし、イラク戦争では少なくとも2度、非常に大きな場でつるんとはじいた(あるいは、はじいたつもりになっていた)。ほかにもいろいろあったような気がするがよく覚えていない。イラク戦争のときのの一例

それを「すごさ」とか「強み」と考えていたのが、労働党内のブレア派の誤算だったのだろう。その誤算の根底には、「強い男にはみなが憧れる/ついてくる」的なマッチョイズムがあったのだろうけれども。(別な言い方をすれば「強いリーダーシップ」ってやつだな。)

3日に投票が行なわれたスコットランド、ウェールズ、イングランドの各地方自治体議会(スコットランドとウェールズは自治議会も)の選挙の開票がかなり進んでいる。現時点では次の通りだ。

イングランドの各地方自治体の議会(スコットランド、ウェールズは後述)
※312議会のうち291が固まった段階。
 CON  4829人(+837)<見ただけで笑っちゃうような数字が出た
 LAB  1736人(−460)
 LimDem  1965人(−247)
 その他  1031人(−126)

これだけ見ても「労働党のボロ負け」だ。保守党の伸び具合は異常だし、LibDemもすごく減らしているがそれでも議席数はLabより多い。(途中経過だが。)むろん、議会は過半数を制するかどうかが分かれ目だから、単純に議席数だけではよくわかんないところがあるのだけれども、トーリーの「+837」に対しレイバーの「−460」はすごすぎる。

それでもブレアは「次の総選挙に向けて弾みがついた」とわけのわからんことを口走っている。

Blair defiant despite poll losses
Last Updated: Friday, 4 May 2007, 16:14 GMT 17:14 UK
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/politics/6620905.stm
※同じURLで記事が上書きされる可能性もなくはないので、魚拓っておきました
Tony Blair has insisted Labour has a "good springboard" to win the next general election, despite suffering big losses in Scotland, England and Wales.

...

Mr Blair, who is due to announce a date for standing down next week, told the BBC: "People thought it was going to be a rout and it's not turned out like that.

"You always take a hit mid-term, but these results provide a perfectly good springboard to win in the general election."

いや、十分にroutになってますけど、イングランドの数字を見る限りは。「思ってたほどひどくなかった」というなら、どんだけひどい結果になると思ってたんざましょ。

でもまあ、いやぁ、そう言っておかないと労働党全体、特に次の党首ほぼ確定のゴードン・ブラウンの顔つぶしちゃうことになるし、てことだよね。あと少しでお役ごめんのブレアとしては、今できることは顔をつぶさないことだけだし、ならば調合金のような強気のテフロンで行くしかない。

しかしここまで来ると「ギャグ」を超えて、どんな駄作でも「傑作だ」とか「感動できる」とかいった賛辞を並べ立てている宣伝屋みたいだ。

自治議会のほうは下記の通り。

スコットランド自治議会
※129議席のうち122が決まった段階の数字
 SNP  45 (+20) =スコットランド民族党
 LAB  43 (-5)
 LD  16 (-1)
 CON  15 (-1)
 Oth  3 (-13) =Greensが2議席

ウェールズ自治議会
※全60議席確定
 LAB  26 (-3)
 PC  15 (+3) =ウェールズ民族党
 CON  12 (0)
 LD  6 (0)
 Oth  1 (0)

で、スコットランドは「アメリカの大統領選挙ですか」と言いたくなるような「投票用紙のトラブル」が発生して10万票ほど(前代未聞の規模)が無効となり、開票作業が中断という騒動が起きている。また期日前投票(郵便投票)でもトラブルが発生している。いずれも、「自治議会と地方自治体議会の2つの選挙を同時に行ない、自治議会は投票したい候補1人に印をつけ、自治体の議会は議員になってもらいたい順番に番号をふるという2種類の方法がとられたこと」が混乱の原因のひとつのようだ。あと読み取り機を初めて導入したことで混乱があったという事例もあるそうだ。

BBCの解説を見ると、確かにちょっとややこしい。日本で2つの選挙を同時にやるときは、投票用紙は別々に受け取って、それぞれの記入スペースも別々のところにあって、それぞれ目の前にインストラクションが貼ってあると思うのだけど、そういうふうになってなかったのかなあ。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/in_depth/629/629/6511445.stm

Review under way on voting chaos
Last Updated: Friday, 4 May 2007, 15:54 GMT 16:54 UK
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/scotland/6623287.stm
The Electoral Commission said it had begun "with immediate effect" an investigation into the Holyrood election voting chaos.

The polls have been hit by major problems with seven counts suspended and up to 100,000 ballot papers spoilt.

Technical failures, confusion about how to fill in ballot papers and problems with postal votes have all been blamed.


タグ:ブレア

※この記事は

2007年05月05日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 02:08 | Comment(1) | TrackBack(0) | todays news from uk | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
次期労働党党首がゴードン・ブラウンに決まり、つまり6月27日にブレアが退いた次の英国の首相はブラウンということになるのだが:
http://nofrills.seesaa.net/article/42088061.html

一方でスコットランド自治議会ではSNPが、少数ではあるが「与党」となり、SNPのカリスマ、Alex Salmondが自治政府のファーストミニスターに就任した。

しかしスコットランド人のゴードン・ブラウンからは電話の1本もないそうだ。スコッツマン記事:
'Hello Alex, congratulations' ... the call that never came
GERRI PEEV
http://news.scotsman.com/politics.cfm?id=770802007

労働党は党内の左派つぶしが今回の党首選で完了したことを確認したわけだが、次はおそらくスコットランドで「地方選挙はSNP、国政選挙はLabour」とかいう層を完全に自陣に引き入れようとするんじゃなかろうか。LibDemもなんかへろへろだし、スコットランドでは保守党はまるでダメだし、ライバルはSNP、という感じで。と、ただそう思うだけ(特に根拠なし)。

Posted by nofrills at 2007年05月18日 12:48

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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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