ほれ、ハローキティのノートなら騒ぐ愚者ども、https://t.co/Kzi64DV98K のアカウントのアバター見て喜びな。日本のロボットアニメだから(マジンガーゼットか何か?)
— nofrills (@nofrills) July 5, 2014
全然詳しくないのでわからなかったが、これは「グレンダイザー」というロボットアニメのロボットだとご教示いただいた。(調べてみると、年代的に私も子供のころに見ていたはずなのだが、さっぱり記憶にない。)よく見てみると名前も「カリフ・グレンダイザー」となっている(ただこのアカウント、前は違う名前だった。後述)。
グレンダイザーはイラクで超絶人気 RT @nofrills ほれ、ハローキティのノートなら騒ぐ愚者ども、https://t.co/UjjokhK9T9 … のアカウントのアバター見て喜びな。日本のロボットアニメだから(マジンガーゼットか何か?)
— ☪常岡浩介☪ (@shamilsh) July 5, 2014
.@shamilsh 「グレンダイザー」調べました。ご教示多謝。 https://t.co/ZrwtSTmwNR "平和に他の星と共存していたフリード星だったが、ある日宇宙征服を目論むベガ星連合軍の円盤獣による侵略を受けて滅亡する。王子デュークは…脱出。地球に落ち延びたところ…"
— nofrills (@nofrills) July 5, 2014
"1982年から夕方六時に放送され、放送時間になるとイラク中の路地から子供たちの姿が消えたというほど…以降国営放送で繰り返し放送された。宗派や民族をめぐって争いの絶えないイラクで、国民が唯一ともに共感し一致できる話題は「サッカーかグレンダイザーしかない」という冗談まであるという"
— nofrills (@nofrills) July 5, 2014
日本語版ウィキペディアのこの記述は、アジアプレスの坂本卓さんの文章を元にしている。
坂本卓 「ことばで読み解くイラク」(3) 「グレンダイザー」 http://t.co/ZwZ5ZDQiEy "「もちろん覚えている。夕方のコーランのお祈り放送のあと、グレンダイザーが始まった。親戚のお葬式に行って見逃したことがあった。もう悔しくて夜通し泣いた」"
— nofrills (@nofrills) July 5, 2014
坂本卓さんの文章は、2008年5月28日 20:46のタイムスタンプだ。
http://www.asiapress.org/apn/archives/2008/05/28204604.php
日本のアニメはアラブ世界でもひろく放送されてきた。フセイン政権下の80年代、2つのチャンネルしかなかったイラク国営テレビ。ひとつは、政府のニュースや公式番組専門、もうひとつは、アニメやドラマを中心とした娯楽系チャンネルだった。そこで1982年から放送されるようになったのがグレンダイザーだ。
当時、放送時間の夕方6時になると、イラク中の路地から子供たちの姿が消えたというほどの人気で、男児だけでなく、女児もがテレビの前に釘付けになったという。日本のガンダムファンが、他のアニメとは違う格別の思いとこだわりをガンダムに寄せるように、イラク人にとってグレンダイザーは特別である。マジンガーZの延長線上にグレンダイザーがあるはずなのだが、ストーリー性、キャラクターのデザイン性でグレンダイザーに勝るものはなかったという。
確かに、ウィキペディアでストーリーを読むと「平和に共存していた隣国が変質し、侵略者に……」といった展開は、うちら「平和ボケ」になることが許されていた日本人にとっては「フィクションとしてよく書けている」とか「アメリカのSF映画の《設定》と比べてああだこうだ」とかいった反応を導き出すようなものと思うが、中東・アラブやバルカンでは「めっちゃリアル」な寓話として、大人になってからも何度も思い出し、心の中で参照するようなものではなかろうか。
このイラク・グレンダイザー伝説は、放送時に幼年時代だった現在の30代〜40歳代限定である。その下の世代はまた別だ。20歳代から下は、ちびまる子ちゃん、キャプテン翼、ポケモン、名探偵コナンと続く。
サマワで日本が供与した給水車にキャプテン翼(アラブ名キャプテン・マージド)のキャラクターをペイントしたのも、イラクでの日本アニメ人気を知っていたからだろう。
だが、「幸福の黄色いハンカチ」がイラク派遣自衛官の家族の「無事帰国を願うキャンペーン」として使われ、山田洋次監督が違和感を表明したように、政治に結びつく使い方は慎重であるべきだ。キャラクターが著作者の意図を離れて一人歩きしたり、国策に利用されることもある。いずれにしても、グレンダイザーを嫌いというイラク人はいないので、政治を背負わせない形で、なんらかの活躍をしてくれることを個人的には期待している。
http://www.asiapress.org/apn/archives/2008/05/28204604.php
そして坂本さんがこの文章をアップしてから6年後、「グレンダイザー」はネット上で「カリフ・グレンダイザー」として、英語で情報の流れを作るという活動に従事している。
さて、この「カリフ・グレンダイザー」のアカウント、トップの背景画はなかなかにきつい(きついので直接貼りはしないが、キャプチャも取ってあるのでもし変更されていたら参照)。「イスラエル」の形をしたナイフが子供の胸に突き立てられ、ナイフに飛び散った血がガザ地区と、そしてイスラエルによる不法な入植地の建設と隔離壁の建設のためにもはや原型を留めていない西岸地区をかたどっている。ナイフを突き立てる手の背景にはイスラエルの国旗。
残念ながら、この「グレンダイザー」は政治を背負いまくったグレンダイザーだ。
アバターは初めて見たが、アカウントのページで確認してみるとツイート数は6000件を超えているし、写真・ビデオも180点以上投稿している。Favも6000件以上あり、結構前からあるアカウントだろう。ただしこの「カリフ」云々という命名は、つい最近の元AQIこと元ISIS/ISILことISが「カリフ制を設立しますた」と勝手に宣言した(そしてエジプトのカラダウィ師やヨルダンの偉い人などからスカンとスルーを食らっている)ことを受けてのものだろう。
と、調べてみるとまずアカウントの解説は2013年12月の末。@RisingTruth1(たちのぼる真実)というアカウント名で検索してみると、最近まではアカウント名は Truthseeker だったことが確認できる。
ツイートを見たところ、基本的に、ISなるものの「カリフ制」なんちゃらや独裁・圧政に明確に反対しているスタンスで、ニュースとしてもかなり質が高い。問題は、ボム攻撃の現場の写真などをそのまま載せているところだ。私はすでに一度、別のアカウントが平気でツイートしてくるひどい流血写真を見ることの限界を超えてパニック発作を起こしているので、このアカウントはフォローできないが、それが大丈夫な人はフォローしてみるとよいのではないかと思う。
ちなみにフランスではこういうタイトルだったとの由。
http://fr.wikipedia.org/wiki/Goldorak
@shamilsh @nofrills Goldorakざんすな。
— ESHITA Masayuki (@massa27) July 5, 2014
※この記事は
2014年07月06日
にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。
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