30日に逮捕され、一度拘置期限が延長され、対テロ法で認められている48時間×2度で都合4日間を警察署内で過ごしたことになる。多くの場合、これは起訴を前提にがっつり調べている、ということを意味する。いわば起訴コースだ。だが実際にはそうはならず、身柄は釈放された。起訴するかどうかは検察に任され、「先送り」の形だ(後述)。
アダムズ釈放時のBBC Newsトップページ。ページ一番上のティッカーのところに、「ロイヤリストがアントリム警察署に押しかけて道をふさいでいるので、アダムズを乗せた車は裏口から出た」件が速報されている。(警察は正面にニセ車両を回してロイヤリストのデモ隊と遊んであげてたようだ。写真をもっと見たい人はこちらで。)

BBC News - Home via kwout
「ファイルが検察 (PPS: the Public Prosecution Service in Northern Ireland) に送られる」(書類送検)ということだが、起訴されるかどうかは検察の判断になる。ただし話を聞いている限り、起訴されるとは考えづらい(警察の側が出せる証拠が「匿名」か「死者の声」で法廷での証言を望めない以上、どうやっても、公判が維持できるようなものにはなりそうにない)。これは逮捕直後にエド・モロニーやピーター・テイラーが述べていた(4月30日のBBC Newsnight)のと変わっていないと思う。
What it means & what happens when a file is sent to the PPS, as expected in case of Gerry #Adams pic.twitter.com/u5bjXqROI3
— conor macauley (@TVconormac) May 4, 2014なお、現在PPSのトップ(検察長官)をつとめているのは、かつてジェリー・アダムズの弁護士だったBarra McGrory QCであるため、判断は副長官の指揮下で行なわれる。
#PPS press officer: Prosecutorial decision re Gerry Adams will be taken by Barra McGrory QC's deputy Pamela Atchison pic.twitter.com/mSR3Jhh9c1
— Amanda Ferguson (@AmandaFBelfast) May 4, 2014Because he used to be Gerry Adams' solicitor NI DPP Barra McGrory won't take decision on file supplied by police - deputy will take charge
— Mark Devenport (@markdevenport) May 4, 2014以前、ロイヤリスト側について同様の利益相反があったときに(スーパーグラス裁判)、同様に検察内部の当事者が判断に関わらないように別の人が担当したことがあった。そういうことを把握していないロイヤリストの「脊髄反射」しかできないような連中が何日も前から、「司法がIRAに支配されている」という(いつもの)陰謀論を掲げるなどしてきぃきぃと騒いでいるのが、延々とじわじわとRTされるなどしていて非常に雰囲気がよろしくないのだが、あの連中はほっとくしかないというか、メインストリームは無視している(それでいいと思う)。
警察を出る車の中から、アダムズはTwitterに復帰した。(そこか……)
Brendan Behan on release from gaol was told 'It must b great 2 b free', 'It must' he said. Just 2 let U know this tweet is back. Dia daoibh.
— Gerry Adams (@GerryAdamsSF) May 4, 2014引用されているのはアイルランドの詩人・作家でIRAのメンバーであったブレンダン・ビーハン (1923 - 1964) の言葉。なぜビーハンなのかはベテランのジャーナリストにもよくわからないらしいが、きっと深い意味はなく、さくっとツイートに収まる長さでみんなが知ってそうなものだから、とかいう感じなのではないかと思う。
アダムズは警察署を出てからほどなく、長く拠点としてきたベルファスト西部、アンダーソンズタウンにあるバルモラル・ホテルで記者会見を行なった。横に長いテーブルには、マーティン・マクギネス北アイルランド自治政府副首相、メアリ・ルー・マクドナルド副党首、キャロル・ニ・キュリン北アイルランド自治政府文化大臣、ジェリー・ケリー、マルティナ・アンダーソンといった政治家たちが並んだ。
@GerryAdamsSF said he rejects and rejected all allegations made against him on Boston tapes. pic.twitter.com/99jad0Klv3
— Brian Rowan (@BrianPJRowan) May 4, 2014会見後の北アイルランドのメディアのトップページ:
会見の映像は既にSinn Feinの機関紙An PhoblachtのYouTubeチャンネルにアップされている。
https://twitter.com/An_Phoblacht/statuses/463123926990991360
この会見を私はBBC Radio 5 Liveでリアルタイムで聞いていた。アダムズは日本時間4時20分に会見を始め、15分ほど話をして質疑応答に入った。(質疑応答に入ったところで、BBC Radio 5 Liveの中継は打ち切られてしまったが、ジャーナリストたちの実況ツイートによるとかなり濃い質疑が行なわれていたようだ。)
その15分の間に、今回アントリム警察署でどういう事情聴取があったかが語られた。PSNIは事前に10本のテープをボストン・カレッジから入手していたが、回答者が存命中はそれが誰のインタビューなのかは明かせないので(インタビューのそもそもの条件が「本人が死ぬまでは公開しない」だった。この点に法的拘束力が認められていたかどうか、確定情報がなかったのだが、これで確定)、「回答者Aはこう言ってる」、「回答者Bがこう述べた」とアダムズにせまったらしい。これではまともに話をすることはできないわけで、アダムズは会見で「匿名ソースで何をいうか」とめっちゃ怒ってみせていた。警察にとって「PR惨事」だ。
一方で、今回のアダムズ逮捕劇で急浮上してきた「アダムズにとっての過去」という点では……これは稿を改めますよ。
んで、今回、ボストン・カレッジのオーラル・ヒストリー・プロジェクト(歴史研究)をあんな変な形で警察が利用し、それによりアダムズが逮捕されたことについて、シン・フェインは「警察の中の一部勢力が」的な言い方で、「紛争」の時代に非常に汚いことをしていた治安当局のゾンビみたいな生き残りがあれこれ画策している、という陰謀論を披瀝していたのだけれども(そしてその「陰謀論」は根も葉もあるものなのだけれど。警察の側でうごめいているのがノーマン・バクスターだからね)、マーティン・マクギネスがそれを語る言葉がなぜか「ダークサイド」だった。
Martin McGuinness says questioning of Gerry Adams so far has centred on his own writings and books. DFM accuses dark forces within the PSNI.
— michael cairns (@Cairnspolitics) May 1, 2014McGuinness says arrest of Sinn Fein chief Gerry Adams shows "dark side" of N. Ireland policing http://t.co/CJ5byQFfD8 pic.twitter.com/fQBQyij7lh
— BBC News (World) (@BBCWorld) May 2, 2014…………………… (・_・)
「おまえがいうな」(・Д・)
いや、マーティン・マクギネスは本当に真顔だったのだけど……マクギネスにその話をした人が「ダークサイド」という表現を使ったとかで。
Martin McGuinness claimed several senior police sources coined the phrase "dark side" in policing, not him
— Steven McCaffery (@SMcC_TheDetail) May 2, 2014でも、アダムズがシャバに出てきたのが、5月4日の、"May the 4th (force) be with you" の日でしょ。
Gerry Adams says the dark side of the British system cannot deny anyone a citizen based society set out in the Good Friday Agreement
— Clodagh Rice (@journoclo) May 4, 2014Adams : Not to let anyone from the dark side stop any citizen. .. The past is the past. The future is about children and grandchildren.
— Vixenswithconviction (@vixenswc) May 4, 2014Slugger O'Tooleのミックさんがこうなってしまうんだから、ダークサイドは恐ろしい。
Something Something Something Darkside http://t.co/ToDzbibfup
— Mick Fealty (@mickfealty) May 4, 2014#MayTheFourthBeWithYou brought you #DarkSide Production this evening...
— Mick Fealty (@mickfealty) May 4, 2014BBC Radio 5 Liveでも……
BBCの人たち、人の引用として「ダークサイド」って言うのを、明らかに楽しんでるな……
— nofrills (@nofrills) May 4, 2014いや、ほんと「誰がダークサイドやねん」って話で。下記書籍の113ページ。

![]() | Voices from the Grave: Two Men's War in Ireland Ed Moloney Faber & Faber Non-Fiction 2010-10-09 by G-Tools |
ともあれ、本日の釈放から会見までのログは下記。
http://chirpstory.com/li/204147
逮捕時のはここ。
http://matome.naver.jp/odai/2139890896270909001
記録をね、しておかなければね。
以上、中途半端だけどアップしておく。さすがにこれは「下書きフォルダに塩漬け」ってわけにはいかないので。
※この記事は
2014年05月05日
にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。
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