「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2014年01月26日

ロンドン地下鉄の信じられないハプニングと「英国らしさ」(ことが明るみに出たのは作業員の一種の「内部告発」)

もうずいぶんとTwitterでは反響をいただいているのだがこの件:

信じがたい! ロンドン地下鉄、ついうっかりと信号室にセメントを流し込むというハプニング発生!!
http://matome.naver.jp/odai/2139049907051617201


同じことを何度も書くのはタルいので詳細はリンク先で見ていただきたいが、日付が23日から24日に変わってまだしばらくうだうだしているような時間帯に、ロンドンから衝撃写真と衝撃の説明文が流れてきたので、そのままそれが「事実」であるかどうかを確認し(確認できるまで待ち)、顛末を記録しておいた次第。

https://twitter.com/search?q=Victoria&src=tren何が起きたのかというと、上記ページの表題の通りなのだが、さらに驚くべきことに、これがたった一夜で片付いてしまった! ロンドン地下鉄ならああだこうだと言い訳しながら半年くらいかけていても不思議ではないというイメージを持っていてほんと、さーせんした、という感じである。

Twitterでは、「ヴィクトリア・ラインがストップしている」段階ではTrending Topics (UK) に上る気配すらなかっただろうが、「コンクリを流し込んでしまった」ことが判明したときにTTに入っていて(私も「はぁぁぁぁ?!」となっててキャプチャ取り損ねた)、わずか一晩で復旧のニュースが出たときにまたTTに入っていた(via kwout)。














どうしてこうなったかは詳細はわからないが、ヴィクトリア駅改修工事で別の場所(隙間)に流しいれられるはずだった生コンクリートが、おそらくは「穴をふさいでいなかった」とか「間違って接続してしまっていた」とかいったことが原因で、信号室に流れ込んでしまった。

このときの状況を、現場にいた職員は次のように語っている。

“The only word for it is a f*** up of major proportions. Everyone was f-ing and blinding when they realised what had happened.

“It was knee-deep in the signal room swamping all the relay equipment and it’s going to be very, very expensive to repair because it was all brand new.”
http://www.standard.co.uk/news/transport/workers-bought-sugar-from-supermarket-to-slow-cement-flood-farce-on-victoria-line-9081168.html

「ほんとマジかとしか言えない、そういう出来事ですよねー。何があったかに気づいた瞬間、もう全員パニクるしかないという。リレー機材が詰まった信号室で、膝までコンクリ漬けですよ。しかも、機材が全部新品だったので修理するったってものすごい金額になってしまう、そういう状態です」

で、作業員の人たちは近所の店にダッシュして砂糖を調達。それはお茶を入れるためではなく、砂糖でコンクリを固まらないようにできるのだそうだ。「こんなことでもなければ、砂糖でコンクリを固まらないようにできるとは知らなかった」とツイートしている人が何人かいた。




解説はこれ。デイリー・テレグラフの記事を、サイエンス・ミュージアム(科学博物館)がツイートしている。



で、問題はロンドン交通当局の態度。最初、ヴィクトリア・ラインのストップを「floodのため」と説明していた。と言われれば、誰だって水漏れかと思う。たびたび起きる「トラブル」だ。それを解決するために改修工事が行われているわけで、工事が終われば状況はよくなると皆が思っている。

しかるに今回は「洪水」(つまり水もれ)ではなく「洪コンクリート」(つまりコンクリートもれ)だったのだが、「洪コンクリート」だったことがわかったのは、上で見たコメントをしていた作業員の人が、現場写真を撮って外に持ち出したからだとイヴニング・スタンダードの記事にある。一種の「内部告発」だったわけだ。

TfL today came under fire for initially informing commuters the line closure was due to “flooding” but the cover was blown when a worker posted photographs showing racks signalling equipment submerged in cement.
http://www.standard.co.uk/news/transport/workers-bought-sugar-from-supermarket-to-slow-cement-flood-farce-on-victoria-line-9081168.html


インディペンデントにも。"Technically it was flooding" と言われても、通例それは「水」ですよね、としか言いようがないのだが、こういう「言い抜け」は、まあ、あるよね。(恐ろしいのはこういう「言い抜け」が原発のような施設でもありうるということだが。)



「まとめ」で、最初の方で「事実かどうか確定していない」段階で(「確定」させられなかったのだが……あまりに突拍子もないので)、ファクトチェックに問題ないジャーナリストのアカウントがいくつも「事実として扱ってよい情報」と見ていたのは、こういう背景があってのことだったようだ。



昨年、2013年がロンドン地下鉄の記念すべき150周年だったのだが、そんなのんきなネタに気が回らないほどひどい1年で、地下鉄については何も書けていない。

London Underground By Design [ペーパーバック] / Mark Ovenden (著); Particular Books (刊)

※この記事は

2014年01月26日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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▼当ブログで参照・言及するなどした書籍・映画などから▼