信じがたい! ロンドン地下鉄、ついうっかりと信号室にセメントを流し込むというハプニング発生!!
http://matome.naver.jp/odai/2139049907051617201
同じことを何度も書くのはタルいので詳細はリンク先で見ていただきたいが、日付が23日から24日に変わってまだしばらくうだうだしているような時間帯に、ロンドンから衝撃写真と衝撃の説明文が流れてきたので、そのままそれが「事実」であるかどうかを確認し(確認できるまで待ち)、顛末を記録しておいた次第。
何が起きたのかというと、上記ページの表題の通りなのだが、さらに驚くべきことに、これがたった一夜で片付いてしまった! ロンドン地下鉄ならああだこうだと言い訳しながら半年くらいかけていても不思議ではないというイメージを持っていてほんと、さーせんした、という感じである。
Twitterでは、「ヴィクトリア・ラインがストップしている」段階ではTrending Topics (UK) に上る気配すらなかっただろうが、「コンクリを流し込んでしまった」ことが判明したときにTTに入っていて(私も「はぁぁぁぁ?!」となっててキャプチャ取り損ねた)、わずか一晩で復旧のニュースが出たときにまたTTに入っていた(via kwout)。
How the Victoria line signal room looks now.. more here http://t.co/9ZwWscgC5f pic.twitter.com/L784n5bhcD
— The Independent (@Independent) January 24, 2014
ヴィクトリア・ラインの一件、どうやらロンドンの地下鉄利用者の皆さんは単にお茶ふいて、1夜あけて復旧したことで目をくるくるさせたあと、keep calm and carry onしているようだ。(ヴィクトリア・ラインの利用者の方々は「ざけんなよ」くらいは思ったかもしれないが)
— nofrills (@nofrills) January 24, 2014
「信号室にコンクリを流し込んでしまったため」などというのは、あまりに突拍子もないので、「怒る」ことすらできないというか…。
— nofrills (@nofrills) January 24, 2014
@yuki_bateauivre 「また地下鉄動いてないんですか、今度は何ですか、また信号機の故障ですか(やや立腹)・・・はぁぁぁぁ?(驚愕のあまり怒るのを忘れる)」という感じではないかと思いました。「そーいや、俺、沿線だったわ」という人までいるありさまで(^^;)
— nofrills (@nofrills) January 24, 2014
Typical. A day of smirking about the broken Victoria Line. During which I somehow forgot I live on the broken Victoria Line.
— Hugo Rifkind (@hugorifkind) January 23, 2014
どうしてこうなったかは詳細はわからないが、ヴィクトリア駅改修工事で別の場所(隙間)に流しいれられるはずだった生コンクリートが、おそらくは「穴をふさいでいなかった」とか「間違って接続してしまっていた」とかいったことが原因で、信号室に流れ込んでしまった。
このときの状況を、現場にいた職員は次のように語っている。
“The only word for it is a f*** up of major proportions. Everyone was f-ing and blinding when they realised what had happened.
“It was knee-deep in the signal room swamping all the relay equipment and it’s going to be very, very expensive to repair because it was all brand new.”
http://www.standard.co.uk/news/transport/workers-bought-sugar-from-supermarket-to-slow-cement-flood-farce-on-victoria-line-9081168.html
「ほんとマジかとしか言えない、そういう出来事ですよねー。何があったかに気づいた瞬間、もう全員パニクるしかないという。リレー機材が詰まった信号室で、膝までコンクリ漬けですよ。しかも、機材が全部新品だったので修理するったってものすごい金額になってしまう、そういう状態です」
で、作業員の人たちは近所の店にダッシュして砂糖を調達。それはお茶を入れるためではなく、砂糖でコンクリを固まらないようにできるのだそうだ。「こんなことでもなければ、砂糖でコンクリを固まらないようにできるとは知らなかった」とツイートしている人が何人かいた。
despite the whole Victoria Line cement incident being a huge screw-up. I never knew sugar could stop cement setting: http://t.co/N84URNEIjw
— JeezWTF (@JeezWTF) January 24, 2014
解説はこれ。デイリー・テレグラフの記事を、サイエンス・ミュージアム(科学博物館)がツイートしている。
Why sugar helped remove the @victorialine concrete flood http://t.co/yf4y2dLtJi Today's #LunchtimeReading
— Science Museum (@sciencemuseum) January 24, 2014
で、問題はロンドン交通当局の態度。最初、ヴィクトリア・ラインのストップを「floodのため」と説明していた。と言われれば、誰だって水漏れかと思う。たびたび起きる「トラブル」だ。それを解決するために改修工事が行われているわけで、工事が終われば状況はよくなると皆が思っている。
しかるに今回は「洪水」(つまり水もれ)ではなく「洪コンクリート」(つまりコンクリートもれ)だったのだが、「洪コンクリート」だったことがわかったのは、上で見たコメントをしていた作業員の人が、現場写真を撮って外に持ち出したからだとイヴニング・スタンダードの記事にある。一種の「内部告発」だったわけだ。
TfL today came under fire for initially informing commuters the line closure was due to “flooding” but the cover was blown when a worker posted photographs showing racks signalling equipment submerged in cement.
http://www.standard.co.uk/news/transport/workers-bought-sugar-from-supermarket-to-slow-cement-flood-farce-on-victoria-line-9081168.html
インディペンデントにも。"Technically it was flooding" と言われても、通例それは「水」ですよね、としか言いようがないのだが、こういう「言い抜け」は、まあ、あるよね。(恐ろしいのはこういう「言い抜け」が原発のような施設でもありうるということだが。)
“TfL were telling people the reason for the closure was flooding, because technically it was.” http://t.co/5gq8gTeBNd pic.twitter.com/bQrGcU6GyE
— Anya (@anyabike) January 25, 2014
「まとめ」で、最初の方で「事実かどうか確定していない」段階で(「確定」させられなかったのだが……あまりに突拍子もないので)、ファクトチェックに問題ないジャーナリストのアカウントがいくつも「事実として扱ってよい情報」と見ていたのは、こういう背景があってのことだったようだ。
昨年、2013年がロンドン地下鉄の記念すべき150周年だったのだが、そんなのんきなネタに気が回らないほどひどい1年で、地下鉄については何も書けていない。
※この記事は
2014年01月26日
にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。
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