kafranbel-aug2011.jpgシリア緊急募金、およびそのための情報源
UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)
WFP (国連・世界食糧計画)
MSF (国境なき医師団)
認定NPO法人 難民支援協会

……ほか、sskjzさん作成の「まとめ」も参照

お読みください:
「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2007年04月07日

イランで拘束されていた英海軍兵士、「大変な目に遭った」ことを語る。

イラン当局に身柄拘束された英海軍兵士15人の映像が公開された後の3月31日に、ガーディアンのCiFに、テリー・ジョーンズ(モンティ・パイソンのひとりだった人)が「頭に袋もかぶせず、電気ショックもなしで、殴打もせず。あれで辱めとは」という皮肉な記事を書いた。(テリー・ジョーンズはガーディアンで辛辣な皮肉を書き続けている。マリー・アントワネットの「パンがないのなら」のLet them eat cake. をもじって Let them eat bombs. という記事を書いたり。)

Call that humiliation?
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/story/0,,2047128,00.html
日本語化@「暗いニュースリンク」さん

※以下の日本語化は私による。(脊髄反射で日本語化してたのを下書きファイルからレスキューしました。)

テリー・ジョーンズが厳しく指摘した「イランの野蛮さ」とは:
- われわれはあのように捕虜を扱わない。例えば喫煙を許可するなどありえない。(まあ、喫煙は死に直結すると証明されているが。)

- 女性兵士が黒いスカーフの着用を強要された上に、その写真を世界中にばら撒かれた。あれが文明的な行ないといえるか? 袋でいいだろう。頭に袋をかぶせることのどこに問題があるというのか。

- われわれは頭には袋をかぶせる。呼吸がしづらくなるようにだ。そうすれば写真を撮影して世界中にばら撒いても全く問題なし。なぜなら捕虜の顔は見えないからだ。しかるに、今回拘束された英国の兵士たちの顔は丸出しになっている。何たることか。

- テレビカメラの前でしゃべらせるなどあってはならない。しゃべった内容を後から後悔することになるのだからなおさらだ。

- イラン人が、われわれがするように捕虜の口をガムテープでふさげば、話すことなど無理になっていたはずだ。呼吸も苦しくなっていただろうし、頭に袋をかぶせていればなおさらだが、そうしていれば、彼らは少なくとも、辱められることはなかったのだ。

- 「私は元気です」という手紙を書かせるなど意味がわからない。イラン人もそろそろ文明社会と同じように行動すべきではないか。彼らにプライバシーはないのか。捕虜のプライバシーを尊重し、独房に入ることを許すべきだ。米国はグアンタナモでそうしているではないか。

- 文明国の真のしるしとは、侵略したばかりの土地で適当にだれかれかまわず拘束してはすぐに起訴したりしないことである。グアンタナモに収容されている連中は5年にわたってプライバシーを尊重され、最近ようやく1人目が起訴された。

- これにひきかえイランときたら! 拘束した人々をすぐにテレビカメラの前に並ばせるなんて!


このあと、ジョーンズの筆はますます乗ってきて「捕虜には運動をさせねばならない。グアンタナモでは特別の筋トレメニューを用意して、特定のポーズをとらせている」とか、「ひどい筋肉痛になるが健康によい上に、その状態から解放されたいがために何でも自白するというおまけまでついてくる」とか、「テレビでの映像を見る限り、女性兵士のターニーは明らかにプレッシャーを感じている。マスコミが映像を見せた行動心理学者たちはみな、ターニーは『楽しい気分ではなく、ストレスを受けている』との結論で一致しているが、イラン人がどのようにして彼女をそのような状況に追い込んだのか、考えるだけでぞっとする。電気をかけられた形跡もなければ火を押し付けられたこんせきもなく、顔にも殴打の跡はない。まったく受け入れがたい話だ」とかいうことが、「イラクで連合国がしてきたこと」の実例(アブ・グレイブ)を引き合いに出しながら、ジャブの連打って感じで並べられている。

そして最後に、右翼のトンデモ新聞(日本で言えば産経に相当)の記者がどういうことを書いているかを「真顔でジョーク」のノリでびしっと繰り出して、美しく締める。(といっても、テリー・ジョーンズとしては切れ味が今ひとつの文章だとは思う。だってもっとスゴいのあったからなあ。)

んで、そんなテリー・ジョーンズもきっと読んでいるであろう記事。無事に解放され英国に戻ってきた15人が、「大変な目に遭いました」と語る:
Released sailors tell of ordeal
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/6533069.stm

Captured crew tell of ordeal
http://www.guardian.co.uk/iran/story/0,,2051827,00.html

ガーディアンのほうが演出が少ない記事に仕上がっているので(BBCはhypeというかプロパガンダ機関だから、こういうときは)、ガーディアンから引用。

The 15 British sailors and marines captured by Iran said today they were under "constant psychological pressure" during their captivity.

In a prepared statement, two of the freed captives said they were subjected to random interrogations, bound, blindfolded and lined up against a wall while weapons were cocked, making them "fear the worst".

個人的にこの15人に対して何ら悪意は抱いていないし、無事に帰国できたことは本当によかったと思っているけれども(ましてや交戦という事態になっていたらと思うとぞっとする)、「常に心理的なプレッシャーにさらされていた」とか「最悪の事態になるのではないかと思っていた」とか、アブ・グレイブやらバスラやら、あるいはグアンタナモ、あるいはその前からずっとあったパレスチナ、あるいは「紛争」激化過程の北アイルランドなどなど、(あとストックウェル誤射とか東ロンドン警察急襲誤射ってのも入れてもいいかもしれない)そこらへんの民間人を「標的」とした「強権的な独裁政権」とどっこいどっこいの現代英国のやり口がここまで広く世間に知れ渡っているときに、軍人が「こわかったです」と言わされてしまうことは、これは笑うべきか泣くべきか。

ただ、イラン側もど素人ではないので(というか相当の玄人なので)、それなりの「拷問」は加えている。
The crewmen said the Iranians had used trickery and mind games against them but had not carried out mock executions, as had been speculated. They were kept in isolation for several days before they were paraded in front on Iranian television.

ただし英国は、被害者ヅラしてこういうのを「拷問」とは言えない立場にあるから(はっきりと法廷沙汰になった問題では1970年代の北アイルランド。北アイルランドのような大々的な法的問題にならなかったケースはアフリカ大陸、インド亜大陸など旧植民地で山ほどある)、「拷問 torture」という語を使っていない。そのことが私は最も恐ろしい。

兵士たちのステートメント、全文:
http://www.guardian.co.uk/iran/story/0,,2051836,00.html

んで、結局何があってああいうことになったのかはいまだにはっきりとはわからないのだけれども(英国の言い分とイランの言い分がまるっきり違う)。

なお、彼らが帰還したときにブレアが「解放に際しては交渉・合意など一切なし」と説明したが、イラン側がどういうカードを切ったのかについて、BBCのポール・レイノルズ(重鎮)が見事にまとめてくれている。一読の価値あり。例えば:
The decisive moment came with the intervention of Ali Larijani, a senior figure on Iran's National Security Council and the lead negotiator on the nuclear issue, into what had been until then an inconclusive, drawn-out, formal diplomatic exchange through embassies.

He contacted Channel 4 News in London, whose staff met him during a visit to Iran a few months ago. He made it clear in an interview on Monday that Iran wanted a diplomatic solution.

It was diplomacy by media. The normal channels were not functioning, a lesson for the future.

The Larijani interview showed that the mood in Tehran had softened. The day before, hardliners organised a demonstration outside the British embassy.

His intervention indicated that pragmatists had prevailed. This was matched on the British side by a lowering of the temperature, which proved important as it allowed Iran to say that the British were being less arrogant.

When more photos of the prisoners appeared, showing them playing chess and sitting on the floor, chatting and smiling, the UK Foreign Office made no complaint, as it had after earlier pictures.

Channel 4 News presenter Jon Snow told British officials about the origin of the Larijani interview at a briefing for correspondents by the Foreign Secretary Margaret Beckett on Tuesday.

This appeared to galvanise British diplomats into contacting Mr Larijani themselves. That evening, Sir Nigel Sheinwald, Tony Blair's foreign affairs private secretary, spoke to Mr Larijani by phone.

というわけで、通常の外交ルートが使えなかったためにイランは英国の民放チャンネル4に連絡してインタビュー、というところからルートができたようです。ポリティカル・スリラー小説のようだとついつい思ってしまうのだけれど、現実。

最後はイラン側はアハマディネジャド大統領と拘束されていた兵士たちの笑顔の対面という写真をメディア上にがんがん流していたけれど、ブレアの「計算高さ」丸見えの表層的なことば(「イラン国民の皆さんに対して私たちがill willを抱いているわけではなく、単に政府と一致しない点があるだけであり、それは外交で解決すべきと確信している」etc etc)よりずっとインパクト強。

何かこの人(>アハマディネジャド大統領)、一筋縄ではいかないどころか、ものすごくめんどくさそうだ。この2週間の間に、英国外務省&首相官邸辺りで何人が歯軋りで頭痛に見舞われたことだろうか。イランの人が「あれはただの (no more than) ポピュリストだ」と書いてるのを読んだことがあるけれど、「ただの」で片付けられないように思う。

※この記事は

2007年04月07日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 06:38 | Comment(1) | TrackBack(0) | todays news from uk | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
すごいブラックジョーク。。。でなければ何?

英兵の扱いでイランを非難=米
4月7日9時1分配信 時事通信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070407-00000016-jij-int

【ワシントン6日時事】ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)のジョンドロー報道官は6日、イランに捕らわれていた英軍兵士が拘束中、衣服を脱がされて目隠しをされるなどの扱いを受けたと主張していることについて、「彼らが事実ではないことを言っているとは思えない」と指摘。こうしたイラン側の英軍兵士の扱いは「遺憾であり、極めて失望させるものだ」と非難した。AFP通信などが伝えた。 
Posted by nofrills at 2007年04月07日 10:37

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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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