ネットなら「いやいや、あれはアングロサクソンの習慣じゃないっすよ」と言えるが、駅前の信号で見知らぬ人が喋っているのに口をはさむわけにもいかず、つまり普通にスルーしたのだが、実際、ハロウィーンは「アングロサクソン」の習慣ではない。というより、日本語圏でその辺で「アングロサクソン」と言われるとき、それはせいぜいがっさりと「英米」のことで、もっと俗なレベルでは単に「アメリカの(白人社会の)」と言えばいいのを「アングロサクソンの」と言っている場合もある。最初にこういう雑な用語法を広めたのが誰なのか知らないが、非常に迷惑なことだ。
ともあれ、ハロウィーンとは……と、日本語版ウィキペディアを見て、倒れそうになった。
ハロウィン、あるいはハロウィーン(Halloween, Hallowe'en)とは、毎年10月31日に行われる、古代ケルト人が起源と考えられている祭りのこと。もともとは秋の収穫を祝い、悪霊などを追い出す宗教的な意味合いのある行事で、歴史的にイギリスやアイルランドなどアングロ・サクソン系諸国で祝われているが、現代では特にアメリカで民間行事として定着して、……
アイルランドのどこが「アングロ・サクソン系」なんだよ。
誰よ、こういうデタラメを広めているのは。
頭がくらくらするので、本稿を書き始めたきっかけの話題は、少し休憩してから、仕切り直すことにする。その前にウィキペディア……
Update:
ウィキペディアは、「ノート」とかもざっと見て(そういう手間をかけなければならないので編集には気軽には加われない)、「教義をめぐる論争」的なものが起きている(そういうのは、どっかよそでやってください)ところに(前提が「カトリックの習慣ではありません。カトリックの国だからといって、イタリアやスペインにはこんな習慣はありません。こんな習慣があるのはブリテン諸島限定です」という話)、おそらく、ベースとなる知識が何もない人が(←これが問題)何となく文面のつじつまだけ合わせようとしたために(←これがさらに問題。紙媒体の仕事しててもよくあることだけど)、「アイルランドがアングロ・サクソンの国」みたいな珍妙で事実に反するひどい記述ができていることを確認し(また「アイルランド辺境論」かよと思うと心底うんざりする。そーいえば、アイルランドでのカトリック教会による組織的な児童虐待に目を向けようとしなかった人たちが「辺境論」、「特殊論」で語ってたけど、ヴァチカンであのスキャンダルが出た後はどうしてんのかしら)、とりあえず本当にヤバい記述だけはコメントアウトした。(削除しなかったのは、削除するほどこの議論にコミットできないから。どなたか、お願いしますね。私は葬式仏教徒であり、キリスト教の信仰はなく、宗教的な論争の起きている/起きる/起きそうな場には深入りできないので。)
もうこれで、「アイルランドがアングロ・サクソン」みたいなひどい記述はとりあえず見えなくなったし、「イギリス」でハロウィーンのお祭りが「ずっと」(=古代から中世、近世、近代と)行われてきたという事実に反する記述も見えなくなった。
修正後:
修正のサマリー:
"アイルランドはアングロ・サクソンの国ではありませんし、「イギリス」でハロウィンが祝われるようになったのは2000年代以降です。 http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/8335239.stm "
また、本文においても1か所、「要出典」を補った。(「イングランド北部にハロウィーンの習慣が残っていた」って、ソースは? それに、「イングランド北部」っつっても、広いんですよ。いわゆる「ボーダー・エリア」のことなら「イングランド北部」と訳すのは不正確だし。)
ああ、疲れる。。。。。
※この記事は
2013年11月05日
にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。
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