だから、そういう文字情報に接さない人よりはその概念について鋭敏な神経を持っていると思うし、過敏だろうと思う。「日本人は宗教に無感覚なので」とかなんとかがっさりした言い訳をしつつ、「殺人犯の99%がパンを食べたことがありました」的なナンセンスなステートメントとして持ち出される「宗派」性などを見ると、やりきれない。
でも今のエジプトで「コプト教会が襲われた」と聞けば――それも、APとかBBCのような「国際メディア」がそう報じているのを見聞きすれば――、何の留保もなく「またセクタリアン暴力か!」と結論してしまう。
今回、最初はそうだと伝えられていたが、実はそうではなかったのではないかという事件があった。
エジプト、コプト教会での結婚式が、銃を持った男たちに襲われた(但し宗教暴力ではないと当局見解)
http://matome.naver.jp/odai/2138237509815380801
「コプト教会で行われていた結婚式に、ドライヴ・バイ・シューティング(車やバイクで走り去りながら銃撃する)があり、子供を含む式の参列者が多数死傷した」という事件だ。これが(特に字数の少ないTwitterでは)軒並み、「コプト教会に攻撃」という見出しの立て方で伝えられていた。
しかし、容疑者を逮捕したエジプト当局は、「セクタリアンな暴力ではない」と見ている。宗教は動機ではないのではないか、ということだ。つまり、「キリスト教徒だから銃撃した」わけではないのではないか、と。
Major General Hani Abdel Latif, spokesperson for the Interior Ministry, said security forces had intensified efforts to arrest the assailants.
He added that there are three Muslims among the 18 people injured, which shows that the attack was not sectarian in nature. The three received bullets in the stomach.
http://www.albawaba.com/news/egypt-cairo-church-christians-528160
自分がなぜこれを「セクタリアン暴力」と思い込んでいたのかを、エジプトにおけるセクタリアニズム(というかコプト教徒に対する暴力と、その暴力を引き起こすまいとする人々の努力)について2011年1月以降の自分のツイートのログをあさりつつ、概観してみたのが、上記のNAVERまとめのページである。ご一読を。
この事件が、(「コプト教会に」という情報なしで)「結婚式に銃撃」と伝えられていたら、きっと見え方は全然違っていただろう。
(なお、「NAVERまとめ」というツールは、こういう作業が非常にやりやすい。思考の流れを阻害しないのだ。類似のStorify.comなどと比べても全然便利である。)
※この記事は
2013年10月22日
にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。
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