【英文法】関係代名詞、thatかwhichか?
http://matome.naver.jp/odai/2136850801329862601
the house that/which stands on the hill のような関係代名詞主格の制限用法については、通常(英米関係なく)、「thatでもwhichでもどっちでもいい」とされている。
一方で、the house, which stands on the hill のような非制限用法(継続用法)では、「whichでなければならない」とされている。
日本の学校で習う通りである。
しかしこの「どっちでもいい」というのが許せない人々がいるらしく、100年も前から異論がある。「コンマの直後はwhichを使うが、それ以外はthatを用いるべきである」というものだ。
これを「……thatでなければならない」に近い(俗語で言う「原理主義」的な)基準にしているのが、「英文の表記基準の代表格」として名高いシカゴ・マニュアル・オブ・スタイルだ。
http://www.chicagomanualofstyle.org/qanda/data/faq/topics/Whichvs.That.html
この主張はほぼ「疑似科学」的といってよいもので(客観的検証にたえる「基準」は、存在しない)、実際には彼らが述べるほどスッキリとした「使い分け」があるわけではない。英国のその手の「表記基準」として非常に名高い「ファウラー」は、いかにもファウラーらしい遠回しで曖昧な表現で「thatとwhichをかっきりくっきり使い分けたら名文になるかっていうと、そんなことはないわけですね」と述べている。
http://matome.naver.jp/odai/2136850801329862601/2136851445231960103
"If writers would agree to regard that as the defining [restrictive] relative pronoun, and which as the non-defining, there would be much gain both in lucidity and in ease. Some there are who follow this principle now; but it would be idle to pretend that it is the practice either of most or of the best writers."
(限定用法関係代名詞に関して書き手の間で合意がなされれば、明晰で簡単になる。実際そうしている者もいるが、この慣行が見られる文章の書き手が大多数であるとか、最上の書き手がそうしているとかいうふりをするのは、怠惰というものであろう)
それなのに、いまさら、英国の報道機関であるBBCが、「シカゴ」的な基準を採用したらしい。
その結果がこれだ。BBC started to use "that" instead of "which" but is this grammatically correct? They use "that" right after a comma.
慣れないことをするから……。
最初はこのthatは指示代名詞だろうと思った(「同様のサイト、パイレイト・ベイのように、それはブロックされている」)が、読み進めるとそれでは意味がとれない(「ブロックされているパイレイト・ベイのように、IsoHuntも……」でなければ意味が通じない)。どう読んでもこのthatはwhichの誤りである。
もうひとつ、文中の固有名詞についている冠詞(や前置詞)の語頭を大文字にするかしないかという点でも変更が出ている。
この場合、大文字にするのが米国流 (I like The Rolling Stones.)、しないのが英国流 (I like the Rolling Stones.) だが、10月19日のBBC記事を読んでいたら、Theが大文字になっていることに気づいた。
「?」と思ってさかのぼって検索してみたところ、今年の8月に表記基準が変更になっていたようである。
ただBBC Newsでも北アイルランドのは "... the Maze Peace Centre" という小文字の表記のままなので、UK国内ではこのスタイルガイド変更は適用されていないのかもしれない。
もう少し見てみないとわからないが、とりあえず、メモ。
しかし、関係代名詞のこれは、やめてほしいなあ……。
なお、BBCだけではなく、ガーディアンの文法クイズでも同じようなwhich/thatの使い分けの断定があったと思うが、ガーディアンの文法クイズはいろいろとぐだぐだなので(「節」と「句」の区別もついていないのはちょっとね……)参照しない。
※この記事は
2013年10月20日
にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。
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