中でもびっくりしたのは、EDLの創設者、通り名「トミー・ロビンソン」ことスティーヴン・ヤクスレイ=レノンと、彼の年長の右腕、ケヴィン・キャロルが、自分たちが設立して大きくした団体、EDLをやめた、というニュースだ。
EDLの創設者(通称「トミー・ロビンソン」)が、EDLを辞めた。
http://matome.naver.jp/odai/2138122583425849101
EDL = The English Defence League. 「イングランドを守りたいだけなんだよ」的な主張を(誤った認識と無知に基づいて)しているこの団体については、ウィキペディアや以前書いたものを「リンク集」の形にしてあるので(←リンク先、少しスクロールダウンしてください)、まずはそちらをご確認いただきたい。
で、「トミー・ロビンソン」がEDLを辞めた背景は、正直、全然わからないのだが(理解ができない。彼自身の言動が首尾一貫しているようには思えないので)――だから「まとまった文章」は書けないのだが――、少なくとも、断片の集積はしておけるし、それはしておかねばならない。(そういうときに「NAVERまとめ」という断片の集積に最適化されたツールは非常に便利だ。)
そうやって集積している断片のなかからいくつか。
まず、10月28日に英国で放映される密着ドキュメンタリー。
Quitting the English Defence League: When Tommy Met Mo
http://www.radiotimes.com/episode/cpqz64/quitting-the-english-defence-league-when-tommy-met-mo
トミー・ロビンソンは、EDLの「顔」として、たびたびテレビの討論番組などに出ていた(などという基本的なことも知らずに「イギリスは差別やヘイトスピーチは即逮捕」などというデマを撒き散らかしている御仁もいるかもしれないのでご注意を)。そういった場で論争相手となったイスラム教徒のひとりが、EDLの活動禁止を求めて運動していたモハマド(モー)・アンサールさんだった。
BBCが制作したこの番組で、カメラは彼ら2人に密着、互いに約束を守り、アンサールさんがEDLのデモに、「ロビンソン」がウォルソール・モスクに足を運んだ時の様子から、「ロビンソン」がEDLを抜ける過程までを追っているという。
(・_・) まあ、あんまり多くは言葉にしないでおく。
1年もしたら、「ロビンソン」本人が語り下ろした「暴露本」か何かが読めるようになっているだろうから、そのときに。
極右研究の専門家ら数名で運営されているブログ, soupyoneが、ロビンソンのEDL脱退が宣言されて数日後、情報や各方面の分析が落ち着いてきたころに、それらを「まとめ」ている。これは一読の価値がおおいにある。
Rebranding British Neofascism And The EDL
13/10/2013
http://soupyone.wordpress.com/2013/10/13/rebranding-british-neofascism-and-the-edl/
このブログが指摘しているのは、「また分裂か」という点だ。
My own view is that it is merely a rebranding of British neofascism, which has constantly tried to gain ground in the wider world by dumping its unsavoury elements.
This approach has been a constant since the 1950s and Tyndall running around in Nazi gear.
※原文はハイパーリンク多数。原文をご参照ください。
それから、英国を拠点とするジャーナリストで、英国、アイルランドから欧州大陸各所の「極右」事情を調査報道しているブライアン・ウィーランによる「EDLのやってきたこと」についての記事。「EDLという組織そのものより、その過激主義の遺産が危険である」。
The EDL's Extremist Legacy Is More Dangerous Than They Are
http://www.vice.com/en_uk/read/the-edls-extremists
この記事も、また、「分裂」、「切断処理」という戦術が極右で頻繁に見られることを指摘している。1994年3月にBNPのニック・グリフィンが「街頭行動はもうやらない」などと「新たな方針」を宣言した、という事実だ(そして実際に、BNPはそのあとも「街頭行動」などをしている)。
On the 15th of March, 1994, the BNP held a press conference in Newham, at which they declared: “No more marches, no more meetings, no more punch-ups” – and at that point, it seemed as though the far-right’s battle to control the streets of England was over. Sound familiar?
ブライアンは、「EDLはもう解散したというのに、なぜVICEはEDLのことを書き続けるのか」などとあちこちで言われてうんざりしているらしい。
スペクテイターなどの保守党の御用メディアは既に、「ロビンソン」の「ボーン・アゲイン」っぷりを称揚する記事を出しているわけだが、これは「EDL的なもの」を(UKIPではなく)保守党の側に取り込みたいという欲望のあらわれだろうと思う。「欲望」というより、それをしないと選挙で何ともならんということだろう。前回、2010年の総選挙で労働党にあれほどの逆風が吹いていたときでさえ、キャメロンの保守党は選挙でスッキリ勝つことはできなかった。その後の地方選などでは、「UKIPは選択肢になりうる」ことがはっきり示されているわけで、危機感は当然つのっているだろう。次の総選挙は2015年5月に予定されていて、広告代理店とマスコミは既に「選挙モード」に入っているのだが、ここにきて、レイシズムや暴力主義、そして何より反ユダヤ主義を排除した「きれいな極右の取り込み」に保守党が真剣であることは、ますます明白になってきた感じがする。
こんなんもあるし。
Hm. The government has sent 40, 000 texts telling various people to go back where they came from. http://t.co/GiymQSROv1
— Tim Harford (@TimHarford) October 18, 2013
……というわけで、いろいろアップデート的なことは、「NAVERまとめ」のほうで。
http://matome.naver.jp/odai/2138122583425849101
※この記事は
2013年10月19日
にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。
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