外来語を多く取り入れているから語彙が多いというのは英語も同じなのだが(数世紀前に、フランス語から大量に入っている)、それにしても日本語の「カタカナ語」は扱いづらい。「車のドアをロックする」は自然な日本語だが、「カー(ヴィークル)のドアをロックする」ではルー語になってしまうし、「車の扉に鍵をかける」では日常使う乗用車のような感じがしない。「メルトダウンはしないが炉心溶融する可能性がある」論(?)の混乱のときにそういう説明を試みたが、「よくわからないが難しいんだね」的な反応がせいぜいだった。
そんなふうなので、英語と日本語とでは「言葉遊び」の流儀がかなり異なる。ひょっとしたらそれがよくわかるかもしれないTwitterのハッシュタグ大喜利があったので、ほんの一部を拾ってみた。
名作映画を台無しにする! 「映画タイトルに1語加える」の英語圏ハッシュタグが笑える。
http://matome.naver.jp/odai/2138093500518051501
Silence of the Lamb Chops #AddaWordRuinaMovie
— Twelve (@1218artist) October 5, 2013
日本語では(大量に存在する)「同音異義語」を使った遊び(「おやじギャグ」を含め)が一般的だが、英語の言葉遊びでは韻を踏むなどの地口や、1つの語の「多義」性を利用したものが多い。意味を滑らせて遊ぶのだ。実は日本語の「同音異義語」の遊びも、音という点から見ればそうなのだが、英語では「前後の文脈」で意味が決まるので語を付け足すことによってそれは行なわれる。
上記「まとめ」には含めていないが、Passionといえば「熱情、情熱」であったり、「キリストの受難」であったりするわけで、そこをころっと入れ替えて笑いを生じさせるわけだ。
The Culinary Passion of the Christ #addawordruinamovie
— lou Lasher (@LouLasher) October 5, 2013
しかし、「罪の贖い」と「クーポンの引き換え」が同じ語で表される世界というのも不思議なものだが、redemptionは「redeemすること」で、そのredeemが時代とともに《意味》と使われる場面を拡充してきたということだろう。下記のブログさんに現在の用法が解説されている。
http://bizeigo.seesaa.net/article/173273376.html
日本語を外国語として学ぶ人にもきっと、そういう「興味深い」、「不思議な」ポイントはいくつもあるだろう。特に漢字はそうだ。「危機」の「機」が「機会」でも「洗濯機」でも用いられるというのは、うちらは特に言葉について考えてみようというときでもない限り、日常生活でそれらの言葉を使っているときは別に何も考えていないが、たぶん「不思議」に見えると思う。(ネイティヴ日本語話者としてみれば、「機械」と「器械」の違いは何か、みたいなところには意識は行くかもしれない。)
![]() | 不思議な漢字―意外と知らない日本語の謎 (文春文庫PLUS) 志田 唯史 文藝春秋 2004-06 by G-Tools |
※この記事は
2013年10月07日
にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。
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