どのニュースかって? これですよ。「女の人が赤ちゃん産んだ」ニュース。
Private eye's hilarious royal baby headline...a classic pic.twitter.com/jH2UO1kAYO
— Royalist (@royalist) July 24, 2013
(※これについて「あの女が出産した」みたいなトンデモ訳文がウェブ上にありますが、誤訳です。「あの女」なんて書いてないし、Private Eyeのこの見出しの背景には「出産がこんなにニュースになるのはあの特権的な一家だけ」という批判的な見解があります。)
女性週刊誌は早速「お母さんらしくふっくらしたケイトさん、産後のダイエットは」みたいなことをやっているらしいし、病院前での夫妻と赤ちゃんの写真も「ファッションチェック」みたいなのが入ってた。
ともあれ、お子さんが無事に生まれ、お母さんも健康で翌日退院(これは英国ではデフォ)したことは、よいニュースではある。ケンブリッジ公夫妻のようにニュースにならない親御さんたちや赤ちゃんたちにも、健やかなご成長をお祈り申し上げたい。
ときに、この数日間の「フィーバー」の締めくくりとなるであろうニュース。
Duke and Duchess of Cambridge name their baby son George Alexander Louis http://t.co/an3mA9zdmj
— BBC Breaking News (@BBCBreaking) July 24, 2013
「お父さん(ウィリアム)、おじいさん(チャールズ)とかぶらなくて、スコットランド的にめんどくさくない名前」ということで何となく予想していたとおりの、「ジョージ王子」である。
フルネームでは、His Royal Highness (HRH) Prince George Alexander Louis of Cambridge. ジョージという名の英国王はこれまでに6人いるし、アレクサンダーといえば「アレクサンダー大王」。ルイス(ルイ)といえばパンがなければお菓子を食べればいいじゃない。というわけで、やたらと王様っぽい名前の三段重ねだ。
などということはさておき、Georgeは、明らかに、ジョージ5世(エリザベス女王の祖父)、ジョージ6世(エリザベス女王の父=チャールズ王太子の祖父=ウィリアム王子の曽祖父=新生児の曽々祖父)にちなんでいる。むろん、イングランドの守護聖人の名前でもある。
Alexanderは(女性名の「アレクサンドラ」はヴィクトリア女王の娘などにある名前だが)ちょっとわからない。BBC記事によれば、中世のスコットランドの王の名であり(実際スコットランド人にAlexは多い。サッカーのマンU監督を引退したばかりのアレックス・ファーガソンとか、電話の発明者のアレクサンダー・グラハム・ベルのように)、ケイトさん(キャサリン妃)の好きな名前だという。
最後のLouisは、ウィリアム王子の4番目の名 (William Arthur Philip Louis) であり、また1979年8月27日にIRAによって爆殺されたマウントバッテン伯爵の名前でもある。(ウィリアム王子の父親のチャールズ皇太子はマウントバッテン伯を非常に尊敬しており、その死に衝撃を受け、数年後に生まれた息子に「ルイス」の名をつけたという。)
というわけでジョージ王子は生まれて数日で既にニュースの主役となった。7月22日に生まれ、23日のお母さんの退院日には父方のひいおばあちゃん(エリザベス女王)と対面し、24日は母方の祖父母のもとで過ごしたようだ。
ウィキペディアにはもう、長いエントリが立っている。今後も「王室ファン」が面倒を見てくれるだろう。(そして日本のアニメ関連記事のように、ほとんど「百科事典」の体を成さぬほどに詳しくなっていくのだろう。)
https://en.wikipedia.org/wiki/Prince_George_of_Cambridge
しかし、名前が3つというのは短い。お父さんのウィリアム王子が4つで、おじいさんのチャールズ皇太子も4つ、ウィリアム王子の弟のハリー王子も4つだ。
名前3つというと、「庶民」ではないにせよ、アッパー・ミドルクラスやアッパークラスに一般的ではなかろうか。ちょいと見てみると、デイヴィッド・キャメロン首相やトニー・ブレアや、ニック・クレッグが「名前3つ」だ。
お呼びじゃない。
Arise Prince George...lol
— George Galloway (@georgegalloway) July 24, 2013
「ジョージ」といえば、うちら世代はね……(私が初めて買った12インチのひとつ)
この時まだ、ウィリアム王子生まれてないんじゃね?
あと、ジョージ・オーウェルもいるんだけど、オーウェルは筆名(本名はエリック・アーサー・ブレア)。
Complete Works of George Orwell (Illustrated) /...
※この記事は
2013年07月25日
にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。
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