「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

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2013年07月23日

ガーディアンに「王制廃止論者の方はこちら」ボタンがまた出た日。

正直、どうでもいいからあんまり見てないのですが(単に寝ていたので見ていないというのもあるのですが)、(投票しただけだけど)選挙明けでもあり「(有効な)選択肢があるのってすばらしくってよ!」という点ではやはり記録しておきたい件。

まあ、とりあえずBBC。(「とりあえずビール」的に。)


この「記事」の下に並んでいる「ビデオ」の一覧を見ると、「儀式」としては、リアルタイムで見ていたらおもしろかったかもしれない(このご夫妻の結婚式や、ご夫妻のおばあさんの即位60年記念式典、また80年代の首相の「準国葬」級の葬儀のように、英国の国家およびロイヤル筋の「儀式」は見応えがある)。

ともあれ、ご無事でのご出産はおめでたいことである。

さて、日本時間で22日の午前中、私の視界に入る英語圏は「ダッチェス・オヴ・ケンブリッジが出産のため病院へ」の話題で持ちきりとなった。例のかつて「共和主義(王制廃止論) Republicanism」で鳴らしていた新聞も例外ではない

この、2010年のウィキリークスとのコラボ以降、がんがんと世界的知名度・認知度を上げっぱなしのこの新聞は、産業革命の黎明期であった1821年に新興の都市、マンチェスターで創刊されたときから、いわば「反中央」である。具体的には、宗教的にはノン・コンフォーミスト(すなわちイングランド国教会以外の宗派……カトリックはもちろん、プロテスタントでもプレスビテリアン、メソジストなどの各宗派を含め)、政治的にはリベラリスト。マンチェスターでは1819年に選挙制度改革要求の大衆運動(数万人規模)が警察の弾圧を受け、15人が殺されるという(まるで「植民地のような」)事件が起きており、そのデモを支援した『マンチェスター・オブザーヴァー』という新聞が当局によって閉鎖されていた。その閉鎖のあとに、当時の実業界の人々(新興資本家)が創刊したのが、『マンチェスター・ガーディアン』である。そんなこんなで、かなりガチで「反骨」なバックグラウンドを持つ新聞である(よく「わかりやすさ」のためになされる不正確極まりないいいかげんな説明で「日本では朝日新聞に相当する」と言われるが、全然違う)。
http://en.wikipedia.org/wiki/The_Guardian

そのガーディアンの「王制廃止、ひゃっはー」的スタンスが真顔で撤回されたのは、2011年のことだった。最初、それはエイプリル・フールのジョークだった。「あのガーディアンが、ロイヤル・ウェディングを特集」というだけで、当時はお茶をふけたのである(遠い目)。

結婚式当日(2011年4月29日)は、王室ニュースがないと生きていけないタブロイドが早々と(本当に文字通りに)そのニュース一色に染まる中、ガーディアンはしばらくはしれっと通常運転しておいて、(現地で)朝になったらいきなり「そのニュース一色」になっていた

きっと誰もが「マジかよ」と思ったに違いない。が、その「マジかよ」が「マジだったwww」になるには、画面の右上を見さえすればよかった。



用語などの説明は当時書いたのでそちらをご覧いただきたい。

で、2011年のこの結婚式の次に、2012年の女王即位60年(ダイヤモンド・ジュビリー)とロンドン五輪開催にでブリテンの(「イングランド」ではなく)カジュアルなナショナリズムが炸裂して、あのガーディアンの紙面でユニオン・フラッグがぱたぱたするのが常態化するという反動帝国主義的な転回(笑)を経た2013年、重いだしたように、この「王制廃止論者ですか?」ボタンが、今回、また出ているのだ。

私はボタン適用がデフォなのでこんな画面だが(小さくて見づらいが、本文スペース右上の "Royalists?" ボタンに注目):

(偶然なんだろうけど、モリッシー……anti-royal界の鉄板……)

単にガーディアンのサイトにアクセスするとこうなっているはずだ。


これが、「いよいよ産気づいて病院へ」の報があったときから続いている。キャプチャ画像の右肩に注目。







この「切り替えはご自由に」が、特にアメリカで大受けしていたようだが(「ガーディアンっていう新聞、最近になって初めて見てみたんですぅ」っていう人も多いだろう)、WaPoの人は冷静に「結婚式のときもやってた」と指摘している。




このイタリアのジャーナリストさんは「時代が変わりつつあるということだ」と述べているが、どっちに変わったと思っているのだろう。あの(王室ニュースなど無視で当然というスタンスだったはずの)ガーディアンが「ロイヤル・ベイビー」で浮かれている、と言いたいのか、王室ニュース一色の英メディアにようやく風穴、と言いたいのか……後者なら、事実誤認である。




この人のvineの使い方、とてもよい(シンプルで)。




いや、ほんと、病院に入られてからの数時間は、今か今かと固唾をのんで見守っているような人であれば別かもしれないが、「新しいニュースは何もありません」と言うためだけの時間帯であったわけで。







Nobody knows exactly why they are doing it でしょうな……。







「Twitterは3つの派閥に分かれている。いよいよご出産ですね!と大喜びする派、そんなことをいちいち報じるなとぶーぶー言う派、そしてその両者についてフフンって顔をしながら論評する派」。




さらに……




マードック組の人たちは身内で自画自賛(かなり気持ち悪い光景)




これが、ガーディアンの記者に言わせると……ははははは、vomitって言いなよ、素直に。(日本で皇室に赤ちゃんが生まれたときに朝日新聞の記者がこんなこと言わないでしょ? そういうことっすよ)




ところで、今年のガーディアンのエイプリル・フールのネタ、ご記憶だろうか。「ガーディアンがあなたのために情報をチョイスします」というあんまりシャレになっていないネタを、Google Glassという最新のトピックに乗せてシャレにしてしまうという強引なものだったのだが。
http://matome.naver.jp/odai/2136478973142915201?page=2

おまけ:
もしもアメリカのメディアに「リパブリカン」ボタンがあったら……





アップデート:







※この記事は

2013年07月23日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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