kafranbel-aug2011.jpgシリア緊急募金、およびそのための情報源
UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)
WFP (国連・世界食糧計画)
MSF (国境なき医師団)
認定NPO法人 難民支援協会

……ほか、sskjzさん作成の「まとめ」も参照

お読みください:
「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2013年05月30日

18年ぶりに、アイルランドとイングランドが「親善試合」を行なう。

今日(現地29日)、ウェンブリーでは、イングランドとアイルランド共和国の親善試合(サッカー)が行われる。【→試合結果




私がTwitterにログインした状態で検索すると、おもしろいようにアイルランドに偏った結果が表示されるのだが(英メディアじゃなくて、英国の在外アイルランド人のメディアの記事が表示されるなど)、まだ時間的にイングランドは盛り上がっていない(記事がない)のかもしれない。

RTEなどは、試合開始までまだ5時間もあるという段階で、ライヴ・ブログを始めている。
http://www.rte.ie/sport/soccer/international/2013/0529/453400-live-build-up-england-v-ireland/

隣国同士であるにもかかわらず、アイルランドとイングランドの対戦は18年ぶり。1995年2月、アイルランドのランズダウン・ロード(現アヴィヴァ・スタジアム)で行われた試合で観客が大荒れとなって試合が成立しなかったとき以来だ。




上記、アイリッシュ・インディペンデント記事より。
Seven-year-old James Eager ... was sitting in the Lower West Stand with his dad Séamus when David Kelly scored a goal for Ireland.

That single goal in the 27th minute sparked the most notorious riot in the history of Irish sport.

A rain of missiles, iron and wood, flew down from the upper stand.

English fans attacked the unfortunate Irish supporters who had somehow been assigned seats among them.

Within minutes, the image of young James Eager in his green scarf, a face of bewildered innocence in a sea of trouble, was beamed around the world.


この日はイングランドのサポ席の中にアイルランドのサポが混じるという座席配分で、アイルランドが得点を決めた瞬間にイングランドのサポが暴れ出し(椅子をはぎ取って投げるなど、90年代のフーリガニズムの時代の「いつものこと」)、お父さんのシェイマスと一緒に試合を見にいっていた7歳のジェイムズが恐怖に固まる表情はテレビカメラにとらえられ、また翌日の新聞一面に載った。

25日付のアイリッシュ・エグザミナー(コークの新聞)の記事によると、現在26歳になったジェイムズは音楽の技師の仕事をしており、この日のことについては語りたがらないという。記事ではお父さんのシェイマスが当時のことを回想している。「テレビの画面に出てたあの坊や」として一躍有名人になってしまったジェイムズはけっこう大変な目にあったらしい(それが「善意」から出たものであったとしても)。

エグザミナーの記事によると、試合前からダブリンは緊迫したムードで、パブはイングランド人に占拠された状態で、ユニオン・フラッグが掲げられていた(「イングランドの旗」じゃなかったのね……これ、「サッカーでは4ネイションズで」云々っていう浅い解説では零れ落ちる重要ポイント。あの人たち、「ユニオニスト」なので、基本的に)。キックオフ前の国歌のときは双方が野次を飛ばし合っていたが、イングランド側では自分たちのアンセムの間にナチ・サリュートをする連中が出る始末(コンバット18だったというが、あの人たち、単にmenacingなそぶりをしたかっただけで、歴史認識何それ食えるの状態なんだろうなと思う……アイルランドでナチ・サリュートしてもねぇ。中立国ゆえに第二次大戦中はいろいろんがぐぐ)。

アイリッシュ・インディペンデントでは、キックオフの前からスタジアムが異様な空気に満ちていたというメディアのフォトグラファーの証言がある。このフォトグラファーは「暴動」中に頭を鉄の棒に直撃されて頭蓋骨を折るという大けがを負った。鉄の棒を投げたのはイングランドのサポで、この日けがをしたのは全部で24人。また、心臓発作を起こして1人が亡くなった。

一方で、このような騒ぎになった原因についてはかなりがっつりした調査が行われ、札付きのフーリガンを水際で阻止するイングランドの「スポッター」の情報が、アイルランド警察、サッカー協会に正しく伝わっていなかったことが明るみに出た。

(若い人は知らないかもしれないが、2002年のワールドカップ日韓大会のときまでは、これは本当に「問題」だった。日本でも「サッカーといえばフーリガン」という宣伝が行き届いてしまい、どこかのキャンプ地の近くでサッカーなんか知らないし、普段「外人さん」など見かけることはないという環境の町で、そこをキャンプ地とするチームのサポの人が見学に訪れたのを見ておばちゃんたちが「フーリガンがいる」とパニクっているという、どこまでがヨタなのかわからないような週刊誌かスポーツ紙の記事を、当時読んだ記憶がある。結局、2002年の大会ですべてが非常にうまくいったことで、その後はこの「フーリガンの恐怖」煽りはおさまった。)

結局、キックオフから12分で放棄試合となったこの晩のことは、イングランドでは「恥 shame」、「面汚し disgrace」といった言葉で語られた。この日の「再現」記事が、BBCに出ている。
http://www.bbc.co.uk/sport/0/football/22397204

このときアイルランド代表監督を務めていたイングランド人であるジャック・チャールトン(輝かしいイングランド代表歴あり)が、イングランドのサポのあまりの振る舞いにたまりかねて、ピッチで怒りをあらわにする一幕もあった。
JC: "My feelings turned from concern to anger. I was furious about what had happened. It was a game of football and a few silly buggers had turned it into this. I remember getting on the pitch and telling the troublemakers to 'get home' and telling the police 'get them home'. I was furious, but there was nothing I could do about it."
http://www.bbc.co.uk/sport/0/football/22397204


1995年というと、アイルランドとイングランド……いや、英国の関係は、微妙だった。IRAは停戦はしていたが(1994年の停戦が、1996年2月に破られる前)、まだ「紛争」は続いていて、C18のような極右集団にとっては「アイリッシュ」=「IRA」だった。

今は、それとは時代が違う。(北アイルランドではどうか、という話は別だが。←2009年の記事。リパブリカンの墓地にC18が落書きをして、リパブリカンが激怒……どっちがおっかないんだか。)

昨年、2012年のロンドン五輪でも、アイルランドのファンが大挙して試合会場に訪れる機会があったが(女子ボクシングのケイティ・テイラーの試合など)、結局、陽気に歌って陽気に騒いで、"best fans in the world" の定評をさらに固めて愉快に去っていった。

1995年の騒動のとき、イングランドのサポたちは例の「お歌」を歌った。

No surrender

Give me St George in my heart, keep me English
Give me St George in my heart, I say
Give me St George in my heart, keep me English
Keep me English to my dying day
No surrender
No surrender
No surrender to the IRA (scum)

http://www.baoom.com/premiershipsongschants/england.htm


どういう「お歌」なのかは、YouTubeで検索すれば、スコットランドのRangersのサポが歌ってるのなどが聞ける。(リンクはしません。極右パンクの同名の曲などもあるのでご注意を。)上記の歌詞を、下記の讃美歌(パイプオルガンの演奏)のメロディで歌うというものだ。



今日の試合に先立って、イングランドのホジソン監督は、チケットを買ったサポーター全員に宛てて、「相手チームのサポーターを怒らせる歌を歌わないようお願いします」というメールを送信したという。
http://www.mirror.co.uk/sport/football/news/england-fans-anti-ira-chant-roy-1916447
“Ahead of the Ireland fixture, on behalf of the FA, I would like to ask our supporters to please respect our opponents and welcome them in the right way.

“Wembley is considered the world over as the home of football and we ask those attending to not take part in any chanting – particularly of a religious or political perspective – which could cause offence to our visitors or fellow fans.”

Hodgson’s message will be emailed on Tuesday to the 70,000 ticket-holders attending the Wembley clash.


これまで20年以上、ずっとこの「問題」を放置してきたイングランドのFAが、ここにきて「政治的」な行動に出ていることについては、マーク・ペリマンがちょっと書いている。

Why England fans should surrender their traditional chant
Mark Perryman
guardian.co.uk, Monday 27 May 2013 11.38 BST
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2013/may/27/england-fans-no-surrender-chant-wednesday

「ノー・サレンダーって言っておいて、サレンダーしてばかり」とかいう軽口もあって面白い文章だが、コメント欄がまた面白い。北アイルランドおたく垂涎のだらだらとしたおしゃべり。

この「お歌」が「イングランドのサポの歌」になった経緯ははっきりとはわかっていない。BBC記事より。
So why and when did some fans adopt No Surrender?

No-one seems to have an exact explanation. It probably doesn't go as far back as the first flush of British football hooliganism in the 1970s, says Andy Lyons, editor of fanzine When Saturday Comes.

It is assumed that the adoption of the song came from mixing between Rangers fans - some of whom had loyalist sympathies - and English fans in the 1980s, says Lyons. After 1985, English clubs were banned from European competition after the deaths of 39 Juventus fans in a European Cup final with Liverpool.

During the ban, some English fans started to follow Rangers in Europe and there were Rangers fans who supported England. The song - which seems linked to Northern Irish unionist or loyalist politics - may have been adopted at this point, says Lyons.

While this theory is a common one, there's no concrete evidence, notes Lyons.
http://www.bbc.co.uk/news/magazine-22688494


通説としては、1985年以降、イングランドのクラブが欧州での試合から締め出されていたとき(「ヘイゼルの悲劇」による懲罰)、イングランドのサポがスコットランドのロイヤリスト/ユニオニスト側のチームであるレンジャーズをフォローしていて、そのときにレンジャーズの(対セルティックの)歌を自分たちのものとしたのではないかというが、これも不確実である。

いずれにせよ、イングランドのサポは、1998年のグッドフライデー合意から何年が経とうとも、相手がアイルランドとはまるで関係のない国の代表であろうとも、なぜかこの「お歌」を歌う。

何も考えていないのだろう。「反イスラム過激派」の集まりであるはずのEDLのデモでも、この「お歌」は歌われるのだから、単に「誰かの顔を見ると歌いたくなる」とかそういうのかもしれない。

この件、ミラーの記事が非常に興味深いのでそちらもぜひ。
No more No Surrender: Why it's time to admit the anti-IRA chant has no place at an England match
22 May 2013 07:30
By Oliver Holt
http://www.mirror.co.uk/sport/football/news/no-surrender-ira-chant-no-1903524

The FA are right to have sent the letter. Inactivity would have left them open to accusations of negligence if the chanting occurs.

The flipside, though, as many pointed out on Monday, is that telling supporters not to do something often acts as an incentive to disobey.

Perhaps it is naive to think that next week’s ‘friendly’ will not turn into a slanging match about the competing atrocities of the IRA and the Black and Tans.

Some supporters may join in with the No Surrender chorus, which has been getting louder recently at England games, merely because others are doing it.

That’s part of the thing about football, after all.

Being one of the tribe. Being part of a collective. Losing yourself in the anonymity of the crowd.

But there’s another reason why some fans – and only some – sing No Surrender, and we might as well be honest about it.

It is because it is one of the slogans and marching songs of the English Defence League.

There is a reluctance to confront this. Maybe because it is not overt. Maybe because it is open to interpretation.

...
People have different reasons for singing it, but we cannot ignore either its history or its modern connotations.

It was once associated with the National Front. Now, it has become one of the slogans of the English Defence League.

For many, it has very little to do with Ireland any more.

It has moved on to No Surrender to some perceived Islamification of Britain.

“This is Britain”, one slogan on an EDL video, where No Surrender crops up all the time, reads, “Love it or Leave”.

So, sure, I accept that singing No Surrender is not against the law.

And I accept that different England fans will have different reasons for singing it.

もうすっかり「EDLの一部」になってるふうはある、ということか。

※こんな話題の記事でもコメント欄に「どのIRAのこと?」というのがあって、笑える。

一方で、この「歴史的」な試合の日には、こんなニュースもあった。ロンドンの何か所かにチェーン展開しているカクテル・バーが、「サンデー・ブラディ・サンデー」と名付けたカクテルを出しているという。「サンデー」はSundayではなくSundae(「アイスクリーム・サンデー」)だが、一番上におもちゃの兵隊(プラスチックの人形)が乗っている。こんなのを注文して「ウケル〜」とかいっていた人がいたんだろうか。










このとんでもないカクテルを発見したのはロンドン在住のベルファスト出身の男性。この人がベルファスト・テレグラフに写真付きでタレこんだのが、各メディアでリレーされている。
"I really couldn't believe it to be honest, when I first saw it on the menu. I didn't think it was too bad until I saw the soldier perched on top," he said.

"It was so offensive. If it had been another atrocity – one in England for example – they wouldn't have done this."
http://www.belfasttelegraph.co.uk/news/local-national/northern-ireland/fury-at-london-pubs-bloody-sundae-cocktail-topped-with-toy-soldier-29304195.html


Twitterでは「アイリッシュ・カー・ボムっていうカクテルはどうなんだ」とか言ってるアホがいるが(こういう「何でも相対化しないと気が済まないバカ」はどこにでもいる。最終的に言いたいことは「どっちもどっち」、「歴史にはよくあること」など)、あれはアメリカ人が考えたものだ。文句があるならバカなアメリカ人に言え。どこかのバーが、自国の軍隊が非武装の自国民を射殺した陰惨な出来事にちなんだカクテルを作るなどという、「悪趣味」では済まない、非常に侮辱的な発想をしているのとは違う。

Whatever you do, please do not order an Irish Car Bomb in Ireland. If you do, you'll fully deserve to be thrown out of the pub.

... Because of the Irish ingredients, someone thought it was a good idea to name it an Irish Car Bomb. It was not. Car bombs are not taken lightly in Ireland and the name makes reference to a difficult time in Ireland ...
http://www.huffingtonpost.com/2013/03/14/irish-car-bomb-drink_n_2867367.html




No Surrenderがなぜこのましくないのかについて、BBCの記事がおかしい。
On the surface of it, expressing historic resentment towards an organisation that killed civilians and soldiers in the UK could hardly be construed as a breach of section five of the Public Order Act. Or indeed "offensive" in any meaningful sense of the word.

But the way the song persists so long after the Good Friday Agreement is more than a little odd.
http://www.bbc.co.uk/news/magazine-22688494

そーゆー小理屈じゃなくて、単に、IRAとは関係のないアイルランド人までまとめて「IRA」扱いしてきたことへの目配りとか、しない/できないんすかね。

こないだウェンブリーでドイツのチーム同士のCL決勝があったけど、サッカーでのイングランドとドイツとの関係が「まとも」になったのはようやく2006年(ワールドカップのドイツ大会)でしょう。それまでは第二次大戦をネタにしたdisり大会になってたわけで。

この歌をFAが「禁止する」ことの是非と、一部のサポが歌うことの是非と、よりによってこの対戦相手(アイルランド)のときにこの歌を歌うこととの区別くらい、つけませんかと思う次第。

※この記事は

2013年05月30日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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