englishdefenceleague.org/divisions
その「ブリストル支部」が、25日(土)、ブリストル市街でデモだかパレードだかを行なった。同じ日にニューカッスルでもEDLの行動があり、こちらは以前からEDLが活発な地域なのだが、土曜日の行動はwithout incidentで終わった。ブリストルが始まったのはそのあとだった。
経緯を一応、Twitterで追っていた。Storifyのエディターが使いづらくてページが3分割になってしまったが、ログ。
http://storify.com/nofrills/edl-marching-in-bristol
http://storify.com/nofrills/edl-marching-in-bristol-25-may-2013-page-two
http://storify.com/nofrills/edl-marching-in-bristol-25-may-2013-page-three
最終的には、EDLのみなさんは騎馬警官とごっついランドローバーによって封じ込められ、パブに立てこもり、そこで酒盛りをしたのならまだ経済効果があるというものだが、バリケードを築くため店内を無茶苦茶にしたそうだ。しかもそのパブの名前が「聖ジョージ」。English Defence Leagueが聞いてあきれる。
#EDL English 'Defence' League smash up a pub called the St George in Bristol #irony #ignorantfashweek twitter.com/edlnews/status…
— EDL News (@edlnews) May 25, 2013
だいたい、「過激なイスラム主義を許さないぞーー」という名目の集団が、「過激なイスラム主義」(お酒は絶対禁止)の人たちでもイングランドではやらない「パブの破壊」をやってどうする、という。
ソーシャルメディアで広まったこのパブの写真は、店内にたまたまいて出られなくなった一般の人によるもののようで、ブリストルの地域メディアが「まとめ」ページを作っている。この人が携帯電話で撮影したビデオもアップされている。
http://www.bristolpost.co.uk/Bristol-man-trapped-inside-St-George-pub-takes/story-19089551-detail/story.html
EDLについて知りたい人には、ある意味、宝の山。彼らが彼らだけになったときに何をしているかがわかるので。といっても基本的に飲んで歌ってるだけなので、全然、大したことはないかも、ですが(サッカーのイングランド代表のフーリガン)。
ビデオには、警官隊と衝突して(というよりがっちがちの暴動装備の警官隊にぼこぼこにされて)パニクって逃げてくるEDLとか、衝突でけがをしたかショックを受けたかで自力では歩けなくなっているEDLなどもあります。これは、数時間放置しておけば北アイルランドからプロパガンダの応援がくると思います(北アイルランドでは最近の「旗騒動」で、何かというとpolice brutalityと叫ぶというプロパガンダが実行。NIではナショナリストが自分たちの経験を思い出しては「こやつめ、ははは」と笑いものにして終わった感があるのですが)。
via https://twitter.com/edlnews/status/338403538457747457
さて。こういうとき必ず出る「デマ」の話。「デマ」というのは、そう書かないと日本語圏が反応しないためにやむなく使っている表現で、正確には「うわさ rumour」です。
私が確認できたもので最初のはこれ。ツイートの主のNさんはブリストル在住のソマリア人かソマリア系の女性。
※うわさ rumour: Reports of a #somali woman attacked by #EDL in Bristol are just coming though. This is getting out of hand fek-wits.
お兄さんから「こういう話があるけれど、おかんは大丈夫か」と電話連絡が入ったことでこうツイートしたようです。なのでこれには多分どこにも「悪意」はない。ただ、これが広まって「流言」化してるんですよね……。中でもこんなのがあって:
※うわさ rumour: We have heard that the #EDL have attacked a somali woman in Bristol. We are just trying to get it confirmed
これなんかは「事実確認作業中です」と書き添えてツイートするなら、ツイートすべきではない話題だと判断できてないことが問題。「交通事故で死者が出ている可能性があり、警察が確認作業中です」というのとは違うのだから。
同種の「こんな報告があるが、事実でないことを願う」という形での "拡散" の例もあります。これも本人には「悪意」はないと思います。
次に気づいたのがこれ。ヒジャブを身に着けた女性のアバターで、実際にムスリマの方のようです。住んでいる場所などは書かれてないから不明。「ソマリア人が襲われた」とは違う「噂」です。
※うわさ rumour: How I'm hearing two Muslims got killed today by the edl in Bristol? Whattttttr
でもこの人のツイート、ちょっと眺めてると、何というか、「福島の原発事故で東日本が壊滅」という悪いニュースを待ち望んでいた人たちのツイートと同じにおいがするというか……私が疲れているだけかもしれないのでこれ以上は見ないことにします。
これと同じ内容なのが:
※うわさ rumour: Why Am I Hearing EDL Killed Couple People Already In Bristol, What The F*ck Is This World Coming Too
「どうしてこんな話を聞いているんだ」って、こういうときには流言飛語が飛び交うものだからですね。
同じなのはまだあって:
※うわさ rumour: 2 men got killed in Bristol few hours ago...the EDL have done it. Subhanallah :(
※うわさ rumour: EDL have killed 2 innocent muslims.. Isn't that "terrorism"?
@N***** a few ppl have tweeted it and apparently its on facebook too..
@N***** probli just false rumours but may b true.. Still the attack on the 16 year old girl is enough
「16歳の女子が攻撃された」? また別の話が出てきたね。
さらに人数どん:
※うわさ rumour: WOOOOW so four muslims in bristol were killed by the EDL march in Easton.
これは、この人の英語の「文体」が読めないのですが(「英語が読めない」のと「文体が読めない」のは違いますので、念のため……って書いておかないと「アメリカ在住です」みたいなトロールが湧くのでね)、この人が「悪意」のあるデマゴーグである可能性を否定できる要素はありません。このあとでこの同じ人が「トミー・ロビンソン」に食ってかかってるのですが、そこで「トミー・ロビンソン」ではない人とのやりとりになり、それがどうも……基本に「メディア不信」と、ひょっとしたら「陰謀論」がある。人が殺されたというのが本当なら警察が黙っているはずはないので(検死を行なう義務が生じる事例)、(メディアではなく)警察を見ていないといけないのだけど、この人は「メディア」だけを見て、その話にずらし込んでしまう。
なお、「ソマリア人女性が襲われた」にせよ「2人殺された」にせよ、何時間か経過しても確定の情報は出ませんでした。
BBC Newsでも、ニューカッスルは伝えているけれど(記者を出していたんでしょう。要注意地域だから)ブリストルは記事がないみたい。
※この記事は
2013年05月26日
にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。
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