「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2013年05月26日

5月25日(土)、ブリストルでのEDLのデモ(付:こういうとき必ず出る「デマ」の話)

あまり知られていないかもしれないが(私も調べるまでは知らなかった)、イングランドの中でも「リベラル」なイメージの強い南西部の都市、ブリストルに、EDL (the English Defence League) の支部がある。
englishdefenceleague.org/divisions

その「ブリストル支部」が、25日(土)、ブリストル市街でデモだかパレードだかを行なった。同じ日にニューカッスルでもEDLの行動があり、こちらは以前からEDLが活発な地域なのだが、土曜日の行動はwithout incidentで終わった。ブリストルが始まったのはそのあとだった。

経緯を一応、Twitterで追っていた。Storifyのエディターが使いづらくてページが3分割になってしまったが、ログ。
http://storify.com/nofrills/edl-marching-in-bristol
http://storify.com/nofrills/edl-marching-in-bristol-25-may-2013-page-two
http://storify.com/nofrills/edl-marching-in-bristol-25-may-2013-page-three

最終的には、EDLのみなさんは騎馬警官とごっついランドローバーによって封じ込められ、パブに立てこもり、そこで酒盛りをしたのならまだ経済効果があるというものだが、バリケードを築くため店内を無茶苦茶にしたそうだ。しかもそのパブの名前が「聖ジョージ」。English Defence Leagueが聞いてあきれる。




だいたい、「過激なイスラム主義を許さないぞーー」という名目の集団が、「過激なイスラム主義」(お酒は絶対禁止)の人たちでもイングランドではやらない「パブの破壊」をやってどうする、という。

ソーシャルメディアで広まったこのパブの写真は、店内にたまたまいて出られなくなった一般の人によるもののようで、ブリストルの地域メディアが「まとめ」ページを作っている。この人が携帯電話で撮影したビデオもアップされている。
http://www.bristolpost.co.uk/Bristol-man-trapped-inside-St-George-pub-takes/story-19089551-detail/story.html

EDLについて知りたい人には、ある意味、宝の山。彼らが彼らだけになったときに何をしているかがわかるので。といっても基本的に飲んで歌ってるだけなので、全然、大したことはないかも、ですが(サッカーのイングランド代表のフーリガン)。

ビデオには、警官隊と衝突して(というよりがっちがちの暴動装備の警官隊にぼこぼこにされて)パニクって逃げてくるEDLとか、衝突でけがをしたかショックを受けたかで自力では歩けなくなっているEDLなどもあります。これは、数時間放置しておけば北アイルランドからプロパガンダの応援がくると思います(北アイルランドでは最近の「旗騒動」で、何かというとpolice brutalityと叫ぶというプロパガンダが実行。NIではナショナリストが自分たちの経験を思い出しては「こやつめ、ははは」と笑いものにして終わった感があるのですが)。

[Footage] #EDL fight mounted Police at a Bristol pub.  on Twitpic
via https://twitter.com/edlnews/status/338403538457747457

さて。こういうとき必ず出る「デマ」の話。「デマ」というのは、そう書かないと日本語圏が反応しないためにやむなく使っている表現で、正確には「うわさ rumour」です。

私が確認できたもので最初のはこれ。ツイートの主のNさんはブリストル在住のソマリア人かソマリア系の女性。
※うわさ rumour: Reports of a #somali woman attacked by #EDL in Bristol are just coming though. This is getting out of hand fek-wits.

お兄さんから「こういう話があるけれど、おかんは大丈夫か」と電話連絡が入ったことでこうツイートしたようです。なのでこれには多分どこにも「悪意」はない。ただ、これが広まって「流言」化してるんですよね……。中でもこんなのがあって:
※うわさ rumour: We have heard that the #EDL have attacked a somali woman in Bristol. We are just trying to get it confirmed

これなんかは「事実確認作業中です」と書き添えてツイートするなら、ツイートすべきではない話題だと判断できてないことが問題。「交通事故で死者が出ている可能性があり、警察が確認作業中です」というのとは違うのだから。

同種の「こんな報告があるが、事実でないことを願う」という形での "拡散" の例もあります。これも本人には「悪意」はないと思います。

次に気づいたのがこれ。ヒジャブを身に着けた女性のアバターで、実際にムスリマの方のようです。住んでいる場所などは書かれてないから不明。「ソマリア人が襲われた」とは違う「噂」です。
※うわさ rumour: How I'm hearing two Muslims got killed today by the edl in Bristol? Whattttttr

でもこの人のツイート、ちょっと眺めてると、何というか、「福島の原発事故で東日本が壊滅」という悪いニュースを待ち望んでいた人たちのツイートと同じにおいがするというか……私が疲れているだけかもしれないのでこれ以上は見ないことにします。

これと同じ内容なのが:
※うわさ rumour: Why Am I Hearing EDL Killed Couple People Already In Bristol, What The F*ck Is This World Coming Too

「どうしてこんな話を聞いているんだ」って、こういうときには流言飛語が飛び交うものだからですね。

同じなのはまだあって:
※うわさ rumour: 2 men got killed in Bristol few hours ago...the EDL have done it. Subhanallah :(


※うわさ rumour: EDL have killed 2 innocent muslims.. Isn't that "terrorism"?

@N***** a few ppl have tweeted it and apparently its on facebook too..

@N***** probli just false rumours but may b true.. Still the attack on the 16 year old girl is enough

「16歳の女子が攻撃された」? また別の話が出てきたね。

さらに人数どん:
※うわさ rumour: WOOOOW so four muslims in bristol were killed by the EDL march in Easton.

これは、この人の英語の「文体」が読めないのですが(「英語が読めない」のと「文体が読めない」のは違いますので、念のため……って書いておかないと「アメリカ在住です」みたいなトロールが湧くのでね)、この人が「悪意」のあるデマゴーグである可能性を否定できる要素はありません。このあとでこの同じ人が「トミー・ロビンソン」に食ってかかってるのですが、そこで「トミー・ロビンソン」ではない人とのやりとりになり、それがどうも……基本に「メディア不信」と、ひょっとしたら「陰謀論」がある。人が殺されたというのが本当なら警察が黙っているはずはないので(検死を行なう義務が生じる事例)、(メディアではなく)警察を見ていないといけないのだけど、この人は「メディア」だけを見て、その話にずらし込んでしまう。

なお、「ソマリア人女性が襲われた」にせよ「2人殺された」にせよ、何時間か経過しても確定の情報は出ませんでした。

BBC Newsでも、ニューカッスルは伝えているけれど(記者を出していたんでしょう。要注意地域だから)ブリストルは記事がないみたい。

※この記事は

2013年05月26日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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