kafranbel-aug2011.jpgシリア緊急募金、およびそのための情報源
UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)
WFP (国連・世界食糧計画)
MSF (国境なき医師団)
認定NPO法人 難民支援協会

……ほか、sskjzさん作成の「まとめ」も参照

お読みください:
「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2013年05月26日

EDL (イングランド防衛協会) について (2)

1つ前の記事の続き。必ずそちらを読んでから、この先をお読みいただきたい(前の記事を読まずにあなたが勝手に誤読したことなどについては、私は責任を負わないことをここに宣言しておく)。

2009年3月、ルートンでの英軍の帰還パレードの際、「英軍は人殺しだ」などのプラカードを持った人々による「ムスリムの反戦デモ」(の名目での、ごく少人数の「イスラム過激派」の宣伝活動)が行われたことは、今度は地域の「ムスリムではない人々」の行動を引き起こした。当時のインディペンデントの記事で、「反戦デモ」の参加者の1人は次のように語っているが、ルートンのような街で「シャーリア法の導入を」云々と書かれたビラをまいていた集団が「反戦デモ」の名目で街路に出てきたらどうなるか、ほんの少しの想像力があれば何となくわかるだろう。
Asked whether he thought their demonstration would increase community tensions, he replied: "Our protest was not against the people of Luton, it was against soldiers who voluntarily go fight in an illegal war and kill Muslims. If tensions are stirred up it will not be our fault."
http://www.independent.co.uk/news/uk/home-news/luton-the-enemy-within-1643089.html


先の記事で見た通り、ルートンは大雑把にいって約5割がキリスト教徒・白人、3割がイスラム教徒・アジア人という人口構成である。つまり、「イスラム教徒が非常に多いイングランドの都市」のひとつで、ここは要資料なのだが、おそらく白人の側は「包囲の心理 siege mentality」を抱えている、というのが基本的な状況だろう。つまり「このままではいつか飲みこまれる」という不安感、恐怖感。

この頃のルートンの「空気」を伝える良記事が、2009年にThe Timesに出ていたが、サイトのリニューアルによってもう読めなくなっている(The Timesのサブスクライバーならアーカイヴ検索できるのかもしれない)。当時の私の「はてなブックマーク」に200バイトの範囲内でメモしてあるのでそれをご参照いただきたい(←リンク先のページで、Fear and hatred on the streets of Lutonを検索してください)。

そんな中で「もう我慢できない!」的に「立ち上がった」ひとりが、「トミー・ロビンソン」ことスティーヴン・レノンである。

Robinson was involved in the group United Peoples of Luton, formed in response to a March 2009 protest against Royal Anglian Regiment troops returning from the Afghan War organised by the Islamist group Al-Muhajiroun and including members of the group Ahlus Sunnah wal Jamaah. In August 2009, he became the leading figure of the newly established English Defence League. He appeared masked in public at first, until the Sunday Mercury newspaper managed to photograph his face in April 2010.

http://en.wikipedia.org/wiki/Stephen_Yaxley-Lennon


BBCのサイトをUnited Peoples of Lutonで検索すると、2009年8月21日に次の記事が確認できる。

Safety fears prompt marching ban
Page last updated at 12:48 GMT, Friday, 21 August 2009 13:48 UK
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/england/beds/bucks/herts/8214289.stm
Luton Borough Council and Bedfordshire Police have been granted a three-month banning order on public processions by the organisations or associated groups.

Protest plans by March for England, UK Casuals United, United People of Luton and English Defence League had increased tensions in Luton, they said.

この時点で既に、EDLという組織名が確認できる。これら4団体はメンバーがかぶっていたりもするだろうし、全体を合わせてもこの時点ではさしたる人数ではなかったはずだ。

なお、March for Englandは「パレードする」ことが中核にある「(自称)愛国者」の集団で、2013年4月下旬にブライトンに沸いて出たのは彼らだそうだ。上述のBBC記事には、2009年5月24日にルートンで抗議行動を組織したとある。4月13日にはUnited People of Lutonが抗議行動を行なっている。

また、Casuals Unitedは、EDLと同じくルートンでの「反戦デモ」名目のイスラム過激派の行動をきっかけに結成されたという集団で、こちらはCasualsと銘打っていることからもわかる通り、フットボールのフーリガンの集団。で、これら4団体が「行動禁止」になったという報道からほぼ2週間後には、それでも彼らは行動を強行する構えなので、サッカーの試合が中止になるという報道があった。

さて、ウィキペディアの上記の記述の部分でソースとして参照されているのが、2009年10月のBBCの番組、Newsnightの特集記事である。

Under the skin of English Defence League
Page last updated at 18:53 GMT, Monday, 12 October 2009 19:53 UK
http://news.bbc.co.uk/2/hi/8303786.stm

この時点で、「EDL」のロゴ入りのおそろいのポロシャツに身を包んでいる彼らは、基本的に、フットボール・フーリガンである。俗な言い方をすれば「脳みそ筋肉」の人たちで、言語と論理を駆使した高度な議論の経験はほとんどない。(BNPの指導部など超インテリの極右の政治思想家・活動家とはそこが決定的に異なる。)

According to this Tommy, EDL's raison d'être is to take a stand against the rise of radical Islam on Britain's streets. When you ask the rank and file though they will tell you they are just anti-Muslim.

「トミー・ロビンソン」は、EDLは英国の街に急進的イスラムが台頭してくるのに対抗するのが我々の存在理由であると述べているが、構成員たちにきけば単に「反ムスリム」であると答えるだろう。

http://news.bbc.co.uk/2/hi/8303786.stm


Newsnightはこの日のEDL特集に、2001年のBBCの伝説的なドキュメンタリー、Under the Skin of the BNPにちなんだタイトルをつけている。Under the Skin of the BNPは、まだ一般にはよく知られていなかった(「ネオナチ」として片付けられていた)BNPの内部にまで取材を行なった。個人的にもこのドキュメンタリーではっきりと知ったことは多い。

それほどのタイトルを、組織が結成されてまだ半年強という段階の特集で使ってしまったことがよかったのか悪かったのかはわからないが(たぶんBBCのこの判断は「よい宣伝」になっている)、ともあれ、EDLは驚異的と言えるスピードで「メジャー」な存在になった。

The organisation is about seven months old and only started gathering any kind of momentum after 10 Muslim extremists staged an anti-war demo at a Royal Anglian Regiment parade in Luton in March this year.
(この組織は結成して7か月ほど。今年3月にルートンで英軍のパレードがあった際に、10人のイスラム過激派が反戦デモを行ない、その後、モメンタムを集めるようになった)

The big divisions are in Luton, Birmingham, Bristol and Cardiff. They are a rag tag group of about 400 self-styled English patriots, loosely affiliated with football hooligan firms.
(大きな支部はルートンとバーミンガム、ブリストルとカーディフにある。メンバーは400人ほどで、サッカーのフーリガンのファームとゆるくつながった、自称「イングランドの愛国者」たちの寄せ集めである)

They have a female division and a youth division. The leader of the youth division is Joel, an 18-year-old who lives with his grandparents.
(女性部と少年部もある。少年部のリーダーはジョエルという18歳の少年で、祖父母の家に住んでいる)

His father is Irish, his mother Afro-Caribbean and Joel grew up in multi-cultural Harrow, North London.
(ジョエルの父親はアイリッシュで、母親はアフロ・カリビアンだ。育った環境はロンドン北部のハーロウという多文化的な環境である)

He did not worry about Muslim extremism until he happened upon EDL's website in April. Now he organises the youth division and sells EDL merchandise - adapted hoodies with a mask you can pull down over your face for demonstrations.
(4月にEDLのウェブサイトを偶然見るまでは、イスラム過激派のことなど別に心配していなかった。その彼が今では少年部を組織し、EDLのグッズを売っている。デモのときに顔を隠せる覆面のついたパーカーなどだ)

http://news.bbc.co.uk/2/hi/8303786.stm


EDLは、リーダーの「トミー・ロビンソン」(を名乗る「レノン」姓のアイリッシュの英国人)もだが、私たちがイメージする「極右」のような「生粋のイングランド人」や「生粋の英国人」を追求する集団ではない。(英国においては、「国粋主義」ですら多文化にならざるを得ない。)

それゆえ、「普通の人」が入りやすくなっている。上記BBC記事に紹介されている「ジョエル」の例などは、まさに「ネトウヨ」的というか、「2ちゃんでコピペの文面を読み、ドロンパのブログを読んで、 "真実を知った" 純粋まっすぐ君」と言えるかもしれない。

そして、いわゆる「イスラム過激派」の、「西洋文明の堕落」を嘆く思想に共感する若者たちにも、たぶん同じような意味での「純粋まっすぐ」君が少なくないんじゃないかと思う。2013年5月22日のロンドン、ウリッチでの英兵殺害事件の容疑者2人は、どちらもキリスト教からの改宗者だった。「自分が子供のころからなじんでいる(信仰している)宗教では得られない何かを得られる宗教」としてイスラム教に出会ったのだろうが、よりによってその人たちと出会わんでも、という「指導者」に出会ってしまったわけだ。

B009I7KONEネットと愛国 在特会の「闇」を追いかけて (g2book)
安田浩一
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Joel admitted to me that he finds the cut and thrust of street demonstrations "exciting". He also acknowledged that when there is a face-off between EDL and Muslim youths on the street "it plays into our hands".
(ジョエルは、街頭デモでの押し合いへし合いには「血が騒ぐ」と率直に語ってくれたが、ストリートでEDLとムスリムの若者が対峙すれば「こっちの思う壺だ」とも言っていた)

Joel denies that there is any militant undertone behind the balaclavas and black shirts, but as he talks you get the feeling he enjoys the drama of it all.
(バラクラバに黒シャツといういでたちだが、一切ミリタントな性質は潜んでいないと言う。それでも、彼と話をしていると、この子は騒動になるのが楽しいのだろうという気持ちになる)

http://news.bbc.co.uk/2/hi/8303786.stm


まだ萌芽期にあったといえるこの段階での取材では、記者はEDLの支援者候補に会っている(ロンドンのシティで働くITコンサルタントが技術面で支援を申し出ていたほか、北アイルランドのUDAが北アイルランド支部を作りたいと言っていた……これは結局別の形になったんじゃなかったかと思いますが)。この時点ではオンラインで組織化して動かせるメンバーは400人だったようだ。デモに動員されないシンパなど含めて10倍で勘定しても、4000人程度だ。

そこから、2011年内には25,000から35,000人に膨れ上がっている(EDL自体は10万人と見込んでいる)。ただし、人のネットワーク化が本当にネット(インターネット)でできるようになった時代、名簿などがあるわけではなく、会費の徴収も行っていないので、正確な人数の記録はどこにもないようだ(あるとすればグッズを買った人のリストか)。
The EDL leadership has estimated that the EDL has 100,000 members. A research group has given a lower figure of 25,000 to 35,000 members.

http://en.wikipedia.org/wiki/English_Defence_League


United People of Luton / EDLが大手メディアで注目されるようになったのは、2009年9月のことだ。





この時期(2009年夏から秋)に、私も「はてなブックマーク」でけっこうEDLの記事を書き留めている。といっても当時の関心は主にBNPにあり、イマイチ焦点が合っていないかもしれない。

当時The Timesがかなり積極的にこの「新しい極右」を取材していたことも確認できるが、自分がThe Timesをこんなに読んでいたことにもびっくりだ(笑)。

ざっと見ると、2009年8月と9月にはバーミンガム:
http://b.hatena.ne.jp/nofrills/20090809#bookmark-15236615
http://b.hatena.ne.jp/nofrills/20090907#bookmark-15860067
http://b.hatena.ne.jp/nofrills/20090913#bookmark-15991489

10月にマンチェスター:
http://b.hatena.ne.jp/entry/news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/england/manchester/8300431.stm
http://b.hatena.ne.jp/entry/www.flickr.com/photos/thetaker/4000064373/
http://b.hatena.ne.jp/entry/www.flickr.com/photos/joshuakaitlyn/3999228684/
http://b.hatena.ne.jp/nofrills/20091011#bookmark-16651471
http://b.hatena.ne.jp/nofrills/20091011#bookmark-16651503
http://b.hatena.ne.jp/nofrills/20091011#bookmark-16651544
......

まあ、ちょっと見てみてください。

で、こんだけ書いてもまだ2009年なの…… (;_;) 続く

※この記事は

2013年05月26日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


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EDL (イングランド防衛協会) について (3)
Excerpt: EDL (English Defence League: 写真は2010年にダドリーで撮影 by Rude Cech, CC BY-NC-ND 2.0) に関し、その基本的な性質と成立の経緯(および、..
Weblog: tnfuk [today's news from uk+]
Tracked: 2013-05-26 23:39





【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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