「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

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2013年05月23日

1982年の爆弾事件の容疑者が逮捕・起訴され「北アイルランド脳の恐怖」に苛まれるなか、1974年にIRAがボムったウリッチで英軍兵士が殺されたらしいとのニュース

5月22日のニュースといえば、まずは「グッド・フライデー合意のレファレンダムによる承認から15年」だったのだが、日本時間で午後9時過ぎ(現地午後1時過ぎ)になって、「1982年7月のハイド・パーク爆弾事件でドニゴール州在住の男を逮捕」というびっくりニュースが飛び込んできた。ハイド・パーク爆弾事件は英軍の騎兵を標的にしたもので、(人間よりむしろ)罪のない馬たちが何頭も犠牲になったことで、政治性云々を超えた深い感情を引き起こした(よほど人々の感情を掻き立てたのだろう、この事件は「北アイルランドもの」の小説にもよく出てくる)。

2013年になってからこの「ハイドパーク爆弾事件で逮捕」された人は、いわゆる「ディシデント・リパブリカン」ではなく本流の(=アダムズ・マクギネスの)シン・フェインの人だったようで、そりゃもう、そっこうで党機関紙が記事を出していた(中身はジェリー・ケリーさんの声明。"OTR" っていう略語、ひっさしぶりに見たわ〜。この人が言うとシャレにならないんだけど)。

……という具合で、「北アイルランド脳」が絶賛活性化されて脳内革命カモ〜ン的な状況にあったときに(一方でシリアのエレクトロニック・アーミーがデイリー・テレグラフに侵入した件などを「まとめ」つつ)見かけたのが、"Ohhhhh myyyy God!!!! I just see a man with his head chopped off right in front of my eyes!" というツイートだった。。。正直、何の話なのかすらわからなかった。

その件については、下記。

ロンドン南東部ウリッチで真昼間に人が刃物で襲撃され、殺されるという事件(英軍標的の襲撃事件か)
http://matome.naver.jp/odai/2136923620898738101


今、日本時間で23日の15時台、事件が22日の22時台で発生から17時間くらい経過しているのだが、確定している情報はほとんどない。

確定しているのは、ウリッチ(または「ウーリッチ」/「チ」ではなく「ヂ」の表記もある)で、2人の男が1人の男を最初は車ではね、続いて刃物で殺したということ。犯人2人(逮捕された)も警察に撃たれてけがをしたということ。そして、襲撃してから警察が来るまでにかなり時間があって、その間に通りすがりの女性たち(複数名)が犯人と話をしていたということ。そのときに誰かが(誰なのかがわからない)携帯電話で録画したビデオで、犯人の1人が類型的な「イスラム過激派」といえる内容のアジ演説をぶちかましているということ。そのビデオを見れば、彼の話す英語はイングランド在住のアフロ・カリビアンの人たちの調子であることも確認できよう。

殺された人の名前も、身分も、まだ確定されていない。おそらく事件現場のすぐ近くにあるウリッチの兵舎にいる英軍兵士だろうと言われている。英軍の中ではもう話はされているだろうし、現場に花束がささげられるなどしているので、もう少し時間が経過して、もろもろ明らかにされるのを待ちたい。(アフガニスタンで英兵が死亡した場合などは、名前などがメディアに公表されるのはだいたい24時間後である。その間に軍からご家族らに連絡が行く。)

また、最初にTwitterで大騒ぎになった "I just see a man with his head chopped off right in front of my eyes!" の件だが――メディアの多く、特にタブロイドは見出しにするなど「確定情報」として扱っているが――、これも「確定」扱いができる感じではない。現場を通りがかって犯人と話をした48歳の女性(カブ・スカウトのリーダー)は次のように述べている。

I couldn't see the man's face but I could see no evidence that suggested someone had tried to cut off his head. I could see nothing on him to suggest that he was a soldier.

http://www.guardian.co.uk/uk/2013/may/22/woolwich-first-person-account


ガーディアンの記事ではこう。微妙ですね。
Witnesses said a man was hacked at by two assailants with weapons including a machete, carrying strong echoes of attacks abroad, at about 2.20pm. It is understood that the victim was a soldier, although neither his identity nor profession was confirmed . It is believed the person died after suffering knife injuries, possibly around the head.

http://www.guardian.co.uk/uk/2013/may/22/woolwich-attack-cleaver-knife-jihadist


……というわけで、「ウリッチといったらアーセナル創設の地ですよ」か、「ウリッチといったら1974年にパブがボムられて英軍の人が殺されてますよね、IRAに」か、という程度の私の頭は、既にパンク状態である。

そしてむろん、EDL (English Defence League) などがこの機をとらえてあれこれやっているわけである(パメラ・ゲラーが大っぴらに反応していることも確認した)。これからますます、「イスラムが平和の宗教だって?」的な言説を見たら要注意である。

BBC News:


この「犯人の顔写真」は、ITVではcensorされているのだが(「法的理由により」顔にぼかしがかけられている)、BBCなどITV以外では大っぴらである。

ITVは「犯人写真」を最初に報じたメディアで、それまではBBCで(保守党の飼い犬である)政治部のニック・ロビンソン(普通、刑事事件のときは社会部が出てくるのだが)が「犯人はムスリムの外見をしていた」などという説明をしていた(「関係筋によると」という曖昧な形で)。その辺もNAVERまとめに入れてある。


※この記事は

2013年05月23日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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▼当ブログで参照・言及するなどした書籍・映画などから▼