2011年12月30日 大学の研究資料は、刑事訴追を前提として警察に渡されるべきか。(北アイルランド)
http://nofrills.seesaa.net/article/243403053.html
2012年10月18日 いったん「北アイルランド警察に引き渡すべし」との結論が出されたボストン・カレッジのテープの件
http://nofrills.seesaa.net/article/298001400.html
最高裁での最終判断は、「大学は北アイルランド警察にテープを引き渡すべき」である。
Boston College project: PSNI get Dolours Price interviews access
15 April 2013 Last updated at 14:56 GMT
http://www.bbc.co.uk/news/uk-northern-ireland-22158392
大学側(というかプロジェクトの側)が最高裁に上訴してから結論が出るまでには、非常に大きな状況の変化があった。問題のテープでインタビューに応じているドロース・プライスが死亡したのだ。
【訃報】IRAの女性闘士、1973年爆弾事件で有罪となったプライス姉妹の姉が死去
http://matome.naver.jp/odai/2135903167004969301
ドロース・プライスの死は今年1月下旬のことで、そのニュースと同時に「ボストン・カレッジのテープが問題なく、北アイルランド警察に引き渡される」との観測も流れたが、実際には米国で係争中の案件であり、彼女の死がそのまま、インタビューの公開へとはつながらない、という解説がなされた。(ボストン・カレッジのプロジェクトのインタビューのテープの内容は、本人が死亡するまでは公開しない、つまり死亡したら公開できるという条件で収録されている。)
そして、1月下旬の時点で「係争中(まだ判断が出ていない)」だったものに判断が出たのが、4月の半ばである。
その件について記事が出るかなと思って、Bostonをキーワードにネットを見ていたときに飛び込んできたのが、ボストン・マラソン爆弾事件だった。ニュース的にはそれで、「IRAのテープの開示」のことなど、文字通り、吹き飛んでしまった形だ。
米ボストンで、マラソンのゴールライン近くなどで複数の爆発(ボム)【英語圏ツイートなど】
http://matome.naver.jp/odai/2136606815070040401
FBIが、ボストン爆弾事件の「容疑者」の写真・ビデオを公開
http://matome.naver.jp/odai/2136632136425363201
アメリカ版「特定しますた」…ボストン爆弾事件の「クラウドソース捜査」、Redditで行われたこと。
http://matome.naver.jp/odai/2136636603035691201
ネット上の掲示板での「クラウドソース捜査」で、根拠なく爆弾犯と断定された学生の件(ボストン爆弾事件)
http://matome.naver.jp/odai/2136692678557160301
ドロース・プライスはロンドンの爆弾事件(オールドベイリー爆弾事件、1973年)で有罪判決を受けた「テロリスト」だった。
その彼女の「遺言」のニュースを、別の、全く関係のない爆弾事件が押し流してしまったことに、何とも言いようのない皮肉を感じる。
Transcripts of interviews carried out with an IRA woman can now be handed over to the police in Northern Ireland.
The PSNI had been attempting to obtain the transcripts of tapes recorded with Dolours Price, who died in January.
On Monday, the US Supreme Court declined to hear an appeal against handing over the transcripts.
They were made as part of Boston College's 'Belfast Project', which was designed to be an oral history of Northern Ireland's Troubles.
http://www.bbc.co.uk/news/uk-northern-ireland-22158392
で、PSNIがテープの内容をほしがったのは、プライスがジェリー・アダムズのある重大疑惑について語っているからだという説明だったのだが、実はこのインタビューではプライスはその話はしていないとの証言もあり、何が何だか、私にはさっぱりわからない。
わかっていたのは、「アカデミックな研究のための聞き取りの記録」が「警察が誰かを刑事訴追するための証拠」となるようなことがあってはならない、という論点である。
その点について、「アカデミックな研究」ではないが「ジャーナリストの調査」に関して、今日、アメリカで非常に大きなことが報じられた。それも最後に書き添えておく。
【報道の自由】米政府がAP通信の通話記録を入手していた件
http://matome.naver.jp/odai/2136851992933594001
まったく、We are living in interesting times. である。
※この記事は
2013年05月14日
にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。
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