kafranbel-aug2011.jpgシリア緊急募金、およびそのための情報源
UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)
WFP (国連・世界食糧計画)
MSF (国境なき医師団)
認定NPO法人 難民支援協会

……ほか、sskjzさん作成の「まとめ」も参照

お読みください:
「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2007年03月06日

スタジアムに「88」お化けがまた現れたらしい。

私がここで『「88」お化け』と呼ぶのは、米寿を迎えてなお熱烈に地元クラブをサポしまくる熱心なファン、ではない。アルファベットで頭から数えて8文字目がH、それが2つで右手を掲げてなんちゃら、というシンボリズムの話である。(わからん人はこのへんとか参照。)

この『「88」お化け』、個人的には「まだ生きていたのか」という感じなのだが、今週もしぶとく現れて、クラブと警察が捜査に乗り出す事態となっている。

Racist chants at West Ham investigated by police
Matt Scott
Tuesday March 6, 2007
http://football.guardian.co.uk/News_Story/0,,2027361,00.html

Police probe Hammers racism claim
Last Updated: Tuesday, 6 March 2007, 11:40 GMT
http://news.bbc.co.uk/sport2/hi/football/teams/w/west_ham_utd/6422059.stm

これ、背景を考えると「またお化けか」と失笑していられるようなものではない。むしろ絶望的な気分になる話だ。

「88」お化けが現れたのは3月4日のロンドン東部、ウェスト・ハムのホームのアプトン・パーク。この日の試合はトッテナムを迎えた、ロンドン東部の「ライバル対決」だった。

この2クラブの試合が「ダービー」と言えるのかどうかはわからないのだが(「ダービー」といえばトッテナムとうちだから)、少なくとも「ダービーみたいなもん」ではあるだろう。

ウェスト・ハムは、もともとプレミアにずっといるという強豪ではないが、現在プレミア最下位(20位)。一方のトッテナムは現在8位。(リアルタイムの順位確認は下記にて。)
http://news.bbc.co.uk/sport2/hi/football/eng_prem/default.stm

つまり20位のチームが8位のチームをホームで迎え撃つという試合であり、狭いロンドン市内で隣接する「ライバル」同士の試合である。しかもホーム側は降格の危機。スタンドが過熱するのは当然だろう。

しかしそこでracist chants、しかも「88」お化けってのはなぁ。。。

トッテナムのサポには「イディッシュ」由来のYidsという愛称がある。Wikipedia記事によると、当初は対戦相手からの罵倒だったものを、サポさんたちが逆手に取って自分たちの愛称としたのだそうだ。現在はトッテナムのサポさんたちに占めるジューイッシュの人たちの比率はかなり少なくなっている(あのへんに住んでいたジューイッシュの人たちの多くは、もっと生活環境のよいところに転出してしまっている)。だからYidsという名称は、厳密には、「意味」をほとんど失って、「定着した名称・愛称」として残っているものだ。

と思っていたのだが、4日のアプトン・パークではハーフタイムにウェスト・ハムのサポ席から「ジューよりか、パキになったほうがまし」(<原文直訳:I'd rather be a Paki than a Jew:資料的に示すまでです)という合唱が響いた。それをハム・サポの1人が録画してて、YouTubeにアップしたそうだ(現在は削除されているとのこと。私も確認のために探してみたが、見つけられない)。そのアップした奴のユーザーネームが、"cockneymatt88"だという(ガーディアン)。

あまりに粗悪で頭が痛くなってくるような無邪気さ全開のユーザーネームとアップしたビデオの内容。私の頭蓋骨のなかの神経細胞が死滅しそうだ。

さらにまた、「レイシズムが!」とのクレームをロンドン警察(FAではなく警察です)に出したのがthe Community Security Trustであるという点。このトラストの誰かがスパーズの観客席にいたとかそういうことならまだわかるのだが、そうなのだろうか。

で、「ジューよりか、パキになったほうがまし」(<原文直訳)という「88お化け」のシャントは、これはほんとに「レイシズム」なのか? 確かに字句は「レイシスト」だ。しかしこの罵倒は一体何なのだ。まったく思慮のない無邪気さ、あるいは「わが民族の優位性」が根底にある悪意が、ひどい言葉に要約されているようにも見える。(うちの14番について、スペインの代表監督が "black ****" と口にしたようなのは明々白々たる「レイシズム」だが。)

で、粗悪な無邪気さ、あるいは粗悪な悪意が「88お化け」のシャントの底にあるとして、そのシャントの具体的文句が「ジューよりか、パキになったほうがまし」(<原文直訳)ってのは、何じゃこりゃ。どこをとっかかりにしてどこからつっこんだらいいのかもわからない。正直、ガーディアン記事でこれを読んだときには、文字通りorzのポーズを取りました、モニタの前で(椅子に座った状態でですが)。人間って悲しい生き物だね。

ジューイッシュの人たちにしてみれば「私たちはやはりまだ、現実に、ものすごく差別されている」というふうに響いているだろうし、「だから自衛せねばならない」というふうにもなっていくだろう。そのうちに、ベルファストのピースラインみたいに、トッテナムのエリアとウェスト・ハムのエリアの境目に「分離壁」ができたりして。(黒い笑い)(<不謹慎ですみません)

なお、ガーディアン記事によると、「88」お化けのユーザーがYouTubeにアップした映像(削除済み)はFAから警察に渡され、またFAはウェスト・ハムのクラブに対し、CCTVの映像はある限りすべて警察の捜査官に渡すように要請を行なうことにしているという。またスパーズもサポさんたちからの抗議の嵐に動かされて正式にウェスト・ハムに抗議を行なった。ウェストハム側は「一部のファンの行動であり、クラブはむしろ反レイシズムの活動に率先して取り組んできた」として、具体的に誰が「88お化け」のシャントをしたのか特定し、措置を講ずるつもりであるとしている。FAでは責任の所在が判明すれば、法的な手段や出場資格剥奪といった措置を講ずるとしている。

Kick It Out(フットボールから人種差別を根絶するための団体)の人は「観客席の係員には、このような事態に際しどのように対処すべきかという指針がある。現場にいた係員がその指針を把握していなかったとか、あるいは指針を無視したとかあまりの状況に介入できなかったといったことが考えられる」という内容のコメントをしている。

コックニーの「88」お化けがYouTubeにアップしたビデオについては、BBCの606にウェスト・ハムのサポの人が投稿している
The video was taken from inside the ground at half time without no apparent intervention by WHUFC staff who control security and safety nor from the Police.

Unfortunately, by not stopping this type of behaviour, there is a perception that WHUFC allows this type of activity in their stadium, regardless of their stance at this stage.

というわけで、観客席の係員は何もしていなかったし、警察も何も動かなかったようですね。なお、606にこの投稿をした人は、「88お化け」のビデオを見てショックを受けてがっくりきているようです。



※タグのうち「極右」は情報整理の便宜上。単に論理上の話ではあるが、「パキのほうがまし」とシャントしていたのが、本当に「パキ」つまりパキスタン系英国人である、という可能性を考慮していないわけではない。実際にそのへんが報道記事ではまったくわからないからだ。で、もしも本当にパキスタン系というバックグラウンドの人たちがあのシャントをしていたのなら、ますますヘコむような、『文明の衝突』な話になってしまうのだが。もちろんそうであるという可能性はとても低い。単に情報がないから否定できない、というだけだ。

ま、少なくとも今回はピッチの外だ。Gazzaがレンジャーズ時代にセルティックとの試合でピッチで「フルート吹き」をやらかしたとかいうのとは話が違う。(「フルート吹き」はオレンジ・ロッジ、つまりアイルランドの反カトリック勢力、つまりプロテスタントの一部の行動の象徴で、レンジャーズは反カトリック、セルティックはカトリック。)

※この記事は

2007年03月06日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 23:25 | Comment(0) | TrackBack(0) | todays news from uk | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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