「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

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2013年03月16日

ベルファスト、今まさに深刻なセキュリティ・アラート(迫撃砲攻撃未遂)が出ているエリアをGoogle Street Viewで見る。

西ベルファスト。「ロイヤリスト」の最も濃いエリアのひとつとして有名なシャンキル・ロード (Shankill Road) を道なりに、さらに市街から離れる方向(西の方)に進んでいくと、通りはWoodvale Roadと名前を変える

通りの名前が変わっても「濃さ」は維持されている。Woodvale Roadはユニオン・フラッグの小旗が道の脇にはためいていて、アメリカの「アルスター・スコッツ」の大統領が「アルスターの血」について語った言葉がミューラルとして描かれていたりする商店街だ。

さらに進むと道が右に曲がり、その商店の連なりが途絶えて、左手に広い敷地の何かが見えてくる。敷地入口の門の脇に看板が立っているのだが、Google Street Viewでは文字はつぶれていて読めない。公園として整備されている様子で、おそらく昔は貴族の猟場だったか、修道院だったか……。

そして右手にヴィクトリアン・ゴシックのプレスビテリアン・チャーチがある場所から先が2つに分かれる。北へと伸びる右の通りがWoodvale Road、西へと向かう左の通りがBallygomartin Roadだ。道の左側が公園、右側が住宅の列。たぶん元は、ヴィクトリアンのテラストハウスの列だが、今はテラストハウスがところどころ別な建物に建て替えられている。ごくごく一般的な、当時の大量生産型の住宅。さらに進んでいくと住宅は前庭のあるセミ・デタッチト・ハウスやデタッチト・ハウスになる。このあたりではもうほとんど「宗派の色」は見えなくなっているが、ところどころ、ユニオン・フラッグや北アイルランドのフラッグが掲げられていたりするので「ああ、そうか」と思う。

道路の右に「インダストリアル・パーク」があり(道路沿いはうっそうとした茂みで、中は何も見えない)、左は古いタイプの集合住宅という一角を過ぎると新たに建築された一角があり、すぐそこは既にBlack Mountainという丘陵 (Divis Mountainの裾野) だ。Saint C LUMBA'Sと書かれた教会があるが「聖コルンバ」だろう。チャーチ・オヴ・アイルランド(聖公会)か、カトリックか……チャーチ・オヴ・アイルランドですね。最近立て替えて、養老院を併設したという。その教会の先は、たぶん昔から工場労働者が暮らしてきた古いタイプの集合住宅。さらに、不動産バブルがはじけたあと(Google Street Viewの撮影は2012年秋)。

その先は丘と荒地だ。

そしてBallygomartin Roadが尽きる地点からWhiterock Roadが伸びていて、西ベルファストを一望できる……のだと思うが、低木や背の高い雑草の類が茂りすぎていてよく見えない。このWhiterock Roadをそのまま下ってゆくと、だんだん住宅街になってきて、建てこんでくるあたりは絵本の中の光景のようだが、「宗派色」は特に見て取れないだろう。

だが、さらに下って大通りと交わる地点にくると1981年ハンストのときのミューラルの残骸のようなものが残っている。

この大通りはSpringfield Roadだ。大まかには、大通りの北側(丘陵の側)は「プロテスタント」、南側は「カトリック」と説明されるが、本当に「大まかに」である(道路の北側のカトリックのエリアもある)。警察・軍の施設が置かれたこの通りは、「北アイルランド紛争」の初期、1969年から数々の「衝突」(と呼ばれる最悪の人権侵害)の現場となった。1971年8月9日から11日、いわゆる「インターンメント」導入の際には英軍パラの発砲で11人の非武装の一般市民が死んだ(1972年1月30日のデリーより前の出来事であるが、「真相究明」はほぼ手つかずである)。

今も「警察とロイヤリスト武装組織の癒着」を告発するミューラルがある。


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この通りは「Provisional IRAの拠点」として知られるが、ほんの少し西に行った地点にはIRSPの事務所(だと思う)がある。IRA(系の諸組織)とは犬猿の仲であるINLAの政治部門だ。


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※ジェイムズ・コノリーだけ「プライバシー保護」されてないのが逆に悲しい。

ともあれ、そのSpringfield Roadの北側、ディヴィス山を背負った住宅街のひとつがNew Barnsley地区である。ここはカトリックの住宅街で(先ほど見た「癒着告発」の壁画はこの住宅街)、すぐ東側に接しているプロテスタントの住宅街との間には、例の「ピースライン」がある。空撮写真でもなかなか強烈だが、Google Street Viewで、バスの座席くらいの目の高さで見るのも何ともいえない。

この「ピースライン」の終わり(というか始まり?)がNew Barnsley Police Stationである。「一般には開かれていない」施設。つまり、盗難届を出すとか交通違反の罰金を払いに行くとかいったことでは市民生活に縁のない警察署。周囲をぐるりと、高い塀で囲まれた施設である。


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ここが標的になったのは何度目か知らないが、今更また、標的になった。

Suspected mortar bomb found on Ballygomartin Road, Belfast
15 March 2013 Last updated at 21:41 GMT
http://www.bbc.co.uk/news/uk-northern-ireland-21798294

Ballygomartin Road沿いの荒野で、水道管的なものを加工して自分で作れちゃうような「打ち上げセット」(手作り迫撃弾つき)が発見され、爆発物処理ロボが出動(地面がでこぼこなので1基は倒れてしまったらしい)。標的は、その荒野の向こう側の警察署。。。というが、その周囲は住宅街である。

BBCのニュース映像には、そのエリアの教会での葬儀のために集まった故人の家族が、こういう事情で葬儀会場を別の場所に移動しなければならなかったという部分が含まれている。故人にとって思い出のある教会で最後の別れをするつもりだったかもしれない。あるいは先ほど見た「聖コルンバ」の教会の養老院に入っていた人かもしれない。

日本時間で今日の09:15、セキュリティ・アラートはまだ続いている、とPSNIは告知している。(人々の避難状況など一般市民の生活についての情報は報道機関から細かく提供されているが、攻撃そのものの内容については、あまり多くの情報は公開されていない。)




デリーの迫撃砲攻撃直前阻止からほぼ2週間だ。

【迫撃砲攻撃未遂】2013年3月3日夜、デリーのセキュリティ・アラート(北アイルランド)
http://matome.naver.jp/odai/2136236011713047701

※この記事は

2013年03月16日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 10:46 | TrackBack(0) | todays news from uk/northern ireland | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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