「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

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2007年01月20日

短編映画『流暢な失語症』(アイルランド語しか理解できなくなった男)

15日のエントリ、「アイルランド語でアイルランドを旅してみたら……」のコメント欄でおもしろいショートフィルムを教えていただいた。"Fluent Dysphasia"(「流暢な失語症、流暢性失語」)という短編。

アイルランドのアイルランド語(ゲール語)放送、TG4で放映されたもののようで(製作もTG4かもしれない)、英語しか話せない男が友人とパブで大騒ぎした翌朝、目覚めるとアイルランド語しかわからなくなっていた、というコメディ。主演はStephen Rea(『プルートで朝食を』、『クライング・ゲーム』、『V for Vendetta』など)。16分くらいの短いフィルムで、ネットで簡単に見ることができるので、ぜひ。(下にエンベッド・プレイヤーで埋め込んでおきます。要Flash。全編を見るには、Preview Filmではなく、Play Filmをクリックしてください。別ウィンドウでatom filmsのページが開いて自動的に再生が始まります。再生されない場合はFlashのバージョンが低いとか広告ブロックでブロックされているなどの理由が考えられるとのこと。)

http://www.atomfilms.com/film/fluent_dysphasia.jsp


クレジット:
Director: Daniel O'Hara
Cast: Stephen Rea, Jayne Synes, Paddy C. Courtney, Richard Morton
Producer: Grainne O'Carroll
Writer: Daniel O'Hara
http://www.imdb.com/title/tt0431763/ も参照。

※劇中、アイルランド語には英語字幕がついています。

以下、簡単にストーリーなど。

自宅のキッチンで娘と向かい合って男が食事中。

男「もう宿題は済んだのか?」
娘「・・・ちょっと手伝ってほしいんだけど」
男「科目は?」
娘「アイルランド語」
男「無理だ。アイルランド語なんてさっぱりわからん」

男、友人と一緒に、パブでサッカーの試合を観戦。サポートしているチーム(ユニから判断してArsenalですがな)がバカ勝ちして浮かれる。

翌朝。男、自宅のベッドで目覚める。キッチンに行く。電話が鳴る・・・アイルランド語しか出てこない! 男、目をぱちくりする。頭を抱える。

男「いったい俺に何があったんだ」

男、自宅を出て駅に向かう。切符を買う。駅員、英語で応対する。男、英語がわからない。当惑しつつもアイルランド語で行き先を告げる。

駅員「お客さん、アイルランド語ですね! 嬉しいなぁ!」

男、昨晩一緒だった友人の家のドアをノックする。友人、出てくる。

友人「おはよ。どうした?」
男「ショーン、俺、変な風にしか話せなくなった」(アイルランド語で)

友人、男が何を言っているのか理解できない。男、アイルランド語で話し続ける。

友人「ちゃんとしゃべってくれないとわからない」

友人のその言葉が男の耳にはまるっきりちんぷんかんぷんである。

男「英語がわからない・・・」

男、昨晩何があったのかと友人に問い詰める。友人、恐れて家に駆け込みドアを閉ざす。郵便受けから目だけ出して友人、「専門家の助けが必要だ。何とかしてやりたいとは思うが、俺は専門家じゃないから」と言う。(ここでお笑い要素入る。)

男、がっくりと肩を落として歩き去る。

男、自宅の玄関の前でがっくりと座り込んでいる。娘が学校から帰ってくる。

男「お前、俺の言ってることがわかるか? アイルランド語、わかるか?」
娘「うん」
男「朝起きたらアイルランド語しかできなくなっていた。英語は一言もわからない」
娘「私にはわからない」

男、ぎょっとして目を上げ、ため息をつく。

男「思ってたよりひどいのか」
娘「ていうかそうじゃなくて、言ってることはわかるんだけど、どうしてお父さんがアイルランド語を話しているのかがわからない」
男「俺にもわからん」

娘は学校でアイルランド語を習っているのだろう。30〜40年前に学校教育を受けていた男の世代と、今学校教育を受けている娘の世代との違い。

男「ともかく、お前とは話ができるわけだが、ほかの人と話ができない。英語ができないようでは」
娘「何とかしてあげられるかも」

この場面、Stephen Reaがすばらしい。

娘、A is for apple, B is for Baloon... のような幼児向け教本で男に英語を教える。(ここでお笑い要素入る。音楽もカメラもお笑い要素。)

男「『いろは』の『い』からなんてやってられっか! こんなんじゃ誰とも話ができない!」

自宅。男と娘、キッチンにいる。呼び鈴が鳴る。男、どよーんとしているだけで反応しない。仕方なく娘が出る。来ていたのは例の友人。(この場面、映像で見るべき!)

友人「お父さん、どう?」

友人は何があったのかを作文して持参していた。娘、英語だとダメだと言う。友人、作文を読み上げる。たどたどしいが、アイルランド語である。

友人「何があったのかを説明しよう。あの晩、俺とお前はサッカーの試合を見て、一緒に帰ろうとしていた・・・」

回想シーン。男と友人がパブの帰りにテイクアウェイのチッピーか何かに立ち寄っている。男、相当な千鳥足の状態で、床に落とした小銭を拾おうとして昏倒する。

友人「応急処置をしようとしたが、どうしても生き返らせることができなかった」

(このシーンはお笑い。)

男「つまり、頭を打ったのか?」

このあとは映像を見ているだけでわかると思うし、ネタバレどころかオチバレになるので説明はしません。

オチは読んだ通りでした。(笑)



この短編映画をネットで配信しているAtom Filmsは、ほかにも数多くのフィルムを配信している。
http://www.atomfilms.com/

『ウォレスとグルミット』のアードマンの作品もたくさん上がっている。

Creature Comforts
http://www.atomfilms.com/film/creature_comforts.jsp


Angry Kid
http://www.atomfilms.com/films/angry_kid.jsp

Rex the Runt
http://www.atomfilms.com/films/rex_runt.jsp

ティム・バートンの短編アニメもある。
http://www.atomfilms.com/films/tim_burtons_stainboy.jsp

※この記事は

2007年01月20日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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