【訃報】アーロン・シュワルツ、26歳で死去
http://matome.naver.jp/odai/2135803187972427301
各所からいくつもの追悼文や声明が出ている。ご家族の声明やローレンス・レッシグのブログは、上記の「NAVERまとめ」に入れてある。
以下、EFFのPeter Eckersleyさんによる追悼文(CC BYライセンス)の全訳。
Farewell to Aaron Swartz, an extraordinary hacker and activist
January 12, 2013 | By Peter Eckersley
https://www.eff.org/deeplinks/2013/01/farewell-aaron-swartz
並はずれたハッカーでありアクティヴィストであったアーロン・シュワルツへの告別のことば
ピーター・エッカーズレー (Peter Eckersley)
2012年1月12日
昨日、私たちにとって親しい友人であり協力者であるアーロン・シュワルツが、自殺した。短かく並はずれた生涯に、悲劇的な形で幕が下りた。
インターネットを、開かれた知識にとって活発なエコシステムにし、それを維持するために彼ほど尽力した人は、ほとんどいない。彼の貢献は数限りなくあり、その中には絶対に欠かせない存在となっているものもある。2010年末のことだが、後のSOPA/PIPAインターネット・ブラックリスト法案の前身となったCOICA(「オンラインにおける権利侵害および偽造防止法(Combating Online Infringements and Counterfeits Act)」)阻止の活動に力を貸してほしいと声をかけたときに、彼は Demand Progressという組織を立ち上げた。この組織は100万人以上のネット活動家を動かし、(EFFが)(ネット規制阻止の)キャンペーンに勝利するために極めて重要な同盟者となった。
このほか、アーロンが手掛けたプロジェクトには、RSSの仕様(RSS 1.0)、web.py、tor2web、オープン・ライブラリー、Chrome port of HTTPS Everywhereなどがある。また、クリエイティヴ・コモンズの立ち上げにもアーロンは参画している。Redditの共同設立者のひとりで、同サイトの成功を導いたチームの一員であった。彼のブログは、読むのが楽しいブログである。
アーロンは言葉を使うのがうまく、鋭い人であったが、それは複雑な内向性と入り混じっていた。彼は人とコミュニケーションをとるときに自分の都合しか考えておらず、自分だけのスペースとして広い空間を必要とした。彼と共同作業をして、このことでイライラさせられた人もいる。彼は自分の周囲の社交的な世界が大好きではあったが、それに付き合わされるのはたまらなく苦痛だと感じることも頻繁であった。
アーロンは人間相手に話をするよりも、本を読んでいたほうが快適だと感じていたが、それは今に始まった話ではなかった。(かつて彼は私にこんなことを言っていた。「ぼく的には、人と話をするのは、相手がほんとに頭のいい人でもかなり厳しいんですよ。でも腰を下ろしてその人の本を読むだけなら、その人の最も考え抜かれた深い考えを、きれいで効率的な形で吸収できるんです。本を書いた人と話をするよりも、本からの方が、早く物事を吸収できるんですよね」。)文章というものと、オープンな知識への情熱、そして自分を売り込むということに関しての嗅覚の結果、時には、ものすごい結果が生じることもあった(例えばこの例でのこの件)。最終的に彼を打ち砕くこととなったあの出来事の前に既にこういうことがあったのだ。【訳注:「この例」はPACER (Public Access to Court Electronic Records) の大量ダウンロード(→参考)、「この件」はそれが原因でFBIに手配されたこと。】
2011年、アーロンはMIT(マサチューセッツ工科大学)の構内ネットワークを利用して、JSTORのデータベースから数百万点の学術雑誌の記事を自身のラップトップにダウンロードした。(検察側の言い分では)この際、JSTORとMITが設定していたブロックを回避するため、必要に応じて使用しているマシンのIPアドレスとMACアドレスを変更し、またMITのネットワークにより高速で接続するためにクローゼットに忍び込んだとされている。これが犯罪行為にあたるとして、アーロンは、「コンピューター詐欺・不正法 (the Computer Fraud and Abuse Act)」での「不正アクセス (unauthorized access)」で有罪となれば最大35年の懲役もありうるような刑事犯として訴追に直面していた。
アーロンに対する検察側の言い分を信じるとすれば、彼はJSTORからダウンロードした何百万という科学論文や学術論文を解放し、誰でも読むことができるようにしたり、かつてアーロンがやったようにひとつの巨大なデータセットとして分析できるようにしようとしていたという。手法は挑発的だったが、アーロンが戦って勝ち取ろうとしていた最終目標は――つまり、公的資金によって実現した科学学術研究の結果の書き物を囲い込み、その資金を出した人々のほとんどの手が届かないところに置いている出版システムから開放することは――、私たち全員が支持すべきものである。【訳注:つまり、納税者の税金で研究が行われている大学の研究成果は、納税者が自由にアクセスできて当然、という考え。これは2010年のウィキリークスの大量放流のときに繰り返しメディアで語られた理念なので、詳しく調べたい方はその線で当たるのがよいかもしれません。】
さらに、アーロンが置かれた状況は、米国のコンピューター犯罪法の不正義、特にその懲罰体系のそれを浮き彫りにするものである。アーロンの行為は、疑いの余地なく、政治的なアクティヴィズムであり、そのような行為を現実世界で実際に行ったとして、最大でも軽微な罰で済まされるようなことだった。ちょうど、政治的抗議のデモの集会で立ち入り禁止のところに立ち入ったくらいのものとして。しかし彼はコンピューターを使ったのであり、そのために、長期の収監という可能性にさらされることになった。これは不均衡であり、EFFは長年それと戦ってきた。そしてそれは昨日、悲劇的な結果をもたらした。ローレンス・レッシグは、この悲劇がコンピューター犯罪法と、何としてもそれを使おうとする検察の改革の基盤となってほしいと述べている。私たちも同意見だ。
アーロン、きみの友情がもう過去のものになってしまったこと、よりよい世界を築くためにきみの力がもう借りられなくなってしまったことを、私たちは心から、残念に思います。どうか、安らかに、読んでください (May you read in peace)。
原文はCC BYでの提供。著作者はEFFのPeter Eckersleyさんです。
本稿(訳文)は、CC BY-NC-SAで公開します。非営利の利用はご自由に(営利目的の利用をしたい方は、ご自身で一から翻訳してください。原文はそれが可能なライセンスです)。原文を参照し、原著者(EFFのPeter Eckersleyさん)を表示する限り、訳文の改稿などはご自由にどうぞ。ただし改稿などした場合は、同じくCC BY-NC-SAのライセンスで公開してください。
この 作品 は クリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 - 継承 2.1 日本 ライセンスの下に提供されています。
※この記事は
2013年01月14日
にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。
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