「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

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2006年12月30日

妻夫木聡の "No!" の母音にやや親近感

今年の、東京ガスの「ガスパッチョ」のCMが、ちょうどいい具合にオフビートで印象に残っている。妻夫木聡の部屋のクローゼット(実はタイムマシンの出口)から、歴史上の偉人・有名人がいきなり現れて、最新のキッチンや暖房に感嘆する、というストーリーのシリーズだ。

http://www.tokyo-gas.co.jp/channel/200ch/index.html
※WMPだけかもしれない。

現れる偉人には「ニュートン」や「信長と光秀」(「信長風気まぐれ炒め」を作る)や「赤穂浪士」や「ノーベル」や「フレミング」などがいて、どれもおもしろCMなのだけど、中でもツボにはまりまくったのが「ミスティ・シェークスピア編」。

クローゼットからいきなり現れたシェイクスピアは、なぜか通訳者さんを伴っている(ジュリー・ドレフュス<フランス人だよね・・・)。その通訳者さんが、通訳と見せかけて、自分の言いたいことを言い、自分の思うように行動する。

ひょっとしたらこれは「正しい」通訳・翻訳とは何か、という根源的な問題を提示する社会派作品なのではないか・・・という冗談はさておき、ツボなのはこのCMでの「英語」だ。

それもシェイクスピア(役の人)の英語ではなく、妻夫木聡の英語・・・CMの最後に、1音節口にするだけなのだけど、この発音が「極めてブリティッシュ」なのだ。これがツボにはまってしょうがない。

「英語でしゃべらナイト」だったと思うが、映画『春の雪』で清顕を演じた妻夫木聡は、撮影に当たっての英語の特訓をしたことを語っていた。いわく、あの時代の日本の華族は、ブリティッシュの上流の英語を身に着けていたので、それを発音指導の先生について特訓した、という話。

で、このブリティッシュの上流の英語、母音が独特なのね。note, coatなどの「オウ」の二重母音(発音記号で [ou] の音)とか、laugh, can'tなどの「ア」の音とかが特に。

「しゃべらナイト」では、妻夫木聡がこれの特訓をしているところが紹介されていたのだけど(Satokoの発音を「サトコ」ではなく「サトォゥコォゥ」というようにし、その「ォ」はかすかに「ア」の風味がある、というような)、これねー、一回覚えてしまうと、抜けないんだよね。

CMの最後での "No!" は明らかにこの「ォゥ」発音である。

ところで、私が初めて「英語」というものを習った先生は、近所の90歳近いようなご隠居(日本人)だった。この先生、戦前は英国に住んでおられたそうで(話では「ケンブリッジ大学卒業」とも「オックスフォード大学卒業」とも言われていたような気がするが、いずれにせよ、当時のエリート階級の方)、バリバリのオックスブリッジ英語だった。

むろん、当時の私はんなこと知るわけもない。それに、「英語教室」ったってご隠居が近所の子供を集めてOxford University Pressの出している塗り絵みたいな教材やLadybirdの絵本を使って「英語で遊ぶ」ようなことをやってるだけで(英文和訳とかはしてないし、文法の説明はなかったし、発話の訓練もしてない。ひたすらインプットと反応の練習)、先生の真似をして、教室の小学生(5〜6人)が "Here is Peter. Here is Jane." というセンテンスを読み上げては、「英語を読む」ことに慣れるというか、「英語」とはどういうものなのかをとりあえず知る、ということをやっていた。というわけで、そのご隠居がうちの近所にお住まいだったという偶然から、私は最初に、ブリティッシュな音で英語を知ってしまったのである。

私がアメリカンな音の聞き取りがイマイチ苦手なこと(例えばビル・ゲイツの講演はほとんど聞き取れない。スティーヴ・ジョブスのは聞き取れる)と、最初の先生がバリバリのブリティッシュの音だったことに因果関係があるのかどうかはわからないが、なかったとは考えられない。

ともあれ、私が「英語」を口にすると、時には笑いが取れるくらいのブリティッシュ風味のジャパニーズである。(その上に、微妙にアメリカンが入っている――everybodyは「エヴリバディ」と読んでしまう。)

そんなこんなで、妻夫木聡がCMで披露している "No!" の母音にやや親近感というか「あーわかるわかるそれ」な感覚を覚えているのだが、『春の雪』は未見である。岸田今日子が出ているので、年末年始にでも見てみようかなと思ってはいるのだが。

ちなみに、東京ガスのCMのシェイクスピアの発音も、いやらしいくらいにブリティッシュである。"I can't speak Japanese." が特に。

「ニュートン」編の「ここは未来? 証拠は?」もかなりツボ。



ちなみにシェイクスピアのせりふは:
I'm Shakespeare. Nice to meet you. Beautiful room!

I can't speak Japanese.

Good-bye.
で、「"Good bye"ってそんなに古い言葉なのかな」と思って語源を参照してみたら、1573年の個人の書簡に最初の用例が確認されているとのことで、ならばシェイクスピア(1564-1616:「ひとごろし いろいろ」と覚える)の時代にはあったということでOK。
http://www.bartleby.com/61/20/G0192000.html

# シェイクスピアっていうと "farewell" を使っていそうなイメージだが。ヒマだったら下記で全文検索可能。
http://www.opensourceshakespeare.org/



【おことわり@1月8日】
この記事に非常に悪質なトラックバックスパムが来たので、トラバ受付を停止します。ご迷惑をおかけします。
タグ:英語

※この記事は

2006年12月30日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 00:22 | Comment(0) | 英語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント

【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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