この、穏やかでない内容の匿名のメールが送られるようになってしばらくたつ。恐ろしくなった「フロリダの女」はFBIに保護を申請し、メールの送り主の特定を要請した。
FBIが突き止めたのは、「ノース・キャロライナの女」だった。「ノース・キャロライナの女」は「あの人」こと「将軍」の伝記を書いた研究者で、テレビ出演などもしている。彼女が「フロリダの女」に送り付けたメールには、「将軍」のプライベートのメールがコピペされていた。
FBIは、「将軍」の個人のメール・アカウントに、「ノース・キャロライナの女」が(不正な手段で)アクセスしたのではないかと考えた。
「詳しく調べてみる必要がありそうだな」――FBIはさらに突っ込んで調べた。そして、「将軍」と「ノース・キャロライナの女」が、それぞれ結婚しているにも関わらず、ただならぬ仲であったことが発覚した。
……という話だそうです(たぶん)、結局のところ。というか今のところわかっている範囲では。
ソースは下記、Boing Boing記事(ワシントン・ポスト、AP、NYTなどの報道の「まとめ」)。
Report: FBI investigation into CIA chief's email "started with two women," not Petraeus (updated)
http://boingboing.net/2012/11/10/report-fbi-began-snooping-pet.html
昨日、「CIA長官が辞任」このニュースがあったときには、何事かと思いましたけどね。
ペトレイアスCIA長官、突然の辞任―「まさかあの人が、こんなことで…」
http://matome.naver.jp/odai/2135252008144219001
最初は英語圏でも情報が小出しにされていて(報道機関同士のスクープ合戦があったようです)、全体像がさっぱりわからない上に、あの人たちの使う語彙の問題から必要以上に「スパイ大作戦」臭がしていたのですが、結局のところは、刑法に触れるような内容ではなく、いわゆる「痴話げんか」のようで……。
あと、「浮気」そのものが辞任に値するということではなく(諜報機関のトップとしては危なっかしいですけどね。付け込むスキがありまくりということで)、私用のメアド(Gmailだったそうですが)とはいえ、浮気相手に侵入されてしまう(パスワード破られる)という脇の甘さが問題になったようです。
それにしてもなぜこのタイミング(選挙数日後、重要な議会証言の数日前)だったのかなど、謎がいろいろあるわけですが、最新情報としてはこれ……
Other details emerged Saturday indicating that the Petraeus allegations became a secret election-night drama for the Obama administration. That evening, the Justice Department informed the director of national intelligence, James R. Clapper Jr., that their investigation had unearthed compromising information about the CIA director, according to a senior U.S. intelligence official.
Clapper then spoke with Petraeus and urged him to resign, notifying the White House the next day. That sequence has become a source of controversy, raising questions among some members of Congress about why key intelligence committees were not notified earlier and why the FBI waited before informing the administration about a probe that had stumbled onto embarrassing details about the CIA chief.
FBI probe of Petraeus triggered by e-mail threats from biographer, officials say
By Sari Horwitz and Greg Miller, Sunday, November 11, 4:17 AM
http://www.washingtonpost.com/world/national-security/fbi-probe-of-petraeus-triggered-by-e-mail-threats-from-biographer-officials-say/2012/11/10/d2fc52de-2b68-11e2-bab2-eda299503684_story.html
ところで、このニュース、日本語圏でもそこそこ報道があったので、ある意味実験的に、Twitterをほとんど見ないで、日本の報道機関の記事→(Google Newsを経由して)英語圏(この場合は米国の報道機関)の記事、というように情報を得ようとしてみたのですが、時間のロスが多いだけで意味なかった。
こういうふうに、当局が公的に認めていない情報(このケースでは「ノース・キャロライナの女」の名前など)があり、何が何なのかをめぐる報道合戦(各社のスクープ合戦)が激しくて、情報が小出しにされている場合、なおかつ、例えば「アフガニスタンでの "誤爆" による民間人死者」のように情報源が独占的でない場合(アフガンの誤爆については、結局、ISAFの情報しかない)、つまり情報がたくさんあって、「ひとつの報道機関が伝えていない部分も含めた全体像」を、つかもうと思えばつかめるくらいな状態のときの「情報の錯綜」はハンパないです。
このケースでいえば、「最初にスクープしたのはNBC」、「続いて個人名を出したのはSlate(フレッド・カプラン)」、「それからAPやWSJ、NYTやWaPoなど各社こぞって取材&報道」という経緯が最初からわかってれば、かなり話が見えやすかったかも。
しかし、辞任直後、フレッド・カプランなどは「あのカタブツが……」的なことを書いていたのですが、あとから報じられたのを見ると、何が「カタブツ」なんだか……ねぇ。
「ノース・キャロライナの女」が絡んでた「フロリダの女」は、「将軍」の配偶者や家族・親戚ではないそうです。
何かちょっと、ジョン・メイジャーの件を思い出しますな……。
事が事だけに、プロヒューモ事件とか:
http://en.wikipedia.org/wiki/Profumo_Affair
テッド・ヒースに対する東側からのあれこれとか:
http://www.bbc.co.uk/news/magazine-18556213
……そういったことを思い出すべきなのでしょうけれども、それよりむしろ「あのジョン・メイジャーが4年間も閣僚と浮気してた」ことのほうが近いような気がする。。。Boing Boingでも書かれていたけれど、政治面じゃなくて「ワイドショー」のネタなんですよね。
※この記事は
2012年11月11日
にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。
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