今年2月、急病で病院に搬送され、しばらく集中治療室に入っていたイアン・ペイズリー(1926年生まれ)が、完全復活を遂げたそうだ。(誰ですか、ゾンビー・ポリティックスとか言ってる人は。)
Ian Paisley's revival after serious illness
28 October 2012 Last updated at 09:29 GMT
http://www.bbc.co.uk/news/uk-northern-ireland-20110775
記事にエンベッドされている映像にインタビューが含まれているので確認できるが、年齢(86歳)相応に弱々しくはあるものの(特に声は、政界引退後に弱くなって、そのままだ)、顔色や肌のつやもよく非常に元気そうである。
Last week he led a service outside his church in east Belfast, Martyrs' Memorial, in memory of the unionist leader Lord Edward Carson.
BBC記事に入っている映像の一部(冒頭と最後の締め)は、このときの様子を撮影したもの。
全体で1分48秒のこの映像は、53秒のあたりで往年の「暴れん坊」のペイズリーの "Never, never, never" を見せてくれる。
現在、イアン・ペイズリーはスコットランドの「独立 independence」という問題について興味深く見守っているそうだ。
映像ではここでいきなりジェリー・アダムズのコメントが来る。シン・フェインが、スコットランドの「独立」と同じようなことを北アイルランドについて考えている、というのだ。アダムズは「いやあ、最終的にはもちろんユナイテッド・アイルランドなんですけどぉ」などと言っているが、というかあなた、今現在は北アイルランドを代表する権限は何らないでしょう(アイルランド共和国の国会議員なのだから)、とツッコミを入れている間に終わってしまう。
アダムズが言っているのは、"border poll" のこと(今年に入ってからシン・フェインがじわじわとプッシュしている)。10月19日付でアダムズのブログに詳しく書かれている。1998年和平合意(グッドフライデー合意)にあった the north-south Inter-Parliamentary Association がようやく、という記事。
http://leargas.blogspot.jp/2012/10/a-border-poll-is-next-step.html
この中でアダムズはこんなことを書いている。
... Unionists and nationalists and republicans from all parts of this island rubbed shoulders and participated in the first meeting of a unique and innovative political institution ...
This is a significant political development which should not be underestimated. It reflects the increasing acknowledgement that Ireland is too small for our people to live in isolation from each other and that working together is better for everyone.
この方向性の発言というと、昨年の今ごろからあとのピーター・ロビンソンの発言もそうですね。むろん、根本的な立場の違いというものははっきりとしているのだけど、目指す方向性は……という感じ。
今回のイアン・ペイズリーの発言も、何だかそっちの方向のような気がするのは、私だけでしょうか。
He said: "We are getting now many Roman Catholics who are unionists - quite amazing - and who go out and vote unionist."
アルスター・ナショナリズムといえばヴァンガード・ユニオニストなどのユニオニズムの強硬派のオハコだったんですけどね……。時代は変わるというか、「教科書を書き改めなければならない」感じ。
ゴルフのロリー・マキノンのように「(カトリックのバックグラウンドで)『アイルランド代表』と言われると違和感がある」という若い世代も育ってきている。1998年の和平合意から、14年だ。
関連の過去記事:
2012年02月07日 イアン・ペイズリーが倒れた。
http://nofrills.seesaa.net/article/250826995.html
2012年02月10日 イアン・ペイズリーの入院について
http://nofrills.seesaa.net/article/251472756.html
2012年02月28日 イアン・ペイズリーが退院した。
http://nofrills.seesaa.net/article/254578437.html
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※この記事は
2012年10月29日
にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。
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