言うまでもなく、日本ではどの店で買おうとも書籍の価格は一定である(「定価」販売である)。店は、製造者(出版社)がつけた値段で販売している。これは「再販制」によるものだ。(「再販制」についてはここでは踏み込まない。)
一方で、米国(だけではないのだが、ここでは関係するのは米国なので「米国」と書く)にはその「再販制」がなく、店が値段をつける。
だから、例えば、ある書店が「開店○周年記念謝恩フェア」をしたい場合、日本では本の価格を下げることはできないが、米国では「全品20%オフ」ができる。
同じようなことは、ふだんの商品の販売にもあり、結論をいえば、米amazonのKindleストアで、日本から買おうとすると$35.59と表示されるこの本が、米国内からのアクセスでは$16.20と表示されるのは、米amazonが独自に値引きをしているのである。
……という仮説を立てて、確認してみた。
まず、当該の本の出版元を、米amazonの商品ページから確認する。
Product Details
Paperback: 320 pages
Publisher: Peachpit Press; 1 edition (March 4, 2012)
Language: English
ISBN-10: 0321814584
ISBN-13: 978-0321814586
......
http://www.amazon.com/dp/0321814584
出版社のPeachpit Pressを検索する。
http://www.peachpit.com/
(なんか、ブランドンやスティーブがケリーやドナちゃんとたむろってるカウンターの向こうでナットさんがハンバーガー作ってそうですな。)
うにゃ、ここでの調べものには関係ないけど、ピアソン軍団なのね。(「ピアソン軍団」=英メディア企業のピアソンのグループ企業のこと。The Economist, The Financial Timesなどの報道機関と、語学書などの教育関係の出版社がある。ピアソンは報道部門をよそに売るつもりらしいけど。。。)
右肩のSearchのところに書名をいれると、Voila!
http://www.peachpit.com/store/android-ui-fundamentals-develop-design-9780321814586
ここで価格を確認すると:
eBook (Watermarked)$35.99$28.79
つまり、出版社がつけた本来の価格(日本での用語では「希望小売価格」)は $35.99 である。
(少なくとも今は)出版社のサイトでも割引が行われているので、$28.79で買えるが、本来は$35.99が、(俗にいう)「定価」だ。
上述の「NAVERまとめ」のページでみたように、米amazonのKindleストアで日本から買おうとしたときには$35.59と表示される。これは出版社がつけた価格(「希望小売価格」)のようだ。
ただし、今(28日(日)の深夜)に改めて同じページに同じ条件で(amazon.comにログインしていない状態で、東京から)アクセスしてみると、$19.23 と表示された。
はて。。。
※上述の「NAVERまとめ」のページを作成したのは、26日(金)である。
なお、書籍について、販売業者が自由に価格を決められる(割引販売ができる)という点については、英国の小林恭子さんが、9月末に、非常にわかりやすい記事をブログに書かれている。
2012年09月30日 英国で、紙の本より高い電子本は将来の姿?
http://ukmedia.exblog.jp/18511483/
※この記事は
2012年10月28日
にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。