つまり、彼らは北アイルランドでは絶賛活動中だが、ブリテン島で彼らが何かをすることは「ありえなくはない」という程度の位置づけになる。
MI5 downgrades dissident Irish republican GB threat
24 October 2012 Last updated at 11:28 GMT
http://www.bbc.co.uk/news/uk-northern-ireland-20066672
このBBC News記事に付属している映像がわかりやすい。彼らがブリテン島で最後に攻撃を行なったのは2001年のイーリング爆弾事件だ。その翌月、ニューヨークとワシントンで飛行機を使った攻撃があり、世界全体が、というかアメリカが「テロ、テロ」と騒ぎ出したのであるが、イングランドではその前に(北米からの資金提供に助けられた)「テロ」は「よくあること」だった。リパブリカン武装組織がその後、「テロ」を行なわなくなった背景には、北米の支援者が「テロ」を目の当たりにしたことで「直接の力による解決」というリパブリカンのやり口に(ようやくのことで)嫌気がさした、という要素がある。(それでもまだ、「アイリッシュ・リパブリカンの『闘争』」は否定されていないが……ピーター・キングの発言などを参照。)
「リパブリカン武装組織」とはいっても、何度も書いているように、「北アイルランド紛争」当時のIRA、つまりProvisional IRAは、シン・フェインの和平路線にともなって、もはや武装組織としては存在しないも同然になっており、現在活動しているのは集合的にdissident republicansと呼ばれる、リパブリカン主流派の「和平」の方針に反対する人々のみである。今回、ブリテン島での脅威レベルが引き下げられたのも彼らの活動についてである。
今年、2012年はエリザベス女王即位60周年(ダイヤモンド・ジュビリー)と、ロンドン五輪&パラリンピックという大きなイベントがあり、ディシデント・リパブリカンの組織がそれを狙って行動を起こす可能性が警戒されていたが、それらが終了したことで内務省による見直し(再評価)があったのかもしれない。
いずれにせよ、今のディシデント・リパブリカンは、かつてメインランドでの爆弾闘争を行なっていたときのProvisional IRAとは、活動の方針がまったく違う。
PIRAはメインランドで爆弾攻撃を行なうことによって英国の世論を喚起し、また経済中枢に影響を及ぼすことで、アイルランド北部(北アイルランド)からの英軍の撤退を促そうとしていた(ことになっている。一部、どう見ても爆弾を仕掛けることそのものが目的みたいなケースもあると個人的には思うが)。
しかるに、2007年7月のオペレーション・バナーの終結で、北アイルランドの住民に暴力を行使し、また圧力をかけてきた英軍は北アイルランドの基地を引き払っていき(今も残る北アイルランドの英軍基地は、基本的に、普通の英軍基地である)、今のディシデント・リパブリカンは、軍よりもむしろ北アイルランド警察を「敵」として、直接の攻撃対象としている(このほか、おそらく組織維持を目的とした活動で、「麻薬の売人」を殺害したりしてもいるが)。
つまり、わざわざメインランドで攻撃を展開することで彼らが「得をする」点は、あまり考え付かない。
それに、彼らにそうする能力があるようにも見えない。
だが、最新の展開としてはこんなこともあった。
Earlier this month, a horizontal mortar was discovered in north Belfast.
It is understood the device included the military explosive Semtex, and would have been capable of piercing the armour of a police vehicle.
http://www.bbc.co.uk/news/uk-northern-ireland-20066672
より深いところは、マーク・シンプソン記者の解説を。
http://www.bbc.co.uk/news/uk-northern-ireland-20055144
※この記事は
2012年10月26日
にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。
【todays news from uk/northern irelandの最新記事】
- 【訃報】ボビー・ストーリー
- 【訃報】シェイマス・マロン
- 北アイルランド自治議会・政府(ストーモント)、3年ぶりに再起動
- 北アイルランド紛争の死者が1人、増えた。(デリーの暴動でジャーナリスト死亡)
- 今週(2019年3月3〜9日)の北アイルランドからのニュース (2): ブラディ..
- 今週(2019年3月3〜9日)の北アイルランドからのニュース (1): ディシデ..
- 「国家テロ」の真相に光は当てられるのか――パット・フィヌケン殺害事件に関し、英最..
- 北アイルランド、デリーで自動車爆弾が爆発した。The New IRAと見られる。..
- 「そしてわたしは何も言わなかった。この人にどう反応したらよいのかわからなかったか..
- 「新しくなったアイルランドへようこそ」(教皇のアイルランド訪問)