「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2006年12月21日

2007年の公共交通料金(「初乗り」900円突破)

さて、毎年恒例の例のアレです。。。一応、心の準備をお願いします。

2007年1月2日からのロンドンの公共交通機関の料金です。PDFファイルです。
http://www.tfl.gov.uk/tfl/fares-tickets/2007/downloads/TfL-Fares-Jan-2007.pdf

【図版】PDFファイルから最も重要なところをキャプチャ。
tubefare-2007.png

つまり、地下鉄の初乗り(Zone 1を含む場合)は、Oysterを使えば現状のままで£1.50、現金で切符を買うと£4.00です。

£4.00を日本円に換算してみましょう・・・四捨五入して「920円」です。交換手数料を考えると「930円」を超えるかも。

予言しておくと、このペースでいくと2008年には1000円を突破します。(ほんと、ロンドンが単独で、世界の地下鉄運賃の平均を引き上げてくれていそうな勢いですね。)

なお、Zone 1を含まない場合の現金での初乗りは、£3(2006年と同じ)。Zone 1を含もうと含むまいと、オイスターを使っている人は据え置きです。

ただし定期(Travelcard)は値上げされます。Zone 1-2の7日間のトラヴェルカードが、£22.20から£23.20に、Zone 1-3は£26.00から£27.40に、という具合。Zone 1-3の1ヶ月定期はついに£100を突破して£105.30になりますね。。。換算してみるとおよそ24,000円! Zone 3に住むと、1ヶ月の交通費が、どんなに安くても24,000円!(学割がない大人の場合。)

10代の人の料金は無料化されたり値下げされたりするそうですが、20歳以上の人はオイスター利用であっても、基本的に、負担が増えるということですね。

なお、2006年の料金と比較したい人は、下記URLでPDFをDLして手元に保存しておきましょう(2006年のはそのうちに削除されるはず)。
http://www.tfl.gov.uk/tfl/downloads/pdf/fares-tickets/fares-2006-leaflet.pdf

というわけで、昨年発表された「2006年の運賃」で、「初乗り」が£3になったときに私は「想定外」と書いたのですが、今回の「初乗り£4」は想定内でした。(2005年が£2、2006年が£3なら、2007年は£4です。問題は、£1が低めに見積もって換算しても200円だということですが。まったく、世界でどのくらい多くの人が1日に1ドル以下で生活していると・・・。)

TfLによると、新運賃は「バスをよりスピードアップし、地下鉄駅の行列を軽減するため、利用者に現金からオイスターへの切り替えを促したい」とのことですが(Tickets and Oyster参照)、それは極めて英国的なトークというもので、本音は「何が何でも皆さんにオイスターを使っていただきたい」ということです。

オイスターは利用履歴の追跡が紙の切符よりも容易で、まとまった量のデータが蓄積されており(本当はデータは3ヶ月で削除することになっているはずだが、守られていないという報道もあったような気が<うろ覚え)、すでに犯罪捜査でデータが用いられていますが、それだけではなく、多方面での「活用」が見込まれています。東京のSuicaがコンビニなどで利用できるのと同様に、お財布代わりに利用できるようにする、など(e-Purseっていうらしい)もあるのですが、TfLの路線計画を立てるときに人の移動のデータを得るとか、あとマーケティングに活用するとか。
http://rfid.idtechex.com/knowledgebase/en/casestudy.asp?freefromsection=122
http://www.currybet.net/cbet_archives/0269.php

英国の人なら「オーウェリアン(Orwellian)だ」とか「ビッグ・ブラザーが見ている(Big Brother is watching you)」とかいう反応をするのが正統派で、実際そういう反応も見られたし、今でも見られるのですが、「オイスターを使わないと信じられないほど高い」という現実が作られてしまったから、ビッグ・ブラザーだろうが何だろうが使わざるを得ない。で、実際使ってみても実害はない(it doesn't bother meという感じで)。それどころか、案外便利だったりする。

ちょっと「陰謀論」っぽい言い方をすると、当局は、あちこちから不満の声は出るけれども、不満を言う機会と場さえ潰さなければ、結局人々は「プラクティカル」な選択をする、ということをよく知っている。

たぶん、「本当のことを言っちゃうと、本当にオーウェル的社会の下地作りなんだよ」ということではないかと思うのですが、どうでしょう?
http://commentisfree.guardian.co.uk/frank_fisher/2006/12/chipping_away_at_freedom.html

いずれにせよ、おそろしいのは、「これを使わないとべらぼうに高いよ」という事実を作ってしまい、事実上、切り替えを強制している(「使わない自由」を極めて悪質な形で否定している)ということです。しかも、2006年に一気に「初乗り£3」に引き上げておいて、まだ足らずに翌年の上げ幅が£1。

これでオイスターの普及率が8割を超えるなどした日には、次はオイスター利用者の料金が、以前のように「1年に10ペンス」の幅で上がるでしょう。もちろん「設備の老朽化にともない、修理費用が必要」という理由で。

※この記事は

2006年12月21日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 20:15 | Comment(0) | TrackBack(0) | london basic info | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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