以下、「さらす」意図はないので。
ふと見かけたこのページでの「海外ツイッター」の「日本語訳」がデタラメすぎてびっくりした。「ナゾの絶賛」っていうけど、そりゃ「謎」に見えるよ、こんな読み方してたら。(いや、「ナゾの」は修辞であり、「謎」という《意味》はないことはわかってます。)
これら、単なる「誤り」なので下記コメント済。
「海外ツイッター」の“翻訳”がめちゃくちゃですよ。
> Ichiro is a beast bro
> 【翻訳】イチローは獣の仲間だ
broは「仲間」ではなく、親しい相手への呼びかけ。
日本語に訳出するときは「タメ口」と思っていればだいたい間違いないくらい。
(コンマとかを使えば、Ichiro is a beast, bro. と書かれる文です。)
beastは「獣」ではなく「人間離れしている」。
> Ichiro fast like fuck eh no
> 【翻訳】性交のような速さ
fast like[as] f**k はイディオム。「超速い」、「クソ速い」くらいの意味。
辞書引いてください。
> ichiro is too fucking fast
> 【翻訳】イチローが速すぎてクソです
このfuckingは【強意】。単に「速すぎる」の意味。
「超はえぇ」くらいの感じ。
> Ichiro looks like a little elf boy who skips around the prairie #sorry
> 【翻訳】イチローは大草原の近くでスキップする小さなエルフのように見える
around 〜は「〜の近くで」ではありません。
それからこれは、末尾に #sorry があることからもわかるとおり、別に誉めてないですよ。
これだけ。私は野球にもイチローにも別に格別の興味はないし、無料翻訳チェックサービス屋ではないので、これ以上は見ませんでした。
ほんとねー、スラングとか「翻訳」したいと思うなら、まずは基礎力、続いて「勘」(これがあるかないかは決定的。堅苦しくないしゃべり方をする人のインタビューとか多読して、どこに「コンマ」が入ってるかみたいな別にかっこよくも何ともない地道な言語学的検討をすることでかなり磨けるはず)、それから「スラング辞書」が必要なんっすよ。その「辞書」を使うにも「勘」が必要で、数々の失敗が必要なんですけど。
※この記事は
2012年10月10日
にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。
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