「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=


2012年10月06日

「007がスクリーンデビューして50年」で、英国の「アーカイヴ」力を思い知らされる。

今年のオリンピックとパラリンピックのセレモニー、特にオリンピックの開会式では、「英国」という存在がいかに引用・参照可能な「コンテンツ」を有しているか、それを有機的に組み合わせることでどのような「表現」が可能になるかということを、改めて思い知らされた。

それに加えて、英国には「アーカイヴ」への取り組みと、それを可能にする資金、という資産もある。先日は、世界最古のカラー映像の復元が完了して一般公開されたが、その映像は、元々倉庫の中から見つかったちょっと変わった(サイズが規格外の)フィルムという形で、「歴史の蓄積」の中から出てきたものだ。それを、このような形で復元し公開できたのは、映像を「資産」として蓄積し分類する「英国立メディア博物館 the National Media Museum」(ブラッドフォード)という施設(ハコと専門家集団)があったからだ。

そういうことを見せつけられる機会が、またあった。しかも今回はがっつり、「商売」と連動している。

10月5日のことだ。

007 ジェイムズ・ボンドの登場からぴったり50年 #JamesBondDay
http://matome.naver.jp/odai/2134944886003690901


現実離れした、完全に虚構の世界の、「世界で最も有名なスパイ」が銀幕に登場したのが1962年10月5日。それから50年という記念日と、新作Skyfall公開前のプロモ・キャンペーンがシェイクされてステアされて、はい、できあがり。

これを見ながら、「メリケンだったら多分ごってりとUSA! USA!連呼が重ねられて脂っこくなるんだろうなあ」的なことを思うのは(全世界で使用されているWindowsもApple Macも、「アメリカで開発されたから」すばらしくて、それゆえに全世界で使用されている、と勝手に納得しているような言説を思い浮かべつつ)、リアル世界のニュースでロムニーがどうとかいうローカル政治(選挙)ネタが「トップニュース」という、本当に胃もたれしてうんざりするような状況だからなのだけれども、#JamesBondDay のハッシュタグがUKでtrending topics入りしている間に私のTwitterの画面内に流れてきた英国の人々の「一言」は(決して多くはなかったにせよ)、「私は興味ないしどうでもいいんだけど、一言言わずにはいられない」というムードに満ちていて、10月になったというのに空気が妙に湿気を含んでいて、外から帰ってくると室温が30度になっているという中に一服の清涼剤のようにすら感じられた。

とかいう中で、「やっぱりすごいなあ」と思わされたのは、「アーカイヴ」からのTwitterのフィードだ。「NAVERまとめ」の2ページ目にある。
http://matome.naver.jp/odai/2134944886003690901?&page=2

まず、BBC Archive.


「フィリップ・マーロウ」(レイモンド・チャンドラー)と「ジェイムズ・ボンド」(イアン・フレミング)によるラジオ対談(1958年)に始まり、BBCのラジオ&テレビでの「ボンド」特集がアーカイヴされている。

なお、このBBC Archiveというアーカイヴは、「どんだけ時間があっても足らない」感を味わいたいときには最適と思われる。著名な政治家や国王のドキュメンタリーやスピーチといったものはもちろん、BBCがワーキング・クラスをどう扱ってきたかというコーナーもあるし、ガイ・バージェスのBBC時代(彼がBBCにいたときの書類)の特集もある。文学者のインタビュー(ヴァージニア・ウルフから現代の作家たちまで)など「宝の山」としか言いようがないし、文学とBBCと言えばもちろんこの人についての特集もある。

さらに、キーワードによるインデクス化もなされており(これで、例えば1960年までのベルファストの様子を伝える資料が一覧できる)、「アーカイヴする」ということについての技術的専門家のインタビュー集などもあり、http://www.bbc.co.uk/archive/ を5分ほど眺めただけで、BBCという大組織がどれだけ意識的に、本気で「アーカイヴ」に取り組んでいるかということについて圧倒されるほどだ。

もう一つあるのが、BFI (the British Film Institute):



ボンド映画の第1作、『ドクター・ノオ』でのボンド登場シーンの台本のスキャン。この場面。
ボンドの初登場シーンは、ロンドンのアンバサダー・クラブ(Le Cercle, Les Ambassadeurs London)のカジノである。そして此処でボンドが言う、"Bond, James Bond" は、以後シリーズで恒例の名乗り方となる。
http://ja.wikipedia.org/wiki/007_%E3%83%89%E3%82%AF%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%8E%E3%82%AA

映像クリップ。
http://youtu.be/95Zgz1_xYx8

それから、「データ・ジャーナリズム」の手法でちょっと遊んでいるガーディアン:



この数値から「ボンド以外の登場人物による人殺し」を除いて、さらにビジュアルを凝った感じにしたのが下記。

James Bond: before Skyfall, a guide to 50 years of death and destruction
http://www.guardian.co.uk/film/interactive/2012/oct/05/james-bond-film-death-interactive



こういうふうに、蓄積→分類・分析→提示という流れが確保されるためには、そのための仕組み・体制と資金が必要だ。英国も経済的に難しい状況にあって、そういうことに対する取り組みも無風ではいられないのだが(先日の内閣再編までメディア・文化大臣だったジェレミー・ハントのあからさまな「ビジネスにならない分野」への軽視を参照)、それでも、つい先日、BFIは5か年計画を発表している。(保守党政権とジェレミー・ハントによって廃止されたUK Film Councilの作業を引き継いだのがBFIで、BFIは新作映画への資金提供もしているのだが。)
http://www.guardian.co.uk/film/2012/oct/03/bfi-online-film-player-heritage
The British Film Institute, which has taken on a lead role for all aspects of film since the abolition of the UK Film Council outlined how it plans to spend over £500m over the next five years.

The organisation's chairman Greg Dyke said that included spending £50m a year of lottery money, which was "not as much as you might think". He promised a less London-centric approach and said the BFI's three priorities would be: education and audiences; film and film-making, and film heritage.

On that last priority Dyke said: "It's all very well having the greatest film library in the world but if you can't actually get to see it, it's of limited value. I keep on making jokes that I don't believe it's there, but they tell me it is."

In fact, more than 450,000 cans of the nation's film are stored at a secret location in Warwickshire and the BFI said it was committed to digitising 10,000 films by 2017, with experts and a public vote helping to decide which films should be included. The BFIPlayer, scheduled for the end of next year, would allow viewers to watch films on-demand.


(なお、一応書いておくと、ボンド映画はどっちかっていうと苦手である。あの露悪的な造形の、「格好はいいし、仕事はできるが、人としてどうしようもない男」が「これが男のロマンだ!」と押し売りされてくる感じが。パロディだと思ってへらへらと見ていれば楽しいと思う。)

※この記事は

2012年10月06日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 22:00 | TrackBack(0) | todays news from uk | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

この記事へのトラックバック

【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

……全文を読む
▼当ブログで参照・言及するなどした書籍・映画などから▼















×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。