と、列挙してきて改めて思う。それにしてはちょくちょく見るんだよな……と。ほんの1秒ほど考えればわかるが、私はTwitterでアフガニスタンから直接、英語でツイートしているジャーナリストを何人もフォローしているのだった。フリーの人もいればBBCなど大手所属の人もいるし、現地メディアのTolo Newsの人もいる。在外アフガニスタン人もいるし、元アフガン駐留米兵の学者もいる。
その特色が、2つの方面ごとにはっきり示されたのが、17〜18日のことだ。
ひとつはこれ。人数はともかく、範囲としては全世界的規模で行われていた「ムスリムのデモ」でカブールの情勢も注目されていた17日。
フォトジャーナリストが伝える「デモ」の現場〜9月17日、カブール
http://matome.naver.jp/odai/2134786324949487001
最初、「カブールの米軍基地の近くに、1000人以上が集まっている」と伝えられていたそのデモを、アフガニスタン人フォトジャーナリストのマスード・ホセイニさんが現場から伝えていた。
マスード・ホセイニさんは、昨年12月のシーア派宗教行事アーシュラーに対する自爆攻撃の現場を撮影した緑の服の少女の写真でピュリッツアー賞を取った。彼自身、爆発のせいで左腕に大けがをしていた。後日、その少女を取材したガーディアンのCiF掲載の記事がある。
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2012/apr/24/massoud-hossaini-pulitzer-image-afghanistan
要旨は下記に一部日本語で。
http://matome.naver.jp/odai/2133474301384003901?page=2
17日のデモは、現場にカメラを持って飛んで行ったマスード・ホセイニさんと、彼からの報告を受けるPressistan(通信社)のアカウントなどのツイートで、リアルタイムで英語で情報が流された。最終的に、集まったのは1000人に及ばず(数百人規模)、暴力的なデモ隊の「暴徒化」を未然に防いだ警察の賢明な対応(「一発の銃弾も発射しなかった」と署長は言っていた)でおおごとになる前に終息したようだった。
しかし、これを伝えるBBCやCNNの記事は、「数百人も集まった」的なセンセーショナルな書きぶりが目立った。実際には、どちらかというと「盛り上がりに欠けるアンチ・クライマックス」に近い状態であったようなのに。
きっと、「暴徒化する群衆」ということになるという期待感(予期)が、そういうバイアスを生じさせたのだろうと思う。
「外部の目」がそういうふうに曇っているときに、現地から信頼できる情報が流れてくる、ということは、それも読める言語で流れてくるということは、とても貴重なことだ。
というわけで、アフガニスタンのジャーナリストのアカウント、どんどんフォローしましょう。下世話な話、イケメンが多いので、アフガニスタン情報をフォローして、イケメンの並ぶTLを構築しよう、とかいうこともできるし(ベッカム、クリスチアーノ・ロナウド、フェルナンド・トーレス……などなどのワールドカップのときの「報道(笑)」のごとく)。
もうひとつは、これはもう完全にISAF/NATOの情報統制のお話。
アフガニスタン、米軍とアフガニスタン軍・警察の合同作戦が中断に?(9月18日の情報の混乱)
http://matome.naver.jp/odai/2134797688959595301
最初、ガーディアンがワシントンDCから伝えて、その後、BBCが伝えたことについて、英国会での質疑で外相も国防相も否定、というか「メディアは大げさ」論をぶち上げたのだが、結局はBBCなどの報道が正しかった、というひどい顛末で、政治家たちの言い訳も含め、まさに(言葉のある)「劇場」めいていた。(日本の「劇場型政治」は言葉がつまらないので見ててもおもしろくない。)
壮絶なオチはこれ。
http://twitter.com/sommervillebbc/status/248082932516913154
さらに多段オチになっているので要注意。
いやあ、情報って、難しいですね。
※この記事は
2012年09月19日
にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。
【i dont think im a pacifist/words at warの最新記事】
- 「私が死ななければならないのなら、あなたは必ず生きなくてはならない」展(東京・六..
- アメリカのジャーナリストたちと一緒に、Twitterアカウントを凍結された件につ..
- パンデミック下の東京都、「コロナ疑い例」ではないかと疑った私の記録(検査はすぐに..
- 都教委のサイトと外務省のサイトで、イスラエルの首都がなぜか「エルサレム」というこ..
- ファルージャ戦の娯楽素材化に反対の意思を示す請願文・署名のご案内 #イラク戦争 ..
- アベノマスクが届いたので、糸をほどいて解体してみた。 #abenomask #a..
- 「漂白剤は飲んで効く奇跡の薬」と主張するアメリカのカルトまがいと、ドナルド・トラ..
- 「オーバーシュート overshoot」なる用語について(この用語で「爆発的な感..
- 学術的に確認はされていないことでも、報道はされていたということについてのメモ(新..
- 「難しいことはわからない私」でも、「言葉」を見る目があれば、誤情報から自分も家族..