著名人が「私はゲイだ」と公言したということを書いたら、サイト運営者から「性に関する露骨なワードを含む」、「職場や家族の前で表示するのにふさわしくない」と判定。意味がわからない。
http://nofrills.seesaa.net/article/279178509.html
4日に私が作成したアンダーソン・クーパーのカムアウトについての「NAVERまとめ」について、5日、運営側から「広告表示制限まとめ」と判断された旨の連絡を受け取った。それに対する当方からの問い合わせに、運営側の担当者さんは「性に関する露骨なワードを含む」こと、「職場や家族の前で表示するのにふさわしくない」ことが理由である、と説明した。
上記エントリをアップした時点では、この件について、さらに問い合わせを行なっていたが、それについて、運営者さんからのお返事を週明けの9日の午後にいただいた。まずは迅速なお返事に感謝申し上げたい。
結論からいうと、「広告表示制限」は解除された。
以降、記録として、簡単に経緯を説明する。
「広告表示制限」に指定されたとの連絡を受け取ったあと、前述のエントリにあるように、Twitterも使って自分の(言語的)認識におかしなところはないかなどを確認したあと、(ブログのエントリを書き上げる前に)私は運営側に問い合わせを行なった。「問い合わせを受け取った」との自動応答のメールの受信時刻が7月6日(金)の00:50である。
その問い合わせにおいて、私は大筋、次のようなことを述べた。
-(問題があるとされたURLを)再度見直したが、「性に関する露骨なワード」がどれなのかがわからない。
- 考えられるのは「ゲイ」だが、もしそれが「広告を表示させたくない」という基準に該当するのであれば、あからさまにホモフォビアである。それは日本ではありえないことだと私は信じているし、現に配信されている広告の文言との整合性が取れない。
- 「そのほか多数」が該当するとも言われたが、それが何なのかもわからない。(最大限に拡大解釈して、いくつかそう判断されうるワード、例えば「homosexual person」などを挙げて)、いずれも「露骨」に「性(行為)」について述べているものではない。
- 「職場などでの閲覧に問題がある」と考えられるワードとして「出会い系サイト」があるが、淡々と事実を述べた記述(ニュースで報じられた内容)である(その利用をすすめるなどするものではない)。これではおちおち、ニュース記事の引用もできない。
その上で、次のように申し上げた。
上記のような次第にて、なぜ「ゲイの人権」、「人間としての生活」についての「まとめ」が、「広告を配信できないようなもの」とみなされるのか、一向に納得できません。
よって、私が考えている「ゲイ」が引っかかっているというのは間違いだろうと思うのですが、となるとますます何のことかがわかりません。
この問い合わせに対し、7月9日(月)の午後早い時間帯に、同じ担当者さんからお返事をいただいた。その内容は、文面の引用許諾がいただけていないので事務的な文で箇条書きにするが:
- 私からの6日の問い合わせの内容を慎重に検討し、その結果、「広告表示制限」にはあたらないと判断した。
- その結果、同制限を解除した。
- 不快な思いをさせたことについて謝罪する。意見を送ってもらったことに感謝する。
……以上。このほかの具体的な説明はなかった。
今回の件でTwitterでメッセージをくださったり、ツイートしたりしてくださったみなさまには、この場をお借りして、深く感謝申し上げます。ありがとうございました。
おそらくはフィルタリングにひっかかっていたのだろうと思いますが、こういう「ワード」が(仮にフィルタリングの精度に帰着されうる問題であるとしても)「表で堂々と書けない、言えない」という状況が日本に存在すること自体が、嘆かわしいことです。
もし、このような「制限」が自分の身に降りかかったときには、「その判断はおかしい、不当なものだ」ということを運営側に説明してください。
(何らかのフィルタリングに起因するものであれば、人の目で文脈を読むことによって、いわゆる「ポルノグラフィー」かどうかが正確に判断されるはずです。)
「差別のない世の中を」などという「きれいごと」は言いません。「ゲイ」や「ホモセクシュアル」といった、生身の人間という存在を代表する言語上の概念が、「制限ワード」として人の目に触れる場から排除される、などということがないような世の中を私は望みます。
当該の「まとめ」から、改めて。
CNNキャスター、アンダーソン・クーパーのカムアウト…「完璧な世界では他人には関係ないことだ。だが」
http://matome.naver.jp/odai/2134124732757823601
しかしそれでも、これが記録されているということは重要であると私には思われる。いまだに同性愛者に死をなどという宗教家がいる。同性愛者である子供の間でいじめや自殺の例も起きている。愛する人と結婚するという基本的な市民権に終止符を打つことに熱心な大政党が1つある。だから、これらの「なんでもないこと」は今なお、ある意味特別なことであり、重要である。同性愛者が見える存在であること、これは私たちの平等にとって、中核となるもののひとつである。
―― アンドルー・サリヴァン
また、最近、こういうことを改めて感じている。つまり、社会としてはあらゆる人々を受け入れ、差別なく遇する方向に動いてきているときに、歴史の潮流が進むのは、人々が自分の姿を完全に見えるようにしたときだけだ、と。相変わらず、若い人たちのいじめの事例はあまりにも多く、年齢を問わず性的指向に基づいた差別や暴力にさらされる事例も多い。そういうなかで自分がどこに立っているかを明示することには価値がある、ぼくはそう考えている。
―― アンダーソン・クーパー
※この記事は
2012年07月09日
にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。
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