「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2012年07月06日

著名人が「私はゲイだ」と公言したということを書いたら、サイト運営者から「性に関する露骨なワードを含む」、「職場や家族の前で表示するのにふさわしくない」と判定。意味がわからない。

5日夜、次のようなツイートをした。


この問いかけには、多くの方から回答をいただいた(多謝!)。全員が「いいえ」だった。

ツイートにある「このリンク先」は下記だ。

テクストを語(自立語)に分解すれば、固有名詞は除いて、「ブログ」、「カムアウト」、「率直(な)」、「すごく」、「いい」、「文章」……「コメンテーター」、「ブロガー」、「ゲイ」、「ゲイ・ライツ」、「左翼」、「人権」、「意識」、「決めつけ」……などなど。

これについて、「『性に関する露骨なワード』は含まれていますか?」と公開の場で問うたのは、ひとつには私は私の書いたものについて私の言語感覚をあまり信頼していないからだが(書いた本人は気づかない、ということなどいくらでもある)、それ以前に、この文章には性的にであれ何であれ「露骨なワード」などないので、「『性に関する露骨なワード』があるからこういうことになった」、という説明を受けて、大いに面食らったからだ。

「『性に関する露骨なワード』があるからこういうことになった」、という説明は、上記の「このリンク先」のウェブサービスを運営する「NAVER」の担当者さんによって為された。(NAVERの担当者さんにはメールのやりとりの許諾をいただいていないので、現状、私が内容を要約して掲載することにする。)

ことの経緯はこうだ。

私は「はてなブックマーク」を使うのをやめてから、「NAVERまとめ」を重宝している。「情報を整理するツール」として「はてブ」より幅広く使えて柔軟性が高く、便利だ。あるひとつのニュースについて、「はてブ」ではタグをつけて管理していたが、「NAVERまとめ」を使えばそれを1つのページ(懐かしい言い方をすれば「リンク集」)としてまとめることができる上に、関係するツイートや写真なども適宜含めることができる。

例えば“サッカー、パレスチナ代表選手が、明示できる根拠なく収監され3年。ハンストで生命も危ぶまれている”のようなツイート主体の「まとめ」方もできれば、“セルビアの新大統領、トミスラヴ・ニコリッチはこんな人。”や、“「小沢離党」を報じる英語記事”のように大手メディアの記事のリンク集という形も作りやすい。“【現地からの写真】エジプト、大統領選挙の様子”のように、現地からの写真とツイートを単に記録しておくこともできる(ただしその用途ではTogetterのほうが使い勝手がよい)。

英語圏にも同じような「キュレーション・ニュース」のウェブサービスはあるが、日本語を扱うことを前提としていないのでカーソルの動きが変だとか、文字化けが発生するとか(いまだに!)いうことがあり、結局は日本語圏で開発されたサービスには及ばない。

そんな感じで便利に使わせていただいているのだが、昨日、管理画面で「通行禁止」のマークが表示されていることに気づいた。マークにカーソルを合わせたときのキャプチャ画像が、下記である。



「このまとめの広告表示は制限されています。詳しくはこちらをご確認ください」のリンク先は:
http://help.naver.jp/faq?itemNo=934
広告表示制限まとめとは何ですか?

あなたが作成したまとめに性的(※詳細な基準は後述)な要素など、広告を掲載するにあたり制限をかける必要があるアイテムや表現が含まれる場合、そのまとめは「広告表示制限まとめ」に指定される場合があります。


「性的」な要素?

何が?

アメリカのニュースキャスターが、自分はゲイであるということを公言した、という話題だが、「性的」な(=「性行為」に関する)要素は含めていない。

以前、シリアに関して凄惨な写真(頭が半分吹き飛んでいるような)が含まれているYouTube映像を(感覚がマヒしているのでそれと気づかず)エンベッドしたときにやはり「通行禁止」マークが出ていたのだが、今回はページにある映像は、基本、テレビのニュースキャスター(中年の男性)がカメラに向かって話しているだけで、凄惨な流血の映像はないし、ましてや、男性であれ女性であれ両性であれ無性であれ、ヌードの類はない。

文章は基本的に「人権」、「人として生きるということ」についてのもので、「露骨なワード」どころか、「性描写」自体、まったくない。

なぜ「通行禁止」マークがついているのか、さっぱりわからない。

……と思いつつ読み進める。
■広告表示制限の指定基準(2011年4月25日作成 2011年9月27日第一回改訂)

成人向けコンテンツ

ヌードや性行為の描写が含まれている写真や動画の他、次のようなコンテンツを広告表示制限まとめに指定致します。

1) 胸、尻、脇など体の特定の部分をメインに性的高揚を目的としているもの

……中略……

10) 成人向けの内容、露骨なワード(性に関する言葉など)を含んだ下品な文章・画像・動画、テキストによって問題ない画像や動画に性的な目線やわいせつな意図がつけられているもの

自分から見ればこの条件に該当などしていないので、問い合わせを行なった。

お世話になります。
http://matome.naver.jp/odai/2134124732757823601
のまとめが「広告制限」されているのですが、
http://help.naver.jp/faq?itemNo=934
の基準に該当するような情報は一切入っておりません。

(テーマは、米国のニュースキャスターのカミング・アウトですが
煽情的な画像はもちろん、煽情的な文言もありません。
広告で表示されるマンガのほうがよほど煽情的です。)
……以下略

実際、「NAVERまとめ」ではいわゆる「BL」好きな人々に訴求することを目的としていると思われる広告が配信されてくる。下記はトップページのキャプチャだ。


※このマンガがどういうマンガなのかはわからないが、男子が男子を物理的にほぼ動けない状態に置いて、「仲悪いけど 実は好きっていう 超 萌えシチュッッッ!!!」と絶叫しているコマを見れば、私じゃなくても「作品がBL」、もしくは「BLファン狙いの広告」と思うだろう。

当方のこの問い合わせに対し、NAVERの担当者さんは迅速にお返事を下さった。まずはそのことに感謝したい。

担当者さんのお返事には、(以下、要約・大意)「広告表示制限は、広告主が広告を掲載したいかどうかが基準となる」、「アダルトかどうかの判断ではない」とある。(有名人がカム・アウトしたという内容の「まとめ」を読む人は、男性が男性に「仲悪いけど 実は好きっていう 超 萌えシチュッッッ!!!」と絶叫しているマンガなどに興味ある人がけっこう多いと思いますが。個人的には、私は「萌え」とか言ってる時点で「うげ」と思う口ですが。)(あと、その説明のページ【→魚拓】に「セミアダルト」って書いてあるんですけど。つまり「広告制限されるのはアダルト的なコンテンツ」って言ってるんですよね。これは画像の更新し忘れ?)

そして、「広告掲載基準に抵触する可能性がある」として示されたのが、本エントリ冒頭の私のツイートに含まれるURLだ。
http://matome.naver.jp/odai/2134124732757823601/2134125276958052103

このURLが、「性に関する露骨なワードを含むコンテンツ」と名指しされている。

しかも、お返事のメールではこのURLの下に「など多数」と書き添えられており、「職場や家族がそばにいる状況で表示するのにふさわしくないコンテンツがサイトにある場合、そのまとめを広告表示制限まとめに指定する可能性があります」とも書かれている。

もう一度、「問題」とされたテクストを見る。
Anderson Cooper: http://t.co/CsdWlm2j via @DishFeed アンダーソン・クーパー(CNN)が、アンドルー・サリヴァンのブログでカムアウト。率直ですごくいい文章だ。
2012.07.03 00:37 twitter

アンドルー・サリヴァンについては少し下に詳しく書くが、英国出身、米国在住のコメンテーター/ブロガーで、自身ゲイであることを明らかにしている。私はこの人から、「ゲイで、なおかつゲイ・ライツの活動をしている人だからといって、必ずしも左翼ではない」ということがどういうことであるか(「ゲイ・ライツの人=人権に意識の高い人=左翼」という決めつけがいかに間違っているか)を学んだ。

これのどこに、「性に関する露骨なワード」が含まれているのだろう?

これのどこが、「職場や家族がそばにいる状況で表示するのにふさわしくない」のだろう?

それに、「まとめ」全体で「など多数」と言われるほど、「性に関する露骨なワード」が使われているだろうか?

結論は説明されなくてもわかっている。要するに、「ゲイ」は「ふさわしくない」ということなのだ。(これを読むことでまた傷つく当事者がいると思うとやりきれない。)

明らかに「BL」のファン層に訴求するような広告を打っていても、それでも「ゲイ」は、言葉だけでも、堂々と語られるにふさわしくない、ということだ。

いや、本当に、「私はゲイである」と述べたアンダーソン・クーパーの人間としての力強い言葉と態度について語ることが「露骨に性的」で「職場や家族がそばにいる状況にはふさわしくない」ものである場合、「仲悪いけど 実は好きっていう 超 萌えシチュッッッ!!!」(広告より)は何なのだろう。

「露骨」というのは「性行為」や「性器」に直接言及、もしくは関係するという意味だと私は思っているが、それが間違いなのだろうか。

それともセクシュアリティを表す言葉(「ヘテロセクシュアル」、「ホモセクシュアル」、「バイセクシュアル」、「アセクシュアル」、「ゲイ」……など)そのものが「性的」だとでもいうことになっているのだろうか。それは、悪いけど「言葉狩り」でしかない。(とか書くとまた「言葉狩りなどという表現を使う人間は信用できない」とかって絡んでくる人がいるんだけどね。)

サリヴァンはブログで次のように述べている。
The visibility of gay people is one of the core means for our equality.

(同性愛者が見える存在であること、これは私たちの平等にとって、中核となるもののひとつである。)

これも「問題」とされたNAVERまとめのページに書いてあるのだが:
http://matome.naver.jp/odai/2134124732757823601

その上で「問題」とされたテクストが、職場では見られないような(=下品な)内容だ、「性に関する露骨なワード」を含む、と言われていることは、文章を書いた私個人にとって、ものすごい侮辱ですらある。

というわけで、この件、また追ってアップデートします。

→ UPDATE:
2012年07月09日 【ご報告】「性に関する露骨なワードを含む」、「職場や家族の前で表示するのにふさわしくない」の件が決着しました。
http://nofrills.seesaa.net/article/279981928.html




皮肉なことに、職場でしか読まないような媒体でこんな記事が出てるんだな。


※この記事の内容についての当事者の方からの否定的な言及で、私はこの記事の存在を知ったのだけれども、それとは別に、「週刊ダイヤモンド」という「(最先端の若者ではなく、企業でどっかり構えて仕事しているような)おっさん御用達メディア」でどのような言葉が使われているかを見るためだけにでも、資料として参照する。

(こういう「資料として」が許せないという人もいるということは、私は一応認識しているが、こちとら、それどころではないのでご寛恕いただきたい。「NAVERまとめ」で堂々と、心置きなく「ゲイ」と書くことはできない、という意味のことを言われている状況なので。そして当方、ゲイ男性としての当事者性は持っていない、つまりまったくの部外者なので。)



エントリ冒頭の私のTweetにいただいたレス(一部):



※この記事は

2012年07月06日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 08:00 | TrackBack(1) | i dont think im a pacifist/words at war | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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【ご報告】「性に関する露骨なワードを含む」、「職場や家族の前で表示するのにふさわしくない」の件が決着しました。
Excerpt: 6日に、次のような長大なタイトルのエントリをアップした。 著名人が「私はゲイだ」と公言したということを書いたら、サイト運営者から「性に関する露骨なワードを含む」、「職場や家族の前で表示するのにふさわ..
Weblog: tnfuk [today's news from uk+]
Tracked: 2012-07-10 04:34

【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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